内陸開発途上国(LLDCs)について知っておきたい10のこと
2025年8月7日
国連開発計画(UNDP)は、内陸開発途上国に対し、開発の成果を守るために、各国の状況に応じた政策助言、能力強化、円滑な移行戦略を通じた支援を行っています。
世界に32か国ある内陸開発途上国(LLDCs)のうち、16か国がアフリカ、10か国がアジア、4か国がヨーロッパ、2か国が中南米に位置しています。そして、5億人以上がLLDCsに暮らしており、これは世界人口の約7%に相当します。
LLDCsについて知っておきたい10のこと:
1. 貿易と接続性における地理的な不利
LLDCsは、最寄りの港まで平均1,370キロメートルの距離があり、この立地条件がグローバル市場への参入や競争を困難にしています。こうした貿易上の障壁を克服し、電子商取引などの新たな機会を活かすためには、LLDCsにおける接続性とデジタル・インフラの強化が不可欠です。
UNDPは、ブータン、レソト、南スーダン、中央アジア諸国などで、零細・中小企業(MSMEs)の競争力強化を支援し、デジタル市場や地域市場へのアクセス拡大、包摂的な貿易政策の推進に貢献しています。
2. 援助と輸入への過度な依存
LLDCsの3分の1以上が、債務困難またはその懸念のある状況にあります。それらの多くの国々は、インフラ整備や開発プロジェクトの実施に国際援助へ大きく依存しています。加えて、民間資本へのアクセスの制限や外国投資の減少が、状況をさらに悪化させています。より自立的な開発を進めるためには、国内外からの持続可能で手頃な開発資金へのアクセス拡大に加え、国内資源動員の強化が不可欠です。
アフガニスタンでは、UNDPの地域密着型緊急開発支援(ABADEI)を通じて、7万5,000の女性主導ビジネスに対し、資金提供と能力強化の支援が行われています。また、女性が安心して製品を販売し、サプライチェーンとのつながりを築くための「女性限定マーケットデー」も開催されています。
3. 資金・市場・技術への恒常的な障壁
資源、接続性、技術的専門性、インフラの不足により、LLDCsは沿岸国と比べて約2倍の貿易コストが掛かります。世界のモノの輸出の割合はわずか1.1%にとどまっています。貿易円滑化の推進や南南協力の促進は、LLDCsのレジリエンス構築、経済の多様化、そしてグローバル市場へのアクセス拡大に寄与することが期待されます。
中央アジアでは、UNDPの貿易のための援助(Aid for Trade)プログラムを通じて、LLDCsの経済の多様化、民間セクターの生産能力の拡大、地域貿易統合の促進、新たな市場へのアクセス強化、そして雇用創出の推進が支援されています。
4. クリーンで手頃な価格のエネルギーへのアクセスの欠如
LLDCs32か国のうち11か国が、2030年までにすべての人がエネルギーにアクセスできるようにするという持続可能な開発目標(SDGs)ゴール7の達成に大きく遅れをとっています。多くのLLDCsでは電化率が50%未満であり、中にはクリーンクッキング(電気、液化石油ガス、バイオガスなどのクリーンな燃料や、太陽光調理器などの効率的な調理技術を用いる調理方法)へのアクセスが27%未満の国もあります。現在、LLDCsでは2億1,500万人が電力へのアクセスが不十分、あるいはまったくない状況で暮らしています。
アフリカ・ミニグリッド・プログラム(Africa Minigrids Programme:略称AMP)のような、持続可能かつ拡張可能な太陽光発電への投資を促進する取り組みを通じて、アフリカの9つのLLDCsがクリーンエネルギーへのアクセスを得ています。
5. 気候変動へのさらなる脆弱性
LLDCsの国土の約54%は乾燥地帯に分類されており、砂漠化や土地劣化、干ばつの影響を特に受けやすい状況にあります。また、多くのLLDCsは山岳国でもあり、氷河の融解、水不足、地すべりの頻発、生物多様性の喪失など、さまざまな課題に直面しています。
ボリビアでは、UNDPが農業生態系、水資源、土壌、作物の管理におけるリスクマネジメントの実践に関する認識向上を通じて、気候変動への適応力を地域レベルで強化する取り組みを支援しています。
6. 自然資源の持続可能な管理における制約
LLDCsは特有の構造的制約を抱えており、それが自然資源の管理能力に深刻な影響を与えています。海への直接的なアクセスを持たないため、農業、鉱業、林業といった産業に大きく依存しています。これらの産業は、環境劣化に対して脆弱であると同時に、世界市場の変動にも非常に敏感です。
ニジェールでは、UNDPが地域コミュニティと連携し、太陽光灌漑システムの導入を支援しています。写真では、参加者がソーラー灌漑装置のテストを行っており、これにより農家は携帯電話を使って遠隔から、かつ無料で畑に灌漑を行うことが可能になります。
7. 採掘産業のGDPと雇用に占める大きな割合
多くのLLDCsは豊富な鉱物資源を有していますが、海上貿易ルートへの直接的なアクセスを持たないため、経済成長の原動力、輸出産業の強化、海外からの投資誘致、雇用創出、そして国家財政の強化のため鉱物資源に依存しています。
アフリカ・カリブ・太平洋—EU開発鉱物プログラム(ACP-EU Development Minerals Programme)のような取り組みを通じて、UNDPはブルキナファソ、モンゴル、ウガンダ、ザンビアなどの国々において、市場や雇用へのアクセス向上の支援、また、職人採掘組織に対して小規模助成を提供し、保健・安全・環境管理の改善を促進しています。
8. 保健医療制度への投資不足と過重な負担
LLDCsにおける保健分野への支出は、GDPの9.94%という世界平均を大きく下回っています。こうした低水準の投資は、保健サービスの提供を妨げ、平均寿命の向上にも制約をもたらしており、近隣諸国に比べて平均寿命の伸びが遅れています。
UNDPは、LLDCs各国において保健医療制度の強化に取り組むとともに、社会的保護制度の普及と効率性の向上を図り、デジタル技術を活用して脆弱な立場にある人々が必要なサービスへアクセスできるよう支援しています。
9. 貧弱なデジタル接続と高速インターネットへのアクセスの遅れ
LLDCsに暮らす人々のうち、インターネットにアクセスできるのはわずか35%であり、世界平均の66%を大きく下回っています。携帯電話の通信網は人口の95%をカバーしているものの、デジタル貿易の促進において不可欠な4Gへのアクセスがある人は半数未満にとどまっています。
アルメニア、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタンでは、UNDPがデジタル・リテラシーとスキル向上のための研修プログラムを開始しました。これにより、人々は学習、収入の創出、起業活動などにおいてデジタル技術をより効果的に活用できるようになっています。
10. LLDCsの半数は後発開発途上国(LDCs)でもある
32か国あるLLDCsのうち16か国は、後発開発途上国(LDCs)にも分類されています。これらの国々は、地理的孤立、経済構造の脆弱性、外的ショックへの高い曝露といった複合的な課題に直面しています。LDCでもあるLLDCsがLDC卒業や移行を果たすためには、持続的な経済成長と開発、社会分野への投資が不可欠です。