強固なパートナーシップが未来を創る:キルギスでの視察を通して日本とUNDPの連携を確認

2026年1月8日
Group portrait of about 20 people in business casual, outdoors in front of a building.

日本政府視察団が訪問したバリクチ市のユースセンター近くにて

Photo: UNDP in the Kyrgyz Republic

2025年7月、アレクサンドラ・ソロヴィエワ国連開発計画(UNDP)キルギス常駐代表と合田秀樹・前駐キルギス共和国特命全権大使が首都ビシュケクより車で約6時間かけて移動し、2日間かけてイシク・クル州のUNDPプロジェクトを視察しました。日本とUNDPによる事業がキルギスの現場で、いかに社会経済開発を強化し、レジリエンスの向上、若者と地域社会のエンパワーメントに貢献しているかを確認しました。 

Group of students in a classroom using laptops at a long table.

視察中に訪問したバリクチ市のユースセンターにて

Photo: UNDP in the Kyrgyz Republic

今回の視察ではまず、無償資金協力「中央アジアにおける暴力的過激主義防止のためのコミュニティ強靭化及び域内協力促進計画」の一環として、UNDPと日本政府の支援によりキルギス国内10か所に設置された青少年センターの一つ、イシク・クル州バリクチ市のユースセンターを訪問しました。現地の若者リーダーやスタッフの歓迎を受けた一行は、これらのセンターが単なる学習の場ではなく、行動を起こすための出発点であることを目の当たりにしました。 

 
2020年以降、4,000人以上の若者が起業、地方ガバナンス、紛争予防のトレーニングを受け、その結果、225件の雇用が創出され、若者主導のイニシアティブに対して32万5,000ドルの資金が動員されました。このセンターは、文化・情報・スポーツ・青少年政策省及び地方自治体との地域連携が、いかに地域開発を推進しているかを象徴する存在となっています。センターは、国連機関、国際協力機構(JICA)、韓国国際協力事業団(KOICA)など、さまざまな団体とのパートナーシップ構築の場となっています。 

Four professionals pose for a photo in a bright room with a brick wall and charts.

バリクチ市のユースセンターにて

Photo: UNDP in the Kyrgyz Republic

次の訪問先チョルポン・アタでは、日本政府の資金拠出と共に、氷河湖の状況をリアルタイムで監視するAI搭載の早期警戒システムがUNDPの支援で導入され、洪水予防に役立っています。キルギス非常事態省との連携のもと、本プロジェクトでは1,663メートルの強化された泥流用水路を整備し、自動気象観測所を2か所設置、さらに多層的な警報システムを導入することで、山間部の高リスク地域に暮らす150世帯以上を保護しています。 

 
2024年のみで490人が無事に避難、2025年には氷河湖決壊事象を受けて、その数は950人に増加しています。現地の専門家は、衛星データやデジタルツールがキルギスの最も遠隔地にある地域で命を救っていることを強調しました。

Photo: three businessmen in suits sit at a conference table with papers and a water bottle.

チョルポン・アタを訪問中の合田秀樹・前駐キルギス共和国特命全権大使

Photo: UNDP in the Kyrgyz Republic

イシク・クル訪問の2日目、合田秀樹・前特命全権大使とアレクサンドラ・ソロヴィエワUNDPキルギス常駐代表はカラコル市を訪れ、創造性、テクノロジー、事業活動を通じて新たな農村開発に取り組む女性起業家たちと面会しました。 


フィンランド政府が資金提供するAid for Tradeプロジェクト、そして日本からの UNDPへの戦略的なコア拠出によって、これらの女性たちは地域レベルで重要な成果を生み出しています。 

 
女性起業家の一人、アルビナ・アリモヴァ氏からはアドベンチャーツーリズムとEコマースのバリューチェーンがいかに遠隔地域で収入を生み出しているかが紹介されました。彼女の取り組みは、サービスの質の向上と雇用創出に貢献するだけでなく、キルギスの独自の文化的アイデンティティの保全にもつながっています。 

Speaker in blazer with microphone in a craft shop, shelves of hats and yarn behind.

プレゼンテーション中のアルビナ・アリモヴァ氏

Photo: UNDP in the Kyrgyz Republic

クリエイティブ・ワークショップを主宰、創設者でもあるナルギザ・トゥルバトワ氏からは、日本の伝統的な編み物技法「あみぐるみ」をいかにして成功したビジネスへと発展させたかを紹介。デジタルプラットフォームを活用して、自作の手編み玩具を地元を超えた顧客層に販売しています。 

 

視察団一行はさらにアセル・ディルデバエワ氏が創設したエコツーリズム施設「ロイヤル・ゲート」を訪問しました。彼女は、ゲストハウスを雇用を生み出す事業へと発展させました。プロジェクトの支援を受けて、彼女はインフラを整備し、地域連携を構築しながら、収益を3倍に伸ばし、若者や女性の持続可能な生計手段を生み出しました。 


この広範に及ぶAid for Tradeプロジェクトによる取り組みの一環として、64人の女性と若者がメンタリングを受け、そのうち35人がビジネス助成金を獲得しました。また、89人が金融リテラシーやマーケティングの新たなスキルを習得。28の女性主導の事業がオンライン展開に成功し、収益が17%増加しました。さらに56件の新たな雇用が創出され、そのうち41件を女性が占めています。 

 

これらのストーリーは単なる個別の成功事例ではなく、包括的な農村発展のモデルとなるものです。今回の訪問は、キルギス全土において、女性主導の中小零細企業(MSME)、エコツーリズム、デジタル起業、若者のエンパワーメント、災害リスク管理への支援を、いかに拡大していくかについて、将来を見据えた対話のきっかけともなりました。 

 

背景: 

日本とUNDPは長年にわたり、キルギス共和国における持続可能で包摂的な社会経済発展を支援してきました。2018年以降、日本政府はUNDPキルギスを通じて2,000万米ドル以上を拠出し、全国各地で地域社会のレジリエンス強化や雇用創出を後押ししてきました。こうした取り組みは、気候変動への対応力の向上、若者のエンパワーメント、責任あるビジネス慣行の促進、そしてデジタル・イノベーションの推進において重要な役割を果たしています。さらに、日本はUNDPのコア資金への貢献を通じて、社会経済開発、民主的ガバナンス、制度的能力の強化、気候変動対策、持続可能な生計手段の構築支援など、広範な分野において迅速かつ効果的な支援を可能にしています。