UNDP、UNIDO、及び田川産業株式会社が、ウクライナにおける持続可能な復興支援に向けて連携

2026年5月11日
Photo: UNDP Ukraine / Christina Pashkina

本取組は、戦争によって生じたがれきを資源として再活用し、地域の雇用創出につなげるとともに、低炭素型建材産業の基盤づくりを通じて、ウクライナの持続可能な復興を支援することを目的としています。

2026年5月5日 - 国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)および持続可能な建築資材を提供する日本企業、田川産業株式会社(Tagawa Shikkui Labs Co. Ltd.)は、ウクライナ復興に向けた革新的かつ低炭素型ソリューションの導入に関する協力を進めるため、協力趣意書(Statement of Intent)に署名しました。

本取組は、2022年の軍事侵攻以降、UNDPが日本政府との強力なパートナーシップのもと、ウクライナにおいて「人間の安全保障」の視点に基づいた緊急支援と持続可能な復興活動を推進する事業の一環として実施されます。具体的には、インフラ修復、地雷除去・地雷被災者支援、政府復興調整能力強化、法による統治支援を含むマルチセクターの取り組みの中でも、がれき除去・リサイクル活動の中で、本事業は、戦争で破壊された建物の廃材を安全に撤去し、それを再資源化して復興資材として活用する取り組みを意図しています。

UNIDOは、2024年から2028年にかけて実施しているウクライナのグリーン産業復興プログラムの元で行われている「日本の民間企業との新事業共創による技術移転を通じたウクライナのグリーン産業復興プロジェクト」の一環として、技術移転、人材育成、そして紛争後の復興における循環型経済の適用の中で本事業を実施します。

今回の連携では、田川産業株式会社が開発した低炭素建材技術を活用し、持続可能な復興の推進、環境負荷の低減、地域経済の回復への貢献を目指します。

同社が特許を持つ「LIMIX」技術は、コンクリートやレンガ、モルタル(建材をつなぐ材料)など、戦争によって発生したがれきを、新たなタイルや建材へと再生できる技術です。通常、建材の製造には高温で焼き固める工程(焼成)が必要となり、その過程で多くのCO2が排出されますが、LIMIXは焼成を行わずに建材を製造できるため、環境負荷を大幅に抑えることができます。さらに、ウクライナ国内で調達可能な石灰石などの資源を活用することで、戦争で生じたがれきを「廃棄物」ではなく、持続可能な復興を支える資源として再利用できる点が大きな特徴です。

安永裕幸UNIDO事務次長は、「今回の協力は、イノベーションを通じた復興、環境の持続可能性、そして誰一人取り残さない包摂的な経済発展をウクライナで実現していくという、共通の意思を示すものです」と述べました。

UNIDOは、本プロジェクトの主導機関および資金提供機関として全体調整を担います。フィジビリティスタディ(実現可能性調査)の支援、パートナーや投資家との連携促進、国際基準および国内規制との整合性確保に加え、安全対策を含む現地視察の支援や、研修・普及活動にも貢献します。

アウケ・ルーツマUNDPウクライナ常駐代表は、UNDPが国際的なパートナーと協力し、ウクライナが直面する課題を経済的な機会へと転換していく姿勢を強調し、次の様に述べました。「本取組は、ウクライナの復興を大規模に進めるために必要な、“新しい技術やアイデアを活用した協力”の形を示すものです。UNDPは、戦争で発生したがれきの処理や再利用に関する豊富な経験に加え、現地での高い実施能力や幅広いネットワークを有しており、世界の先進技術とウクライナの現地のニーズを結びつけることができます。こうした連携は、ウクライナの復興を加速させるだけでなく、新たな価値や技術革新を生み出し、その成果をウクライナ国外にも広げていく可能性を持っています。」

UNDP、UNIDO、田川産業株式会社による3者間連携のもと、UNDPウクライナ事務所は、戦争によって発生したがれきを処理・再利用する現場での活動を支援します。具体的には、現地でがれきのサンプルを集め、日本で技術検証を行うための輸送手続きなどをサポートします。また、がれきに含まれる材料や成分に関するデータ・分析結果を提供するほか、作業員の安全確保を含む国内基準や規制への適合支援、人材育成、普及啓発活動などにも取り組みます。

田川産業株式会社は現在、LIMIX技術を用い、ウクライナの戦争によって生じたがれき由来のCO2排出を抑えた環境にやさしいカーボンニュートラルな内装用タイルの製造事業が、技術的、環境的、商業的に実現可能であるか、加えて事業として継続可能かといった点についての検証事業を行っています。

田川産業株式会社の行平史門代表取締役社長は、「UNDPおよびUNIDOと連携し、LIMIX技術をウクライナの持続可能な復興に活用できることを大変光栄に思います。戦争によって生じたがれきを低炭素型の建材タイルへと再生することで、循環型経済の実現と、環境に配慮した産業復興に貢献していきたいと考えています。」と述べました。

更に、本取り組みは、ヨーロッパをはじめとする環境意識の高い市場をターゲットとした、ウクライナ発の輸出産業に発展する可能性も秘めています。現在実施中の実現可能性調査の詳細については、こちらをご覧ください

持続可能な復興に向けた環境に優しいタイル | UNIDO
 


UNDPについて:

国連開発計画(UNDP)は、約170の国と地域で活動し、貧困の削減や格差是正、そして持続可能な社会づくりに向けたレジリエンス(困難を乗り越える力)の強化を支援しています。国連の開発機関として、各国が持続可能な開発目標(SDGs)を達成できるよう取り組んでいます。

ウクライナにおいて、UNDPは、継続中の戦争によって引き起こされた差し迫った課題に対処しつつ、持続可能な復興と長期的な開発に注力しています。特に、戦争で発生したがれきの処理・分別支援では、これまでに100万トン以上のがれきの分別・撤去を行っており、住宅や学校などの再建や、住民が地域に戻るための環境整備を後押ししています。

UNIDOについて:

UNIDO(国際連合工業開発機関)は、貧困削減や環境保全、誰も取り残さない持続可能な経済成長に向けて、産業開発を支援する国連の専門機関です。173の加盟国と連携しながら、経済競争力の強化や環境保護、人材・制度づくりなどを通じて、開発途上国や新興国の持続可能な発展を後押ししています。

また、ウクライナ政府とUNIDOは共同で、「UNIDOウクライナ・グリーン産業復興プログラム(2024〜2028年)」を立ち上げました。このプログラムは、UNIDOによるウクライナの産業復興支援の全体方針となるもので、雇用や新たなビジネス機会の創出、環境に配慮した経済の推進、企業支援、投資呼び込みなどを通じて、持続可能な産業再建を進めています。

田川産業株式会社について:

田川産業株式会社は、建設や解体によって生じたがれきを、タイルや建材として再利用できる特許技術「LIMIX」を開発しました。この技術は、石灰を活用し、通常の建材製造で必要となる高温で焼き固める工程(焼成)を行わないため、CO2排出を抑えながら建材を製造できるのが特徴です。同社はこうした技術を通じて、資源を繰り返し活用する循環型社会や、環境にやさしい復興の実現に寄与することを目指しています。


詳細については、以下までお問い合わせください:

横井水穂UNDPウクライナプログラム・マネージャー:  mizuho.yokoi@undp.org