TICAD10に向け、アフリカ・日本の新たなパートナーシップを推進

UNDPアフリカ局長が訪日

2026年5月22日
Collage of diverse people photographed at a formal event, posing in groups.

国連開発計画(UNDP)総裁補兼アフリカ局長のアフナ・エザコンワは、2028年に開催される第10回アフリカ開発会議(TICAD10)を見据え、アフリカと日本の協力関係の強化、およびイノベーション、投資、経済レジリエンス、若者のリーダーシップを柱とする次世代型パートナーシップの推進を目的として、2026年5月12日から17日にかけて日本を訪問しました。

今回の訪日は、地政学的緊張の高まり、サプライチェーンの混乱、経済的不確実性、さらには技術覇権をめぐる競争の激化により、国際的なパートナーシップのあり方が大きく変化する中で実施されました。また、日本の茂木外務大臣によるザンビア、アンゴラ、ケニア、南アフリカ訪問直後というタイミングでもあり、日本が打ち出した、経済安全保障、強靭なサプライチェーン、イノベーション、デジタル変革、人材投資を重視する新たな対アフリカ戦略とも軌を一にするものとなりました。

ミッション全体を通じて、日本の国際協力の新たな方向性、とりわけ民間投資のリスク軽減や民間セクター参画を促進する「ODA 2.0」の考え方と、UNDPが推進するアフリカの構造転換、起業家エコシステム、安定化、人間中心の開発との間に、高い相互補完性があることが確認されました。エザコンワは、ODAが単なる資金供与ではなく、民間投資を呼び込み、アフリカの成長産業やイノベーション・エコシステム、強靭なインフラへの長期的な資本動員を促す「触媒」として機能する重要性を強調しました。

訪日期間中、エザコンワは、外務省(MOFA)、経済産業省(METI)、国際協力機構(JICA)の高官、国会議員、アフリカ各国大使、学術機関、民間企業関係者、メディアなどと幅広く意見交換を行いました。議論では、TICAD10の将来像や、従来型の援助を超えた「共創型」のアフリカ・日本協力の可能性に焦点が当てられました。特に、投資パートナーシップ、イノベーション・エコシステム、共有された経済レジリエンスを基盤とする新たな協力モデルへの期待が強調されました。

また、今回のミッションを通じて繰り返し議論された重要なテーマの一つが、「多国間主義の再生(Rebirth of Multilateralism)」としてのTICAD10の役割でした。分断と不確実性が深まる国際社会において、日本がルールに基づく国際秩序を支え、アフリカとの連帯を強化し、相互信頼に基づく包摂的な多国間協力を推進するうえで果たすべきリーダーシップの重要性が確認されました。

「日本とアフリカは、パートナーシップの新たな段階に入っています。急速に変化する世界において、国際協力の未来は、イノベーション、投資、人間の安全保障、そして若者のリーダーシップを結びつけられるかどうかにかかっています。アフリカは単なる開発協力の対象ではなく、未来のグローバル経済を共につくる戦略的パートナーです」と、エザコンワは述べました。

エザコンワはまた、日本の発展の歩みにも言及し、日本が文化的アイデンティティや社会的結束、伝統的価値観を維持しながら近代化を成し遂げてきた点を高く評価しました。さらに、先端技術とコミュニティ中心の発展、長期的な社会安定を組み合わせた日本独自のイノベーションモデルは、アフリカ諸国にとっても重要な示唆を与えるものであり、アフリカ自身の変革の道筋における大きなインスピレーションとなっていると述べました。

今回の訪問では、若者のイノベーションと起業家育成も重要なテーマとなりました。日本側関係者からは、AIを活用した起業家育成、スタートアップ・エコシステム形成、イノベーション・ファイナンス、次世代デジタルスキル開発などの分野において、「timbuktoo」や「University Innovation Pods(UniPods)」といったUNDPの取り組みとの連携強化への強い関心が示されました。

また、平和構築、ガバナンス、経済変革を一体的に進める重要性についても議論が行われました。長期的な経済レジリエンスや投資、サプライチェーンの安定は、人間の安全保障、包摂的ガバナンス、安定化への取り組みと切り離しては実現できないという認識が共有されました。

政策対話に加え、今回の訪問では、「AFRI CONVERSE」への参加、琉球大学での講演・対話セッション、アフリカ諸国大使や学生との交流、模擬アフリカ連合会議参加者との意見交換など、多様な若者・市民交流も行われました。これらの活動は、日本とアフリカの若者たちが、イノベーション、起業家精神、外交、グローバル市民意識を通じた新たな連携に強い関心を寄せていることを示すものとなりました。

一連の対話を通じ、エザコンワは、人への投資、人的交流の促進、そして「ウブントゥ」の精神に基づく共生の重要性を強調しました。分断が深まる世界だからこそ、若者の交流、学術連携、相互理解、人間中心のパートナーシップを強化することが、長期的なアフリカ・日本協力の基盤になるとの認識が共有されました。

TICAD10に向けた準備が進む中、UNDPは、共創、多国間協力、持続可能な投資、包摂的成長を軸とした、未来志向のアフリカ・日本パートナーシップを引き続き支援していく姿勢を改めて表明しました。「TICADの未来は、単なる開発援助によって定義されるものではありません。日本とアフリカが、グローバルなレジリエンス、イノベーション、共有された繁栄に向けた解決策を共に創り上げていく、その力によって定義されるのです」と、エザコンワは締めくくりました。