コートジボワールと日本、イノベーション推進に向けたダイナミックなパートナーシップ
2025年6月13日
2つのイベント、1つの共通ビジョン。これは、2025年5月12日〜13日にアビジャンで開催された「アフリカCEOフォーラム2025」の傍らで、国連開発計画(UNDP)、日本の経済産業省、在コートジボワール日本国大使館、そして技術教育・職業訓練・実習省(METFPA)によって開催された集いを象徴する言葉です。第10回目となるこのアフリカCEOフォーラムには、意思決定者やリーダーを含む2,000人以上の参加者が集まりました。
起業・イノベーションハブの視察
UNDP、日本の経済産業省(METI)の経済産業審議官が率いる日本代表団、そしてMETFPAとの最初の主要なイベントは、アビジャン技術高等専門学校内の起業・イノベーションハブ(PIE)の視察を行いました。
UNDPが支援するスタートアップや起業家、NGOの代表、金融機関など約50名が参加し、イノベーションを成長、競争力、そして質の高い雇用創出の鍵とするコートジボワールの未来像を共有しました。
この機会に、経済産業省の経済産業審議官である松尾 剛彦氏は、「技術教育、イノベーション、若者のキャパシティ・ビルディングという、包摂的かつ持続可能な産業発展の重要な柱を強化するコートジボワールでの取り組みを、日本が支援できることを誇りに思います」と強調しました。
健康、教育、エネルギー、農業、金融という持続可能な開発目標(SDGs)に沿った、若手スタートアップが主導する5つの主力プロジェクトが紹介されました。また、参加者はダイキンのトレーニングルームも見学し、意見交換を行いました。ダイキンがココディ工業高校で設立したモデルは、日本の、政府・民間企業・教育機関の三者連携によって、実践的かつ持続可能な技術移転を実現するというビジョンを体現しています。
さらに、アビジャン技術高校には今後、若手スタートアップの創造力を支援するための専用スペースが設けられる予定です。
「この取り組みをUNDPと連携して支援できることを嬉しく思います。若者のスキルの開発、技術革新、そして次世代の雇用準備に特化した施設づくりに貢献できることを光栄に思います。これにより、『メイド・イン・アフリカ』を現実のものとする一助となるでしょう。」と、松尾 剛彦氏は述べました。
また、UNDPコートジボワール常駐代表のブレルタ・セラ氏は次のように述べました。「日本政府のご支援のおかげで、これらの取り組みはテクノロジーと起業精神を結びつけ、フランス語圏アフリカの若者と日本企業の間に相乗効果が生まれます。私たちは共に、技術移転を促進し、雇用を支援し、若者主導のイノベーションの事業化を加速させていきます。」
加えて、METFPAのコフィ・ングェッサン大臣は「この三者連携は、アグリテックや農産物加工といった分野における技術教育、さらに技術系学校内でのプロフェッショナル・インキュベーターの設立に焦点を当てた開発プログラムの構築につながります。これは、UNDPのtimbuktooイニシアティブの目標と、我が国政府の優先事項の双方を後押しするものです。」と、述べました。
timbuktoo:アフリカ スタートアップ革命を後押し
別の日、別の会場のアビジャンのソフィテル ホテル イヴォワールでは、アフリカCEOフォーラム2025が開催されました。キガリルームでは、約100名の関係者が一堂に会し、METIの関係者や経営幹部、機関投資家、政策立案者、イノベーションリーダーらが参加。アフリカのベンチャーキャピタルを通じた経済成長の加速に関する活発な議論が交わされました。
この場では、UNDPの画期的なプログラムtimbuktooが注目されました。これはアフリカのスタートアップ支援のために立ち上げられた取り組みで、これまでにアフリカ全域で2,500を超えるスタートアップを支援しており、日本政府、経済産業省の後押しのもと、民間セクターとの連携も進めています。
このイベントで、コフィ・ングェッサン大臣は日本との戦略的パートナーシップについて強調しました。
「高度な技術、徹底したビジネスの実践、そして革新的なアプローチで知られる日本は、コートジボワール政府の『コートジボワール2030』ビジョンを支えるいくつかの戦略的分野において重要な役割を果たしています。」
また、大臣はUNDPの支援を得た、若者の起業を基盤とした技術開発プログラムの推進への決意を再び強調しました。
「このような状況の中で、日本の支援は特に我々の職業教育機関において不可欠であり、若者を国のイノベーションと雇用の中心に据えることになります。」
ブレルタ・セラ氏の発言に続き、松尾 剛彦氏は次のように改めて述べました。
「アフリカは若く豊富な人口基盤を抱える大陸であり、デジタル分野などで革新的な技術を有するスタートアップが多数活躍しています。また、多くの日本企業がその大きな成長の可能性に投資をしたい、日本が持つ先端技術の活躍の場を得たいと考えています。私たちはtimbuktooとのパートナーシップを築けたことを誇りに思います。」
そして、セッションの締めくくりとして2つのパネルディスカッションが行われ、それぞれ5名の登壇者が参加しました。議論されたテーマには、政府・企業・イノベーション関係者の戦略的な連携や、アフリカのスタートアップをより効果的に支援するための資本のあり方などが含まれました。
この場で、ジョアン・マンダ氏は次のように述べました。
「アフリカ各国で展開しているフィンテック(FinTech)、アグリテック(AgriTech)、ヘルステック(HealthTech)、グリーンテック(GreenTech)といった分野のさまざまな取り組みやテーマ別ハブを通じて、私たちはこの大陸の文脈とスケールを反映したエコシステムを構築してきました。」
ともに築く未来
これらの会合は、日本とコートジボワールの協力関係において重要な転機を示しています。日本の技術力とコートジボワールの起業家精神が結びつくことで、アフリカの若者に実際的なチャンスを提供することが可能になります。
UNDP、日本、コートジボワールは、timbuktooのような革新的なプロジェクトによって協力し、変革への推進力を生み出しています。
また、彼らの共通の目標は明確です。それは、イノベーションと人材育成を、持続可能な成長の原動力とし、持続可能な開発目標(SDGs)および「コートジボワール2030」ビジョンと整合させて推進していくことです。