JICAとUNDP、日本の先端技術利用によりウクライナの人道的地雷対策を進める
2025年7月17日
リヴィウ州ドロホブィチ、2025年7月9日 — 国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所は、ウクライナ国家非常事態庁(SESU)および国際協力機構(JICA)と連携し、最先端の地雷対策技術を紹介する2日間のデモンストレーションセッションを開催しました。本イベントでは、日本およびウクライナで開発された革新的技術が披露され、地中探査レーダー(GPR)、ドローン、AIシステムなどの先進ツールを、現地関係者が実際に体験・検証する機会が提供されました。 技術セッションでは、日本の著名な科学者であり、ALIS(高度地雷イメージングシステム)の開発者である佐藤源之教授が中心となり行われました。ALISは、2023年にJICAからSESUに供与された最先端の機材であり、金属探知とGPR機能を統合することで地下の詳細な画像を作成し、金属成分が少ないまたは含まれない不発弾を含む戦争残存爆発物の探知を可能にします。 セッションでは、JICAからSESUに供与された日本製の大型地雷除去機のデモンストレーションも合わせて行われました。全てのデモは、実際にウクライナの地雷原でALISや日本製地雷除去機を運用してきたSESUの除去班によって、模擬地雷原環境下で実施されました。 さらにウクライナ製の革新技術も紹介され、ウクライナの団体UADamageが、AI搭載の地表スキャンソリューションを発表しました。この技術には、無人航空機(UAV)で展開されるGPRが含まれています。これらの技術は現在、UNDPとウクライナ経済省による共同イニシアティブの一環として、人道的地雷対策におけるウクライナのイノベーション促進を目的に試験運用が進められています。 本イベントには、防衛省、国家警察、国家地雷対策センター、そして国内外のさまざまな地雷対策オペレーターの代表者が集まり、これらの技術をウクライナの人道的地雷対策に統合するための技術的知見や実践的なフィードバックが活発に交わされました。 JICA上石博人氏は、日本の革新技術を紹介できたことの喜びを、以下のように語りました。「ALISという最先端の地雷探知ジオセンサーを、ウクライナの人道的地雷対策コミュニティに紹介できることを誇りに思います。この技術を開発した佐藤教授と共に、この機材がウクライナで活用される様子を見られることは大変光栄です。」 ムィコラ・フメニュークSESUリヴィウ州総局緊急対応部副部長は、国際連携の重要性を強調しました。「JICAおよびUNDPとの継続的な協力関係に感謝しています。彼らの支援は私たちの地雷除去能力を大幅に強化するとともに、特に前線付近で活動する私たちの爆発物処理チームの安全確保に大きく貢献しています。」 エドワード・クラウザーUNDPウクライナ地雷対策フィールドアドバイザーは、今回紹介された技術の価値について次のように述べました。「地中探査レーダーは、すでに他の地雷汚染国でその有効性が証明されています。ウクライナにおいても、人道的地雷除去の加速化だけでなく、作業チームの安全性向上にも大きな可能性があると考えています。」 UNDPについて 国連開発計画(UNDP)は、前例のない課題に直面するウクライナのレジリエンスと復旧を強化するために活動する開発機関です。UNDPは、広範囲にわたる爆発性戦争残存物の汚染問題に対応するため、地雷対策プログラムを通じて、戦略策定、技術支援、調整活動を行っており、衛星画像、ドローン、リモートセンシング、AIなどの革新的技術の導入も推進しています。2024年には、UNDP主導の取り組みにより、約400万平方メートルの土地が調査され、これらの土地は安全が確認されたうえで生産利用可能地として解放されました。 JICAについて 国際協力機構(JICA)は、日本の政府開発援助(ODA)を実施する機関であり、国際協力の促進と世界の社会経済開発の支援を使命としています。JICAは2022年以降、ウクライナの緊急復旧・復興支援を行っており、地雷対策を重点分野の一つと位置づけています。この取り組みのもと、JICAはウクライナにおける人道的地雷除去能力の強化を目的として、専門機材の供与、研修、国家地雷対策機関への支援など、さまざまなイニシアティブを展開しています。その最終的な目標は、地雷除去作業の効率性と安全性を高め、被害を受けた人々が安全に故郷へ戻れるよう貢献することです。 |
