UNDP、カザフスタン災害リスク削減と気候変動対策を推進

2025年10月3日

トロパブロフスク市でのワークショップ参加者

Photo: UNDP Kazakhstan/Andrey Volovik

中央アジアは深刻な課題に直面しています。毎年、頻発する災害によって100億ドルにのぼると見積もられている損失が発生し、300万人の生活に影響を及ぼしています。人口7,500万人を抱えるこの多様性に富んだ地域は、自然災害や人為的な災害の両方に対して脆弱であり、気候変動や環境悪化によってそのリスクはさらに高まっています。特に都市部は人口密度が高く、人々の活動が活発なため、より大きな災害リスクにさらされています。

その対応として、2024年に、日本政府の支援のもと、UNDPが実施を行う地域プロジェクトが立ち上げられました。 その使命は、中央アジア全域において災害リスクと気候変動に対する都市のレジリエンス(強靭性)を強化することです。 このパートナーシップは、困難に直面する中でも、より安全で持続可能な地域社会の実現に向けた道を切り開いています。 

中央アジアにおける「中央アジアにおける災害リスク及び気候変動に対する都市強靱性向上計画」地域プロジェクトの署名式

Photo: UNDP Kazakhstan/Roman Kopanev

UNDPはカザフスタンの都市強靭性向上のための主要な関係者が参加する会を開き、パイロット事業都市における一連のインセプション・ワークショップが先週終了しました。  この取り組みの締めくくりとして開催されたペトロパブロフスク市でのワークショップでは、UNDPは市の自治体とともに、災害リスク削減の原則を都市計画に統合する方法について議論しました。 

ペトロパブロフスク市は、カザフスタンにおけるパイロット事業都市として選定されました。その主な理由は、北カザフスタン州が洪水に対して非常に脆弱であるためです。2024年には、この地域で過去最悪の洪水が発生し、約1,000戸の住宅が浸水し、約5,000人の住民が避難を余儀なくされました。それだけでなく、今年の春にも同市は再び洪水に見舞われ、この課題に対する効果的な対策の緊急性が改めて浮き彫りとなりました。 また、同市は気候変動への適応を国家計画に統合し、食料システムの強化や生態系サービスの向上を目指す上で、UNDPカザフスタンが戦略的に重視している地域でもあります。

本ミッションはアルマティ市で始まり、中央アジアの都市レジリエンス強化に向けて、緊急事態・災害リスク削減センター (CESDRR) 、国連児童基金(UNICEF)、世界銀行との会合を行いました。  アスタナ市では、在カザフスタン日本国大使館および国際協力機構(JICA)との会合が行われました。 飯島泰雅駐カザフスタン共和国日本国特命全権大使は、都市のレジリエンス強化に向けた国際協力を通じて中央アジアを支援するという日本の強いコミットメントを強調しました。

「日本は長年にわたりUNDPと協力しており、UNDPがこの地域の安定と繁栄のために継続的に取り組んでいることを高く評価しています。中央アジアは、地震などの自然災害に特に脆弱です。1948年のアシガバット地震や1966年のタシケント地震は、その代表的な例です。日本の災害リスクへのマネジメントや都市計画の経験が、これらの取り組みにおいて有益なものとして参考にしていただけることを願っています。」 

UNDPイスタンブール地域センターの代表団と、飯島泰雅駐カザフスタン共和国日本国特命全権大使

Photo: UNDP Kazakhstan/Salamat Ayazbay

都市計画センターおよびナザルバエフ大学との間でもさらなる議論が行われ、エビデンスに基づく政策立案の重要性が強調されました。 一連の会合は、国連防災機関(UNDRR)との協議をもって締めくくられました。 

このミッションの中心となったのは、ペトロパブロフスク市で開催されたワークショップです。 このワークショップでは、UNDPの地域および現地チーム、市の自治体代表者、その他の関係者が一堂に会しました。 アイゲリム・アイトジァノワ 北カザフスタン州政府経済局副局長が、開会の挨拶で以下のように語りました。

「北カザフスタン州は、地域のレジリエンスを強化し、気候変動への対応能力を高めることを目的として、UNDPと幅広い分野で協力しています。UNDPの支援により、ペトロパブロフスク市が災害リスクや気候課題へのレジリエンスをさらに強化する機会を得られたことを、私たちは高く評価しています。自然災害は予告なしに発生するため、私たちは備え、能力を高め、住民を守らなければなりません。」 

アイゲリム・アイトジァノワ北カザフスタン州政府経済局副局長が開会の挨拶を行いました。

Photo: UNDP Kazakhstan/Andrey Volovik

このワークショップでは、都市のリスクプロファイルと、災害リスク管理を都市計画に統合するための新たな自己評価ツールキットが紹介されました。 参加者はこのツールキットを実際に試したほか、「災害リスク認識指数(DRPI)」の演習にも参加し、さらに新たに設置されたワーキンググループの役割も確認しました。 そして、これらの活動を通じて、参加者はペトロパブロフスク市の防災準備状況を評価し、脆弱性を特定し、優先的に取り組むべき対策を定めることができました。 ワークショップは、都市のレジリエンスの観点がペトロパブロフスク市の開発戦略に確実に組み込まれるようにするためのアクションプランの策定をもって締めくくられました。 

「本プロジェクトが掲げる、気候変動および災害に対するレジリエンスの原則を都市計画に統合するという目的は、ペトロパブロフスク市の開発優先事項と完全に一致しています。 ワーキンググループは、参加型アプローチを実現する実践的なプラットフォームとして機能しており、すべてのステークホルダーによる連携した行動を確保する役割を果たしています。」 と、フスラフ・シャリフォフ UNDPイスタンブール地域センターの気候変動・災害レジリエンスチームリーダー代行は述べました。

フスラフ・シャリフォフ UNDPイスタンブール地域センターの気候変動・災害レジリエンスチームリーダー代行が開会の挨拶を行いました。

Photo: UNDP Kazakhstan/Andrey Volovik

一連のワークショップは、日本の支援のもと、中央アジアにおける都市の災害リスクおよび気候変動へのレジリエンス強化を図るUNDPの地域プロジェクトの基盤を築きました。ペトロパブロフスク市(カザフスタン)、オシュ市(キルギス)、ドゥシャンベ市(タジキスタン)、アシガバット市(トルクメニスタン)、ナマンガン市(ウズベキスタン)での先行的な活動を通じて、このプロジェクトは各国での実装と地域間の連携を促進しています。 

「災害リスク削減および気候変動への適応を戦略的計画に統合することは、押し付けではなく、共通の優先事項を強化するために不可欠です。ペトロパブロフスク市や他のパイロット都市において、私たちのプロジェクトは、国や地域の目標と連携しながら、長期的なレジリエンスの強化を支援しています。」 と、サルドル・コディロフ UNDPイスタンブール地域センターの地域プロジェクトマネージャーは述べました。 

このプロジェクトは、「仙台防災枠組」および「パリ協定」を基盤としており、加盟国が災害および気候リスクに対応することを開発ビジョンの一環として支援しています。 これにより、中央アジア地域のコミュニティが将来の災害に対してより保護され、より強靭になることを目指しています。