UNDPと日本政府、ガーナで持続可能な開発促進のための2つのプロジェクトを発表

2021年8月24日

プロジェクト文書に署名するUNDPガーナ事務所アンジェラ・ルシギ常駐代表とKAIPTC(コフィ・アナン国際平和維持訓練センター)司令官フランシス・オフォリ少将。右端は、姫野勉駐ガーナ日本大使。(UNDPガーナ事務所にて)

国連開発計画(UNDP)は、日本政府からの資金提供により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からのガーナの復興と西アフリカの平和と安全に貢献する2つのプロジェクトを新たに立ち上げました。

この2つのプロジェクトは、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「すべての人に健康と福祉を」及び目標16「平和と公正をすべての人に」の達成に貢献するものです。姫野勉駐ガーナ日本大使は、これらのプロジェクトの重要性について次のように述べました。 「開発パートナーとして、日本及び日本国民は、ガーナとの友好関係及びUNDPをはじめとするパートナーとの強固な連携に基づくこれらのプロジェクトに協力することを非常に喜ばしく思っています。健康は「保護(プロテクション)」だけではなく「能力強化(エンパワーメント)」に寄与し、また、平和は発展に寄与するものあり、この2つの重要なコンセプトは、TICAD(アフリカ開発会議)プロセスに反映されている日本の国際協力の理念です。我々はこの2つのプロジェクトを大変意義深いものと捉えています。」

『新型コロナウイルス感染症のパンデミック下及びポストパンデミックにおいて、脆弱な人々に対する必須医療サービスの継続的な提供を支える地域保健医療システム強化プロジェクト』と名付けられたこの保健プロジェクトは、保健省、ガーナヘルスサービスと共同で実施されます。本プロジェクトは、COVID-19のパンデミック下及び終息後に、人々が保健サービスをすすんで利用することができるよう、コミュニティー全体と、女性、子ども、HIV患者、非感染性疾患(NCDs)患者、スラム地区の住人など脆弱な人々の能力を強化することを目指します。プロジェクトはまた、こうした基礎的な保健サービスを提供する医療施設の能力及びCOVID-19や将来起こりうるパンデミックに対処する国の能力を強化することも目的としています。

一方、『西アフリカ沿岸諸国におけるテロリズム・暴力的過激主義の防止と対策における国家及び市民社会の対応能力強化』と題した平和と安全に関するプロジェクトは、ガーナ、ブルキナファソ、コートジボワール、トーゴ及びベナンの国家治安当局と市民社会の当事者が、テロリズムと暴力的過激主義を防止し、対抗するための能力を補強します。このプロジェクトはコフィ・アナン国際平和維持訓練センター(KAIPTC)と共同で実施されます。

プロジェクトの立ち上げに際しUNDPガーナ事務所常駐代表であるアンジェラ・ルシギ博士は、COVID-19は不平等を助長したこと、パンデミックに効果的に対応するには継続的なパートナーシップが必要であることに触れ、暴力的過激主義を含む治安上の脅威には早急に対処する必要があると付け加えました。

続いてルシギ博士は次のように述べました。「持続可能な開発のための2030アジェンダと17の持続可能な開発目標は、紛争や人々への脅威の根本原因に取り組むことによって貧困を撲滅し、開発を持続するためのロードマップを私たちに提供するものです。健康、福祉、平和、安全は包摂的かつ持続可能な開発のために極めて重要です。国際的なパートナー、市民社会、民間セクターが協力し合うための協働的なメカニズムを強化することによって、私たちはコミュニティーのレジリエンスを構築する取り組みを拡大することができます。」

COVID-19保健プロジェクトは、、ガ・セントラル及びアクラ・メトロポリタン・アセンブリー内の、設備が十分に整っていない5つの保健施設及びCHPSと呼ばれる国の地域保健強化プログラムに対し、サービス提供能力を高めるのに必要な医療設備等を供与し、パンデミック下及び終息後において、脆弱な人々へ基礎的なサービスが継続的に提供されるよう支援します。また、コミュニティーにおける非感染性疾患への対応を強化するためのデジタルツールの開発を支援するほか、HIV患者に対する心理・社会的支援も提供します。さらに、COVID-19の症例発見と管理及び将来の公衆衛生上の緊急事態への対応を強化するため、国境の入国地点となるアフラオ、エルボ、テマ、及びパガの4か所に移動式のラボラトリーを設置します。

保健プロジェクト立ち上げ参加者の集合写真。ガーナヘルスサービス総裁のパトリック・クマ・アボアジェ博士(右から2人目)。

ガーナヘルスサービス総裁のパトリック・クマ・アボアジェ博士は、この保健プロジェクトの重要性を強調しつつ、実際にガーナでは、COVID-19により基礎的な保健サービスの外来部門(OPD)の来院者数が約11%減少したこと、入院部門と予防接種率にも同様の減少が見られることを明らかにしました。同博士は、この保健プロジェクトについて、特に脆弱な人々に対して、基礎的な保健サービスを確実に継続させる政府の取り組みを補完するものと考えています。

ティナ・ギフティ・ナー・アィエリ・メンサー保健副大臣は、スピーチのなかで、日本政府とUNDPに対し、継続的なパートナーシップに謝意を表すとともに、「マラリア、エイズ、結核及び顧みられない熱帯病へ対処するための基礎的な保健サービスの継続への支援は、2030年までに伝染病を終息させるというSDGs3の目標をガーナが達成するにあたり、極めて重要なものであり、このプロジェクトは時宜を得たものです。」と述べました。

立ち上げに際しスピーチを行うティナ・ギフティ・ナー・アィエリ・メンサー保健副大臣。

KAIPTC司令官のフランシス・オフォリ少将は、前述の平和プロジェクトへの強い支持を示しながら、次のように述べました。「安全保障は常に変化する流動的な概念です。我々は、一部地域の情勢不安により生じる地域内のギャップを絶え間なく埋め続けなければなりません。我々は、特に問題を抱えた地域内の情勢不安に取り組むため、問題が起きてから対応するのではなく、より積極的なアプローチをとる必要があります。」

2つのプロジェクトは、公衆衛生上の緊急事態及び西アフリカ諸国の暴力的過激主義とテロリズムへの対応能力を強化することにより、ガーナのSDGs達成に向け貢献するものです。

平和プロジェクト立ち上げ参加者の集合写真。