ウクライナの退役軍人へのビジネス活動を支援:教育・助成プログラム『Trajectory 2』の最終イベントがキーウで開催

UNDP、日本政府、現地パートナーによる様々な支援を受けて実施されたダ「Trajectory」第2シーズンでは、1,000人以上が参加し、68名が受賞。既に106件の雇用創出を実現。

2025年6月30日
Group of people holding large checks, celebrating in a modern, bright event space.
Photo: UNDP Ukraine / Stas Kartashov

教育・助成プログラム「Trajectory(トラジェクトリー)」第2シーズンの参加者たちが、最終イベントである「グランド・ピッチ・デー」において、自身のアイデアを発表しました。このイベントには、退役軍人およびその家族も出席しました。

ファイナリスト10名は、2か月間の研修を通じて自らのビジネスアイデアを磨きました。ビジネスコンセプトでのプレゼンと選考の結果、2名が起業や事業展開に向けて、民間パートナーから資金提供を受けました。「ビジネス初心者」部門では100万フリヴニャ(約380万円相当)、「経験豊富な起業家」部門では200万フリヴニャ(約760万円相当)の資金が提供されました。

ヴァレリア・イオナン イノベーション・デジタル・国際連携担当 副首相顧問は次のように述べました。「私たちデジタル変革省では、中小企業のエコシステムの発展に積極的に取り組んでいます。2020年には、起業家が自身のビジネスを立ち上げ、転換し、拡大するために必要な情報をすべて提供する国家プロジェクト『Diia.Business』を立ち上げました。この取り組みの一環として、教育プログラムや助成金プログラムの開発も進めており、『Trajectory』もそのひとつです。これまでの2シーズンで、退役軍人とその家族あわせて1,470人以上がトレーニングを受け、118名の参加者に総額2,500万フリヴニャ(約9,500万円)の助成金が提供されました。世界中の国々と国際パートナーの協力により、退役軍人が自信を持ってビジネスを始め、発展させていくための環境が整いつつあることを、私たちは誇りに思っています。」

平木忠義 在ウクライナ日本国大使館 経済担当官は次のように強調しました。「本格的な侵攻が始まって以来、日本はウクライナの揺るぎない支援者であり続けてきました。実際、日本は最大支援国のひとつであり、エネルギー、地雷除去、教育といった重要分野において、120億米ドル超の支援を提供しています。ウクライナ国内企業の起業やイノベーションを支援することも、日本の対ウクライナ協力における重要な柱の一つです。こうした取り組みは、UNDPやウクライナ政府、その他のパートナーと連携して実施されています。貿易と投資を促進する日本の政府機関である日本貿易振興機構(JETRO)は、キーウに新たな事務所を開設しました。この新拠点は、JETROのグローバルおよび地域ネットワークを活かし、日本の地方自治体や地域社会、企業の参加を促すことができます。また、他のアジア諸国を巻き込みながら、ウクライナの復興支援にも貢献していくことが期待されています。」

クリストフォロス・ポリティスUNDPウクライナ常駐副代表は、「Trajectory 2」のような取り組みが社会経済の進展と地域社会のレジリエンス強化にとって重要であると強調しました。「最新の被害・ニーズ評価によれば、ウクライナには約130万人の退役軍人がいます。多くの退役軍人は就労可能な年齢にある現役世代であることから、UNDPは、彼らのエンパワーメントと効果的な再統合・再教育に力を入れています。こうした取り組みは、退役軍人とその家族に対し、ビジネス、教育、そして生活の面で新たな機会をもたらし、一般社会への円滑な復帰を後押ししています。日本政府の揺るぎない支援と、デジタル変革省との連携のおかげで、UNDPは経済回復への道を切り開き、より持続可能で包摂的な未来の実現に向けた取り組みを続けることができています。」

「Trajectory」第2シーズンの受賞者の声:

ボフダン・スマル氏「ビジネス初心者」部門)– 100万フリヴニャ

スマル氏は、四肢の一部を失った人々のために車両を改造する専門のサービスステーション「Steel(スティール)」の創設者です。彼のチームは、利用者一人ひとりの特別なニーズや身体能力のレベルに応じた個別の技術的ソリューションを開発しています。ボフダン氏はこう語ります。「感情があふれて止まりません。まず第一に、もちろん喜びです。本当にたくさんのことを学べたプロジェクトでした。新しい発見がたくさんあり、すべての考え方が私たちの力になりました。」

オクサナ・ファレニク氏「経験豊富な起業家」部門)- 200万フリヴニャ

彼女が手がけるYes Straws(イエス・ストローズ)は、環境に優しいリード(葦)製ストローのブランドです。ファレニク氏のチームは、使い捨てプラスチックに代わる、環境にやさしく、デザイン性にも優れた製品を開発しており、持続可能な開発の理念を大切にしたものづくりを行っています。「Trajectory 2」はすでに成果を上げ始めています。第2シーズンの参加者のうち65名が新たに個人事業主として登録し、1件の有限責任会社(LLC)も設立されました。また、106の雇用も創出されました。さらに、UNDPと日本の支援のもとトレーニングを修了した起業家のうち、68名がメンタリング支援(ビジネスアドバイザーによる伴走支援)を受けており、その支援にはUNDPウクライナ事務所および日本政府の協力も含まれています。今後も、UNDPと日本はこの68名の起業家に対し、事業アイデアの具体化に向けたコンサルティング支援を提供していく予定です。


背景

「Trajectory」プログラム第2シーズンには、退役軍人およびその家族を支援する取り組みで、これまで合計1,052名の参加者が参加しました。そのうち442名(退役軍人179名と軍関係者の家族263名)が、全国11か所のDiia.Business起業支援センターで実施された「インテンシブ・レクチャーホール」トレーニングコースを修了しました。このコースは実践的なオフライン形式のトレーニングで、メンタリング支援も組み込まれており、ビジネスアイデアを現実の立ち上げや拡大に限りなく近づけることを目的としています。

同時に、起業に関する基礎知識を自分のペースで学びたい人に向けて設計されているオンラインコース「ジョイント・レクチャーホール」も実施されました。受講者は、財務管理からデジタル、マーケティングに至るまで、幅広いテーマを学習することができます。

トレーニングの結果に基づき、66名の参加者が選ばれ、資金提供を受けました。プログラムの一環として、初心者起業家44名には、それぞれ20万フリヴニャ、経験豊富な起業家20名には、それぞれ40万フリヴニャ、ジョイント・レクチャーホール参加者2名には、それぞれ10万フリヴニャが支給されました。これらの助成金は「Trajectory」協力する民間パートナーによって提供されたものです。

教育・助成プログラム「Trajectory 2」は、ウクライナのデジタル変革省およびウクライナ起業・輸出支援局の支援のもと、Diia.Business起業支援センターネットワークによって実施されています。本プログラムは、日本政府および国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所、さらにMastercard、UKRSIBBANK(BNPパリバグループ)、Aurora(オーロラ)マルチマーケットチェーンの財政的支援を受けて運営されています。(注:日本政府によるUNDPとの連携は、Trajectoryの研修を中心とした教育活動であり、参加者や受賞者への助成金については、上記民間パートナーによる協賛にて行われています)