ビジョンを事業へと変える力
未来の起業を切り拓く
2025年6月9日
起業の道は平坦ではありません。特に若者にとっては、年齢に対する偏見や、人的資源やネットワーク、資金などのへのアクセス制限が大きな障壁となります。アジア太平洋地域に暮らす約7億人の若者の多くにとって、適切な起業支援を得ることは容易ではありませんが、その支援が実現すれば、社会にとって意義深い変化をもたらす可能性があります。
2017年に国連開発計画(UNDP)とシティ・ファウンデーションによって共同設立されたYouth Co:Labは、若者がリーダーシップを発揮し、社会革新を起こし、起業家精神を持つことによるSDGs(持続可能な開発目標)実行の加速を目指す、若者向けのエンパワメントプログラムです。
この取り組みの根底にあるのは、シンプルで力強い信念です。若者たちは、アジア・太平洋地域が直面している重大な課題を解決する鍵を握っており、彼・彼女たちのアイデアを行動に変えることで、社会の常識を覆し、コミュニティに変革をもたらすことができるのです。 この信念のもと、Youth Co:Labは、これまでにアジア・太平洋の28か国・地域で、30万人を超える若者に支援してきました。
Youth Co:Labは、さまざまな起業支援の取り組みを通じて、28,000人にのぼる若手社会起業家に対し、研修、メンタリング、国際的な発表・交流の機会など、継続的な支援を行ってきました。
若き社会起業家たちは、地域に変革をもたらし、SDGsの実現を後押しする、続可能な事業運営の仕組みづくりに必要なスキルとツールを身につけています。
また、本プログラムは若手社会起業家のスキルと知識の向上を支えるため、300の起業支援団体とも連携してきました。こうした支援を通じて、155,000件の生計手段が創出され、地域全体で約1,300万人がイノベーションの恩恵を受けています。
DeafTawkという、聴覚障がい者とのコミュニケーションを円滑にするためにリアルタイムの手話サービスを提供するデジタルプラットフォームのビジネスを例にとりましょう。同社はこれまでに97,000人以上にサービスを届け、5ヶ国で1,100件以上の雇用を生み出しました。CEO兼共同創業者のアリ・サバー氏は、「Youth Co:Labによって、私たちは世界中のパートナーやメンターとつながることができました」と語ります。またフィリピンの Grow Schoolという事業は、自然災害の影響を受けやすいこの国で、 98,000人の若者が自立した食料生産者となるための支援をしてきました。この事業は、ラオス、タイ、インドネシアにも拡大しています。
UNDPとシティ・ファウンデーションが共催するYouth Co:Labは、アジア・太平洋全域で若いチェンジメーカーを支援し、革新的なエコシステムを強化しながら、今もなお進化を続けています。 Youth Co:Labは、 UNDPの広範な地域ネットワークを活かし、マルチステークホルダーとの連携を深め、SDGsとの連動を図りながら、その影響力を着実に拡大しています。そして、次世代のリーダーたちが、大胆なアイデアを持続可能な解決策へと昇華させるために必要なツール、ネットワーク、資源を確実に手にできるよう支援を続けています。
Youth Co:Labは、これまでにUNDPの通常資金から85万米ドルの支援を受け、さらにパートナーから6,700万米ドル以上の資金を動員してきました。これは、アジア・太平洋地域において若者が主導する包摂的で持続可能な開発に向けた協働と、長期的な支援のコミットメントの重要性を強調しています。