私がUNDPを選んだ理由 ーJPO経験者、八代歩弓さんの平和構築への挑戦ー

2025年11月24日
Group photo of diverse people posing in front of a beige, single-story building with blue trim.

2024年11月、シエラレオネ西部ハスティングスにある警察施設にて、シエラレオネ警察、道路安全局、バイクライダーズ組合による国家対話プラットフォームの発足式

Photo: UNDP Sierra Leone

これまでどのような勉強をされてきましたか? 

大阪大学で国際公共政策を専攻し、法学の学士号を取得しました。在学中には、カリフォルニア大学サンディエゴ校に交換留学しました。その後、英国ロンドン大学キングス・カレッジにて紛争・安全保障・開発分野の修士号を取得しました。

JPO(Junior Professional Officer)派遣制度に応募したきっかけ、そして国連機関で働こうと思った動機は何ですか? 

幼い頃から「平和のために働きたい」という思いがあり、大学・大学院双方において関連分野を専攻しました。ロンドンで修士課程を修了した後は、東京で外資系コンサルティング会社のマネジメントコンサルタントとして働きました。 

日本や東南アジアのグローバル企業を対象にプロジェクトマネジメントに携わる中で、業界のトップ企業に成長するために、組織の構造や運営をどのように改善するべきかを学びました。 

民間企業での刺激に満ちた3年間を経て、これまで培った経験を活かしながら、より直接的に「平和と開発」に貢献したいという思いが強まりました。そこで、日本政府が支援するJPO派遣制度への応募を含め、様々な機会を模索し始めました。 

その間、ボスニア・ヘルツェゴビナにて平和構築を推進する市民社会団体で、2か月間活動することができました。その後ニューヨークの国連日本政府代表部で3年間勤務し、政治・平和構築・国際法関連の業務を担当しました。

ニューヨークでのJPOポストに選ばれたと知ったときは本当に嬉しかったのを覚えています。最初の配属先は、国連政治・平和構築局でした。そこでの勤務を通じて、現場での具体的な平和構築を主導するUNDPの活動に、次第に強く惹かれるようになりました。 

国連本部での2年間、そしてニューヨークでの通算5年間の勤務を経て、国連事務局から念願だったUNDPへの異動の機会が訪れました。UNDPでは平和構築の専門家として、シエラレオネでのプロジェクトを担当することになりました。

Two women stand near a UNDP banner in a busy indoor hall.

2024年7月、シエラレオネ フリータウンにて開催された国連持続可能な開発協力枠組み(UNSDCF)2025年–2030年のローンチイベント

Photo: UNDP Sierra Leone

 

現在担当している業務内容について教えてください。 

UNDPシエラレオネ事務所にて、「シエラレオネにおける持続可能な平和の担い手としての若手バイクライダー育成」プロジェクトのマネジメントを行っています。本プロジェクトは、国連事務総長の平和構築基金の援助のもと、UNDPと国連資本開発基金(UNCDF)が共同で実施しています。 

シエラレオネでは、商業用バイクライダー(日本で言うタクシー運転手のようなもので、バイクの後ろにお客さんを乗せて移動のお手伝いをする職業)が人や物の輸送に欠かせない重要な存在であり、経済の中核を担っています。本プロジェクトでは、商業用バイクライダーを地域内外で非暴力と平和のメッセージを広める平和の担い手として育成するとともに、国家機関との関係構築を促進しています。 

私の役割は、商業用バイクライダーをはじめ、国家機関、NGO、市民社会団体などの多様なパートナーと連携しながら、プロジェクト全体の運営を統括し、日々の活動の実施を支援することです。

日々の業務を通じて、どのSDGsの実現に貢献していますか? 

もっとも深く関わっているのは、 SDG16(平和と公正をすべての人に)です。本プロジェクトのマネジメントを主導しながら、バイクライダーの行動変容を促し、国家機関との関係構築を支援することで、シエラレオネの平和推進に貢献しています。

また、SDG5(ジェンダー平等を実現しよう)も重要な柱です。私は特に、性暴力・ジェンダーに基づく暴力への対応に積極的に取り組んでいます。さらに、若手バイクライダーのエンパワーメントを通じて、SDG1(貧困をなくそう)にも貢献しています。 

現地で最もやりがいを感じた経験は何ですか? 

最もやりがいを感じた経験は、2024年10月に国家機関であるシエラレオネ警察並びに道路安全局と、バイクライダーズ組合による国家合意書の署名に貢献できたことです。この署名は、何度も対話を積み重ねて実現したもので、本プロジェクトがもたらした平和構築の成果を目の当たりにしたことは、感動的な瞬間でした。 

以前は、国家機関がバイクライダーをトラブルメーカーと見なし、両者の間には暴力的な衝突が頻発していました。 しかし現在では、そうした認識や関係性は大きく変化しています。双方が建設的な対話を重ね、本プロジェクトを通じて設けられたプラットフォームの枠を超えた場面でも協力しながら課題解決に取り組む姿を見ることができたのは、非常にやりがいを感じた瞬間でした。

Diverse group of people posing for a photo at an indoor event, banners in the background.

2024年10月、西部地域にて、シエラレオネ警察および道路安全局職員向けに実施された性犯罪法に関する研修

Photo: UNDP Sierra Leone

 

この任務でもっとも身についたスキルは何ですか? 

UNDPシエラレオネ事務所での勤務を通じて、今後の困難なプロジェクトにも対応できる幅広いスキルを習得しました。例えば、開発プロジェクトのマネジメントスキル、平和構築・持続的平和に関する専門性、若者のエンパワーメントに関する知見などを深めることができました。 さらに、困難な状況下にある脆弱な人々との関わり方など、ソフトスキルも大きく向上したと感じます。 

JPO派遣制度への応募を考えている方へのメッセージをお願いします。 

最初の応募で選ばれなくても、諦めずに挑戦し続けてください。私は数年に渡り何度も応募を重ね、ようやく合格しました。 今の時代、平和構築や開発の分野でキャリアを築くことは容易ではないかもしれません。それでも私は、全ての人が世界の平和や開発に貢献できると信じています。 

JPOとしての経験が、あなたの今後のキャリアの選択や機会にどのような影響を与えると思いますか? 

JPO派遣制度は、多国間体制に根ざした組織のなかでキャリアを築くための素晴らしい機会を提供してくれました。世界中で平和と開発のために尽力する素晴らしい同僚や上司、リーダーたちと出会えたことも大きな財産です。彼女ら彼らの姿勢に日々刺激を受けながら、私自身もより一層努力を重ねています。JPOとしての経験は、「世界をより良いものにする」という国連の使命に貢献したいという私の決意をさらに強くしてくれました。 

JPO派遣制度は、多国間体制に根ざした組織のなかでキャリアを向上させるための、幅広く魅力的な機会への扉を開いてくれました。また、世界各地で平和と開発のために尽力する素晴らしい同僚や上司、リーダーたちと出会うという貴重な経験も得ることができました。
八代 歩弓