日本とUNDP、カスピ海の強靭性強化に向けた新たなイニシアティブを開始

2026年5月25日
Two men in suits shake hands across a table during a signing ceremony; Japan and Kazakh flags.

飯島泰雅駐カザフスタン日本国特命全権大使、およびカタジナ・ヴァヴィエルニヤUNDPカザフスタン常駐代表

Photo: UNDP Kazakhstan/ Batyr Aubakirov

カザフスタン・アスタナ — 国連開発計画(UNDP)と日本政府は、カスピ海の水位低下に対応するため、カザフスタンにおける水ガバナンスおよびモニタリングの強化、ならびに地域協力を支援する総額300万米ドルの新たな共同イニシアティブ開始に向けた合意書に署名しました。この取り組みは、中央アジアとコーカサスを結ぶ重要な玄関口であるカスピ海流域全域において、環境のレジリエンス、持続可能な水ガバナンス、および地域協力を促進するものであり、昨年12月の「中央アジア+日本」対話・首脳会合にて、日本政府が表明した『カスピ海ルート』支援とも合致するものです。本プロジェクトは、カザフスタン共和国生態・天然資源省および水資源・灌漑省と連携し実施されます。 

カスピ海は、ユーラシア地域における最も重要な生態系の一つであり、400種を超える固有種および回遊種の生息地となっています。さらに、地域全体で数百万人の人々の生計、漁業、生物多様性、そして地域経済の安定を支えています。しかし現在、気候変動による気温上昇、蒸発する海水量の増加、河川流入量の減少、水資源への圧力の高まりなどを背景に、カスピ海の水位が急速に低下しています。

マンスール・オシュルバエフ カザフスタン共和国生態・天然資源省副大臣は、「カスピ海の水位変動は現在、カスピ海地域全体が直面する最も喫緊の課題の一つです。水位の継続的な低下は、生態系、生物多様性、水資源、経済活動に加え、カスピ海沿岸地域に暮らす人々の生活の質にも広範な影響を及ぼしています」と述べました。 

本プロジェクトは、カスピ海沿岸諸国間の協力を強化し、水位低下への対応に向けた地域的な水ガバナンスの改善と協調的な行動を支援します。 また、環境データに関する越境的な情報共有、政策対話、共同対応を促進し、カスピ海の水資源の協調的な管理を推進します。 その中心となるのが、水位低下の影響を最も受けているカスピ海北部地域および流入域における、カザフスタンの国家モニタリング能力の強化です。 

また、アスラン・アブドラモフ カザフスタン共和国水資源・灌漑副大臣は「現在、カスピ海の水位低下、生態系の劣化、水資源への圧力の増大といった深刻な課題に直面しています。これらは、タイムリーに協調した対応が求められます。本プロジェクトは、モニタリングおよび水管理システムの強化に加え、国家間の協力を促進し、カスピ海の生態系保全に寄与するものと確信しています」と述べました。

人々と地球の調和を図りながら、持続可能な開発のための2030アジェンダに沿って、より公正で持続可能な未来に向け、人々の選択肢を広げるよう各国を支援するというUNDPの使命において、日本政府は重要なパートナーです。カザフスタンでは現在、UNDPは日本政府と連携し、ダムの洪水対策の強化、災害や気候変動に対する都市の強靭性の向上、そして中央アジア全域における地震防災強化に焦点を当てた3つのプロジェクトを実施しています。この新たなプロジェクトは、このパートナーシップの下で実施される4つ目の取り組みであり、災害リスク軽減と気候変動へのレジリエンス強化に向けた継続的な協力をさらに強化するものです。

飯島泰雅駐カザフスタン日本国特命全権大使は、「地域協力、科学モニタリング、そして国際的な連携を通じて、カスピ海の水位低下に取り組むカザフスタンを日本が支援できることを誇りに思います」と述べました。

本プロジェクトは、カザフスタンが改訂した「国が決定する貢献(NDC)」において優先分野として位置づけた水分野を支援しつつ、カスピ海北部における高度なモニタリングおよび研究能力の強化を通じて、カスピ海の強靭性向上を目指します。 更新されたNDCには、気候変動に対する行動についての章が新たに盛り込まれており、水資源管理が国家的な優先行動課題として強調されています。 

署名式にて、カタジナ・ヴァヴィエルニヤUNDPカザフスタン常駐代表は本イニシアティブが国の政策枠組みと整合している点を強調し、「カザフスタンの更新したNDCおよび国の気候変動適応における優先事項と整合しており、エビデンスに基づく意思決定と統合的な水資源管理を強化することで、持続可能な開発を推進します」と述べました。

本プロジェクトは、NDC、気候変動適応計画(NAP)、生物多様性国家戦略及び行動計画(NBSAP)を含む、カザフスタンの主要な気候変動および生物多様性に関するコミットメントの実施を支援するとともに、持続可能な開発目標(SDGs)の達成にも貢献します。