日本政府の支援のもと、70人を超えるウクライナの中小企業関係者が実践的な研修プログラムを修了し、世界でも最も参入障壁の高い輸出市場の一つである日本への進出に向けた個別の行動計画を策定しました。
UNDP、ウクライナ商工会議所及びJETROの連携により、ウクライナ企業の日本市場進出を支援
2026年8月3日
国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所は、日本政府の資金拠出のもと、ウクライナ商工会議所(UCCI)と共同で開催した2日間の実践研修「ウクライナ企業の日本市場への進出に向けた貿易・パートナーシップ・市場参入機会」を開催しました。
7月14日から15日にかけて開催された本研修には、64社のウクライナの中小企業から70人を超える代表者が参加しました。専門家や日本のパートナーとともに、日本市場への進出という目標を具体的な行動計画へと落とし込み、世界でも最も参入障壁が高い一方で、大きな可能性を秘めた市場への挑戦を始めました。
本研修は、日本貿易振興機構(JETRO)キーウ事務所の協力のもと実施されました。日本市場はウクライナの輸出企業にとって大きな可能性を秘めていますが、その成功には十分な準備が不可欠です。企業には、安定した品質と供給体制の確保、認証や表示要件への適合、市場に合わせた販促資料の作成に加え、信頼関係と長期的なパートナーシップを重視する日本の商習慣への理解が求められます。
本研修では、UNDPとUCCIがこれまで蓄積してきた実務経験を活用し、『日本への輸出ガイド』や、日本向け輸出に有望なウクライナ経済分野に関する調査結果を教材として活用しました。また、JETROが作成した「ウクライナ有力企業 100」の資料も活用し、企業プロフィールの作成や市場でのポジショニングに関する参考資料として取り入れられました。
研修の開会にあたり、中込正志駐ウクライナ日本国特命全権大使は次のように述べました。「この2年間、ウクライナで数多くの素晴らしい起業家の皆様とお会いする機会に恵まれました。その製品やものづくりの質の高さには深く感銘を受けています。こうしたウクライナならではの製品は、日本の消費者にも必ず歓迎されるものと確信しています。」
UNDPは、ウクライナ企業の輸出力強化を、経済成長の原動力である民間セクターの復興を後押しするための重要な取り組みの一つと位置付けています。
「力強く、競争力があり、国際市場に目を向ける民間セクターがなくては、ウクライナの持続可能な復興は実現できません。ウクライナの中小企業が日本企業との協業に向けた準備を進められるよう支援することは、輸出先の多様化や新たな雇用創出、そしてウクライナ経済の長期的な強靭性強化への投資であると同時に、EU市場における競争力と市場参入能力の強化にもつながります。」 とアウケ・ルーツマUNDPウクライナ常駐代表は述べました。
本研修を共催したUCCIは、日本市場をウクライナ企業にとって重要な輸出先の一つと位置付けています。
「ウクライナ商工会議所は長年にわたり、国内企業の海外パートナー開拓を支援してきました。その中でも日本市場は最も有望な市場の一つです。私たちの役割は、企業に一般的な助言を提供することではなく、実践的なツールと市場への直接的なアクセスを提供し、日本企業の関心を具体的な商談や契約へと結び付けることです。」とUCCIのゲンナジー・チジコフ会頭は述べました。
日本企業側でも、ウクライナとの協力に対する関心は高まっています。
在ウクライナ日本国大使館によると、日本政府の支援のもと、80社を超える日本企業がすでにウクライナで事業を展開、あるいはウクライナ企業との連携を模索しており、その分野は農業、IT、エネルギー、インフラ、住宅、保健医療など多岐にわたります。現在の最大の課題は、日本企業側の関心不足ではなく、ウクライナ企業が日本市場の求める要件を満たすための準備であり、本研修はまさにその課題に対応することを目的として実施されました。
「ウクライナと日本は、共通の価値観を共有する信頼できるパートナーとして、ビジネス連携をさらに強化・拡大していくことができます。ウクライナは日本から地理的に遠く、多くの日本企業にとってこれまでビジネス上なじみの薄い国でしたが、多様な産業分野の日本企業を引き付ける新たな成長市場となる可能性を秘めています。」と高野茂JETROウクライナ海外進出アドバイザーは述べました。
本プログラムは、日本市場への参入準備状況の確認から、販売チャネルの選定、最終的な商品価格の算出まで、市場参入に必要なプロセスを段階的に学べる構成となっています。参加者は専門家による講義を受けるだけでなく、企業プロフィール、コンプライアンス・チェックリスト、価格設定や物流コストの試算などの実務資料を自ら作成しながら、実践的な準備を進めました。研修終了時には、参加した各企業が日本市場への進出に向けた独自の行動計画を策定しました。
その結果、64社のウクライナ企業が、日本市場への参入計画と、日本企業との商談に活用できる実践的な資料を整えたうえで本プログラムを修了しました。今後数カ月にわたり、UNDPは参加企業に対し、アドバイザリーサービス、ビジネスマッチング、輸出促進に関する追加支援を通じて継続的なサポートを提供していきます。
ウクライナにとって、日本のような市場へのアクセス拡大は、輸出先の多様化、経済復興、そして強靭性強化に向けた重要な一歩となります。また、日本市場で成功を収めることは、ウクライナ企業がアジア市場全体への展開を進めるとともに、長期的な国際的パートナーシップを構築する上でも大きな後押しとなります。