UNDPと日本政府、ウクライナ前線地域へ冬季を前に暖房設備を供与

2026年7月3日
Industrial mechanical room with large pipes, valves, and red and blue pumps.
Photo: UNDP Ukraine / Ksenia Nevenchenko

国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所は、日本政府の資金拠出のもと、ウクライナ地域・国土開発省と連携し、ウクライナの前線地域に位置するコミュニティへ、総出力4メガワットの国産天然ガス焚きブロックモジュール式ボイラー設備を供与しました。

最新の「ウクライナ迅速被害・ニーズ評価(Rapid Damage and Needs Assessment:RDNA)」によると、ウクライナのエネルギー部門が受けた被害総額は約248億米ドルに上ると推計されています。この被害により、安定した電力、暖房、給水へのアクセスが大きく損なわれ、2025年後半には全国で数百万人が、頻発する長時間の停電の影響を受けました。このような状況において、暖房能力の強化は、必要不可欠な公共サービスを維持し、地域社会のレジリエンス(強靱性)を高める上で重要な役割を果たします。

モジュール式ボイラー設備は、主要な電力網に接続することなく稼働できる自立型の熱供給設備です。今回導入された設備により、1,600世帯以上に加え、2つの教育機関と1つの医療施設へ、安定した暖房を供給することが可能となりました。

中込正志 在ウクライナ日本国特命全権大使は、戦時下にあるウクライナに対する日本の継続的な支援の意を改めて表明しました。「全面侵攻の開始以降、日本は最も厳しい冬の時期を含め、一貫してウクライナと共にあります。日本は、ウクライナ政府およびUNDPと緊密に連携しながら、必要不可欠な公共サービスの継続的な提供を支えるため、数千台の発電機やポータブル電源に加え、ガスタービンやコージェネレーション設備を含む大型のエネルギー関連機材を供与してきました。本日の引渡式は、今後数か月にわたり、ウクライナのエネルギー・レジリエンスを支える日本の強いコミットメントを示すものです。」

コスチャンティン・コヴァルチュク ウクライナ地域・国土開発副大臣は、重要インフラのレジリエンス強化において、分散型熱供給システムが重要な役割を果たすことを強調しました。「戦時下では、電気や暖房など、生活に不可欠なサービスを途切れさせない仕組みづくりが非常に重要です。昨年は、関係者の協力により600メガワットを超える新たな熱供給能力を整備しました。今年は、政府のレジリエンス計画に基づき、さらに約2,000メガワットの追加を目指しています。今回導入されたモジュール式ボイラー設備により、一つの大規模な熱供給設備に頼ることなく、地域で安定して暖房を供給できるようになります。これにより、厳しい状況下でも、住民の暮らしや学校、医療施設などへの暖房を継続して提供できるようになります。」

アウケ・ルーツマUNDPウクライナ常駐代表は、地域のニーズに迅速に応えるためには、ウクライナ国内で製造された設備を活用することが重要であると強調しました。「今回のボイラー設備の導入は、次の冬を前に、地域の暖房をより安定して届けるための大きな一歩です。UNDPは、ウクライナ政府やパートナーの皆さまと力を合わせ、一つひとつの設備、一つひとつの地域を着実に支援しながら、人々が電気や暖房、水を『いつか利用できることを願うもの』ではなく、『安心して利用できるもの』にしていくために取り組んでいます。この設備がウクライナ国内で製造されたことは、地域の技術やノウハウを生かすことで、支援を必要とする人々へより迅速に支援を届けられることを示しています。こうした取り組みを継続的に支えてくださっている日本政府に、心より感謝します。」


背景

日本政府は、ウクライナにおけるUNDPの主要なパートナーの一つとして、同国の重要インフラの復旧と強靱化に必要な機材の調達を継続的に支援しています。

これまで、このパートナーシップを通じて、ウクライナ国内約900万人が、電力や暖房、水道などの生活に欠かせないサービスをより安定して利用できるようになりました。これまでに日本政府との連携により供与された主な機材は以下のとおりです。

  • 高圧単巻変圧器:4基
  • ガスエンジン・コージェネレーション設備:6基
  • ガスタービン:4基
  • インバーター(可変周波数ドライブ):15基
  • ポータブル電源:1,007台
  • 発電機:1,354台

また、UNDPは7基の単巻変圧器のウクライナへの輸送も支援しています。