ほうきを手に、シリアの街ホムスへ帰る:帰還者が地域清掃の先頭に立つ
2025年12月9日
レバノンのアルサール難民キャンプでかつて避難生活を送っていたビラール、アブデル・ハミド、ヌールの3人の男性は、今、シリアの都市ホムスの復興に向けて道を切り開いています。故郷への道のりは容易ではありませんでしたが、彼らは「失われたものを再建し、再出発する」という目的を胸に、帰還することを選択しました。
長年の避難生活を経て戻ってきた街は、破壊の跡が色濃く残っていました。しかし、彼ら帰還民にとってこの街は、幼い頃の思い出と長年の夢が詰まった「故郷」でもあります。
ヌール
「帰ってくるという決断は、単なる選択ではなく、避難生活を受け入れるか、変化を起こすかという2つの選択肢のはざまにある挑戦でした」と語るのは、現在、フランス文学を専攻する大学2年生でありながらも家族7人を支える22歳のヌール。そして、ビラール、アブデル・ハミドとともにUNDPのホムスにおける廃棄物管理プロジェクトに参加しています。
このイニシアチブは日本政府の支援を受け、ダマスカス郊外のタルトゥース、ホムス、ラッカ、ハマーの各県で3万トンの廃棄物を除去し、300の雇用機会を創出することを目的としています。ホムス県だけでも100人の雇用が生まれました。
避難民の帰還により、すでに損傷を受けていたインフラにさらなる負担がかかる中、このプロジェクトは即時的な支援と長期的な復興の両面で貢献しています。街路や公共の場の瓦礫を除去することで、健康や環境面の喫緊のリスクに対応すると同時に、日常の暮らしに安定をもたらすための助けとなっています。
ビラール
22歳のビラールは電気工学を専攻する大学3年生で、医療を必要とする父を含む5人家族の唯一の稼ぎ手です。「毎日、たくさんの瓦礫を片付けています。街に再び息を吹き込んでいるように感じます。」と語ります。
アブデル・ハミド
49歳のアブデル・ハミドは、妻と2人の幼い娘、高齢の両親を含む6人家族を支えています。「この仕事は単なる街路の清掃ではありません。私たち市民がこの街を再建する準備ができていることの証しです」と語り、「子どもたちや両親を支える手段でもあり、再出発の方法なのです」と続けます。
このプロジェクトは、単なる収入源以上のものをもたらしました。それは深い使命感でした。例えば、ビラールとヌールは、長年中断していた大学生活を再開するきっかけを得ました。「私にとって、このプロジェクトと教室は同じ目標の一部です—私たちの未来を再建することなのです」とビラールは語ります。
ホムスが少しずつ息を吹き返す中、彼ら3人の帰還者は、ゼロから立ち上がる復興の姿をまさしく体現しています。彼らの清掃活動は単なる仕事ではなく、地域社会全体で街を取り戻し、再生するための意義ある貢献なのです。瓦礫が一つずつ取り除かれるたびに、ホムスの住民はより健康で希望に満ちた環境へと一歩近づいています。
この廃棄物管理プロジェクトは、日本の支援を受けてUNDPが進めるより広範な取り組みの一部で、喫緊の環境及び公衆衛生上の課題に対応しながら、避難や帰還の影響を最も受けた地域に経済的機会を提供しています。このイニシアチブは、都市環境の改善だけでなく、最も支援を必要とする人々に尊厳と希望を取り戻すことで、地域社会のレジリエンス(強靭性)を築き上げてきました。
ビラールはこう語ります。「ホムスを、私たち住民自身の手で再建された街にしたいのです。」
ヌールはこう言います。「私たちが瓦礫を一つずつ撤去することも、大学の授業に出席することも、すべてがシリア再建の一部なのです。」