バリ島で避難訓練の一環として「津波アメージングレース」を開催。世界津波の日に際して、防災の学びを行動へ
2025年11月5日
インドネシアバリ島─世界津波の日(World Tsunami Awareness Day)を記念して、国連開発計画(UNDP)は日本政府の支援のもと、地域津波プロジェクトを通じて、インドネシア・デンパサール市セランガン村で、避難訓練の一環として「津波アメージングレース」を開催しました。
インドネシア・バリ州防災庁(BPBD)およびバリ州防災減災フォーラム(FPRB)との協力のもと開催された本イベントには、セランガン村および周辺地域から、学生、地域住民、ボランティア、地方自治体職員など300人以上が参加しました。また、在インドネシア日本大使館およびUNDPの代表者も参加しました。
津波アメージングレースは、UNDPと日本政府が実施する地域津波プロジェクトの一環として開催されました。このプロジェクトは2017年以降、インドネシアを含むアジア太平洋地域の学校や地域社会を対象に、津波への備えを強化する支援を行っています。
体験を通じた津波防災学習
参加者はおよそ5名ずつ20チームに分かれ、セランガン村役場をスタート地点としてレースを開始しました。そこから6つのチェックポイントを巡り、最終地点であるセランガン村の津波避難センターを目指しました。各チェックポイントでは津波への備えに関する理解を深めるための課題が出され、津波の発生要因の特定、自然現象による警戒サインの認識、インドネシア気象気候地球物理庁(BMKG)から発信される早期警報メッセージの読み取りなど、多岐にわたりました。最終チェックポイントでは、避難センター到着後に取るべき実践的な行動に焦点を当てた課題に参加し、学んだ知識を実際の行動を通じて体験的に身につけました。
「友達と一緒にレースに参加して、ゲームを楽しめてとても嬉しかった。津波の前兆や安全な高台への避難方法を学ぶことができた。」と、インドネシア・バリ島の特別支援学校(SLB 2)の生徒であるファレルさん、グン・リズキーさん、ランディさんは述べていました。
メインのレースが進行する一方で、幼稚園や小学校の児童たちはセランガン村の避難センターに集まり、「津波防災」をテーマにした塗り絵コンテストを行いました。この活動は幼い子どもたちでも防災意識を楽しく、わかりやすく、記憶に残る形で学ぶきっかけとなりました。
イベントの締めくくりとして、セランガン村の避難センターで開会式が行われ優勝チームへの表彰が行われました。式典ではセランガン村のニ・ワヤン・スカナミ村長、バリ州防災減災フォーラム代表イ・プトゥ・スタ・ウィジャヤ氏、バリ州防災庁(BPBD)局長イ・ゲデ・アグン・テジャ・ブサナ・ヤドニャ博士の代理出席をしたバリ州防災庁(BPBD)危機管理センター(Pusdalops)所長のイ・ワヤン・スリヤワン氏、在インドネシア日本国大使館の商務部二等書記官の西沢樹氏、そしてUNDPバンコク地域事務所の地域津波プロジェクト・プロジェクトマネージャー、スイン・バン氏が挨拶を行いました。
バリ州防災減災フォーラム代表のイ・プトゥ・スタ・ウィジャヤ氏、セランガン村長のニ・ワヤン・スカナミ氏、UNDPバンコク地域事務所の地域津波プロジェクト・プロジェクトマネージャー、スイン・バン氏、そして在インドネシア日本国大使館の商務部二等書記官である西沢樹氏が、津波アメージングレースの開会式に出席。
津波アメージングレースの閉会式に、バリ州防災庁(BPBD)危機管理センター(Pusdalops)所長のイ・ワヤン・スリヤワン氏が登壇。
津波アメージングレースの閉会式に、バリ州防災減災フォーラム代表のイ・プトゥ・スタ・ウィジャヤ氏が登壇。
レースの終わりには全ての参加者が津波への理解を深めるとともに、防災への自信と、「備えが命を救う」という共通の認識を再確認しました。また、津波について学ぶことが実践的でありながら楽しく取り組めるものであることを体験しました。
日本から受け継がれるもの:世界津波の日 そしてその先へ
毎年11月5日に定められている「世界津波の日」は、2015年に日本の提案を受けて国連総会によって制定されました。この日は各国政府、国際機関、市民社会に対し、津波災害のリスクに対する認識を高め、その被害を減らすために革新的な取り組みを共有することを呼びかけています。世界津波の日の制定は、日本が長年にわたって培ってきた津波への経験と、早期警法システム、防災教育、より良い復興(Build back better)の理念を世界に広めてきたリーダーシップに着想を得たものです。
世界津波の日は毎年、世界各地で開催されるイベントや防災訓練、教育キャンペーンなどを通じて、人々の津波リスクに対する理解と、安全を守るための行動意識を高めています。日本では、2025年11月27日から28日にかけて仙台市で「世界津波の日 高校生サミット」が開催され世界各国から高校生が集まります。このサミットは、防災・減災に関する知識を学び、災害への備え、対応、復興の重要性を理解することで、防災分野を担う次世代のリーダーを育成し、国際的な交流を促進することを目的としています。
日本が主導してきた世界津波の日の精神は、バリ島でも受け継がれています。津波アメージングレースを通じて、地域の人々がチームワークと学びの共有をし、防災力を高めるために一つになりました。日本とインドネシアで行われたこれらの取り組みはいずれも、同じメッセージを伝えています。―「知識」と「協働の力」こそが命を守る最も強力な手段であるということ。それは過去の災害から得た教訓を未来の世代へと継承し続けるという、日本の揺るぎない決意を象徴しています。
UNDP・日本政府地域津波プロジェクト
日本政府の支援を受けて実施されているUNDP地域津波プロジェクトは、学校を起点として地域全体の防災力を高めることを目的としています。
2017年の開始以来、このプロジェクトはアジア太平洋地域の24か国において約800校を支援し、津波避難訓練や防災教育プログラムを実施してきました。これまでに22万人を超える生徒、教員、地方行政職員、地域住民がその活動に参加しています。
インドネシアでは、本プロジェクトが国および地方の関係機関と緊密に連携し、学校や地域社会における防災意識の備えの強化を進めています。バリ島では、UNDPが州政府、防災庁(BPBD)、および地域の防災減災フォーラムと協力し、避難訓練や啓発活動を実施してきました。また本プロジェクトの一環として、UNDPはバリのタンジュン・ブノア村のホテルとも協働しており、同地域に10のホテルが地方自治体および近隣の学校と覚書(MoU)を締結し、災害発生時に一時的な避難施設として機能する体制を整えています。閉会式では、在インドネシア日本国大使館商務部二等書記官の西沢樹氏が、「日本は今後もUNDPや地域の他のパートナーと緊密に連携し、安全でより強靭な社会の構築に取り組んでいきます」と述べました。
防災意識でつながるコミュニティ
セランガン村で開催された津波アメージングレースは、学校、地域社会、行政機関が連携して防災文化を育むことの重要性を改めて示しました。
教育、チームワーク、そして創意工夫を組み合わせることで、世代を超えた防災意識と協働の力を高める取り組みとなりました。UNDPは今後も、インドネシア国家防災庁(BNPB)、教育省、日本政府と連携し、地域に根ざした防災・減災の取り組みをさらに拡大していきます。
セランガン村は、学びの共有と地域の主体的な参加が命を守る力となることを体現するモデルケースとなっています。
イベントの最後に、バリ州防災減災フォーラム(FPRB)代表のイ・プトゥ・スタ・ウィジャヤ氏(スタ氏)は次のように語りました。「今日学んだことを、子どもたちがずっと覚えていてくれることを願っています。防災は参加型で楽しく学ぶことができます。子どもたちは実際に体験することで理解を深めていきます。その体験こそが違いを生み、学んだことを記憶し、実践する力につながるのです。」
津波アメージングレース参加者の様子
スイン・バン(Sooin Bang) UNDPバンコク地域事務所 防災・復興/レジリエンス構築チーム(DRT)地域津波プロジェクト・プロジェクトマネージャー sooin.bang@undp.org
ヴィクトリア・ウィトリンガー・デ・リマ(VIKTORIA WITTLINGER DE LIMA) UNDPバンコク地域事務所 防災・復興/レジリエンス構築チーム(DRT)地域津波プロジェクト・広報コーディネーター viktoria.lima@undp.org
ナピラ・ラフマニ(Nabilla Rahmani)コミュニケーション・アナリスト/UNDPインドネシア Nabilla.rahmani@undp.org
毛利 英之(Hideyuki Mohri)広報官/UNDP駐日代表事務所 hideyuki.mohri@undp.org
UNDPについて:UNDP(国連開発計画)は、貧困や格差、気候変動という不公正に終止符を打つために闘う国連の主要機関です。170カ国におよぶ専門家とパートナーのネットワークを通じて、人と地球のために持続的かつ統合的な解決策を構築する支援を行っています。詳しくはundp.orgをご覧いただくか、@UNDPをフォローしてください。