タンザニアで就学前児童を対象に、住血吸虫症の画期的な新治療オプションの試験的導入を開始
2026年3月12日
タンザニア保健省は、国立医学研究所(NIMR)を通じ、UNDPおよびWHOとの連携のもと、住血吸虫症に苦しむ就学前児童のために特別に開発された新しい治療オプション、小児用プラジカンテル製剤のアルプラジカンテルの提供を開始しました。本プログラムには、日本およびグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)がパートナーとして参加しています。開発パートナー、ドナー、政府関係者及び実施機関が、ムワンザ州センゲレマ地区にあるセンゲレマ保健センターにて、検査と治療を組み合わせたアプローチによる最初の投薬を視察する予定です。
今回のパイロット事業の開始は、タンザニアにおける住血吸虫症対策の中でも、特に5歳未満の子どもたちの感染率が依然として高いビクトリア湖周辺地域(レイクゾーン)において重要な節目となります。パイロット事業は、選定地区の 25,000人以上の就学前児童を対象とし、今後は全国および地域規模での展開戦略の策定に資することを目的としています。
タンザニア保健省の非感染性疾患・顧みられない熱帯病対策プログラム調整官である、モハメッド・ニャティサイ氏は、住血吸虫症は特にビクトリア湖周辺の地域コミュニティに深刻な健康上の負担をもたらし続けていると述べました。 同氏は、重篤な症状を抱える患者が保健施設に引き続き来院しており、重い合併症や死に至るケースすらあると説明しました。 「長年にわたり、5歳未満の子ども向けの治療は困難を伴ってきました。利用可能な薬剤が当該年齢層に適した形で作られておらず、副作用を伴うことが多かったのです。ようやく適切なガイドラインに遵守した、安全な投与が可能な子どもに優しい製剤が整いました」
これまで、プラジカンテルの一般的な副作用には、空腹時の服用による嘔吐・腹痛・倦怠感などが含まれており、食事を十分に摂れていない子どもがいることも多い農村部では大きな障壁となっており、保護者からも副作用に対する懸念の声が寄せられていました。タンザニア保健当局は、新たに導入されたアルプラジカンテルは幼い子どもにより適していると述べた上で、万が一副作用が生じた場合は最寄りの保健施設に連絡するよう、保護者に助言しました。
UNDPタンザニア事務所のジョン・ルテラ副代表は、本パートナーシップが幼い子どもたちに対する長年の治療格差を解消する共通のコミットメントを反映していると説明しました。「従来の薬剤の多くは、主に成人向けに開発されてきました」と述べ、「UNDPは新規医療技術のアクセスと提供に関するパートナーシップ(Access and Delivery Partnership:ADP)を通じて、新たに開発された治療オプションの導入を含む、国内展開を可能にする提供モデルの検証を支援してきました」と付け加えました。 同氏はさらに、衛生環境の改善、安全な水の利用、そして地域コミュニティへの啓蒙活動によって住血吸虫症は予防可能であることを強調しました。
日本の支援による、新規医療技術のアクセスと提供に関するパートナーシップ(ADP)を通じ、UNDPは2018年以降タンザニアで疾患地図の基礎調査、地域コミュニティとのエンゲージメント、国家レベルの協議、規制強化、費用対効果分析などを支援してきました。
国立医学研究所 (NIMR)の研究調整・推進部長であり、小児用プラジカンテル製剤提供・展開準備に向けた医療システム能力強化(STEPPS)プロジェクトの主任研究者でもあるポール・カジヨバ博士は、レイクゾーン地域の環境条件が、住血吸虫症の高い感染率に大きく寄与していると説明しました。「今回の進展により、これまで集団投薬キャンペーンから取り残されていた幼い子どもたちにも治療の選択肢が広がります」
18か月にわたるパイロット事業では、イティリマ、センゲレマ、キゴマの各地区の評議会において実施され、アルプラジカンテルを既存の保健システムに統合できるかどうか、複数の提供モデルの検証も行われます。
2025年9月、タンザニアはアルプラジカンテルに対する規制承認を世界で初めて取得し、パイロット導入への道を切り開きました。国際パートナーとの連携のもと、技術支援が国家規制プロセス及び承認メカニズムの迅速化を後押ししました。 住血吸虫症は世界で数百万人に影響を与えており、タンザニアでは特にビクトリア湖周辺で高い感染率が報告されています。
今回導入されたアルプラジカンテルは、5歳未満の子ども向けに特化して開発された新しい治療オプションであり、これまで存在していた治療格差を解消するとともに、顧みられない熱帯病に対する子ども中心のイノベーションを推進する上で、タンザニアを世界的リーダーとして位置づける重要な一歩でもあります。
本記事は、タンザニアメディアThe Citizenによるプレスリリース内容を翻訳し、転載したものです。