UNDPとJICA、瓦礫管理におけるウクライナ国民の健康保護に向けた取り組みを主導

2025年3月11日
Worker in safety gear and mask at a construction site with machinery in the background.
Photo: Oleksii Ushakov / UNDP in Ukraine

キーウ発、2025年3月5日 — 国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所と国際協力機構(JICA)は協力し、瓦礫の除去、運搬、リサイクルにおける安全な取り扱いに関する包括的な研修を実施しました。本研修では、特にアスベスト含有材料(ACM)の管理と、爆発物(EO)によるリスク軽減に重点を置いています。 

ハルキウ、ドニプロ、ムィコラーイウ、ヘルソン、スーミといったウクライナ5都市の代表者が本研修に参加し、また保健省、環境保護・天然資源省、キーウ州政府の関係者も参加がありました。 

最新の「迅速被害・ニーズ評価(RDNA4)」によると、ウクライナでは住宅戸数の13%が損傷または破壊されており、作業員や地域住民のアスベスト曝露リスクが著しく高まっています。そのため、これらの有害物質を適切に管理することは、復旧プロセスにおける労働者や住民の安全を確保するために不可欠です。 

本研修は2日間にわたり行われ、専門家によるセミナーと現地視察が含まれました。1日目には、ACMの識別方法、適切な取り扱い手順、防護具(PPE)の使用方法について学びました。

また、爆発物に関するセッションでは、潜在的な脅威への対応に関する安全基準も取り上げられました。

2日目には、JICAが支援中のボロジャンカ市の瓦礫リサイクル施設を訪問し、環境に配慮した瓦礫管理の実践例を視察しました。この現地訪問を通じて、汚染や健康リスクを最小限に抑えながら、瓦礫を再建のための二次資材として活用する手法を学びました。

松永秀樹 JICAウクライナ事務所 所長は、日本が自然災害による大規模な被害から復興してきた経験を強調しました。「日本は、瓦礫管理やアスベストなどの有害物質の安全な取り扱いを含む複雑な復興プロセスを経験し、貴重な知見を得てきました。UNDPとの共同研修を通じて、その経験と教訓を共有し、ウクライナの安全で持続可能な復興に貢献したいと考えています。」

ミコラ・カラシュニク キーウ州政府代表代行は、ウクライナにおける持続可能で安全な瓦礫管理の取り組みの成功について詳しく説明しました。「2024年11月以降、ボロジャンカの瓦礫処理施設ではキーウ州内の3つの地域から回収された4,300トン以上の瓦礫を処理し、そのリサイクル資材はすでにインフラ再建に活用されています」とカラシュニク氏は述べました。「JICAとUNDPには、設備の提供だけでなく、研修、教育、意識向上を通じた能力強化の支援に感謝しています。」

横井水穂 UNDPウクライナ事務所プログラム・マネージャーは、復興作業の最前線にいる人々の安全確保の重要性を強調しました。「常に安全が第一優先です。UNDPは地方自治体や復興チームと緊密に連携し、必要な知識とツールを提供することで、公衆衛生と環境を守る取り組みを進めています」と横井氏は述べました。「JICAとのパートナーシップを通じて、専門知識とリソースを統合し、ウクライナの復興支援の影響を最大化できれしく思います。」

背景

世界保健機関(WHO)と国際労働機関(ILO)によると、職場におけるアスベスト曝露は年間20万人以上の死亡原因となっており、約1億2500万人が職場でアスベストにさらされています。

UNDPについて

UNDPはウクライナにおいて大規模な瓦礫管理プロジェクトを主導しており、8つの地域で瓦礫撤去の実務支援を行っています。地方自治体への研修や設備の提供、リサイクルの導入、法整備支援を通じて能力強化を進めています。また、安全なアスベスト管理にも注力し、防護具(PPE)の提供、安全基準の徹底、作業員の研修、アスベストの危険性に関する啓発活動を実施しています。

JICAについて

国際協力機構(JICA)は、日本の政府開発援助(ODA)の実施機関です。国際協力を促進し、世界の社会経済的発展を支援することを使命に掲げています。2022年以降、JICAはウクライナの緊急復旧および復興を支援しており、その中でも瓦礫管理が優先分野の一つとなっています。広範な破壊に対応するため、JICAは現地のパートナーと協力し、瓦礫管理能力の強化に取り組んでいます。その取り組みには、運用指針の策定や、キーウ、ハルキウ、ヘルソン、ドニプロ、ムィコラーイウ、スーミなどの主要地域への必要な機材の提供が含まれます。また、この支援には、アスベスト分析および安全な取り扱いに関する能力構築も含まれています。

UNDP & JICA conduct joint training sessions on asbestos awareness and safe handling to protect workers and communities’ health