記録的な帰還民の増加、干ばつ、支援削減によりアフガニスタンの危機が一層深刻化

緩やかな経済成長にもかかわらず生活状況は改善せず、アフガニスタンでは4人に3人が基本的なニーズを満たせない状況にあり、1人当たりGDPも2020年の水準を大きく下回っています。

2026年5月13日
Photo: UNDP Afghanistan

国連開発計画(UNDP)の新たな報告書によれば、アフガニスタンでは貧困が引き続き深刻化しており、2025年には国民の4人に3人にあたる約2,800万人が最も基本的なニーズを満たせない状況にあります。これは、緩やかな経済成長が急速な人口増加、国際援助の減少、気候変動による影響の深刻化、そして、女性の権利に対する継続的な制限が影響しています。 また、2025年だけでも290万人のアフガニスタン人が帰還したことで、すでに厳しい状況にある公共サービスや人々の生計に、さらに負担がかかっています。

UNDPによるアフガニスタン社会経済報告書は、最低限の生活を維持できない人々の割合は変わらなかったものの、2025年に帰還者が増加したことで、影響を受ける人の数は推計でさらに140万人増加したと指摘しています。

国連事務次長補 兼 UNDPアジア太平洋地局長のカンニ・ウィグナラジャは、「本年の報告書は、アフガニスタンの社会経済状況が一層の圧力にさらされている現状を明らかにしています。2025年には、多数の帰還者に加え、経済的および気候的な打撃が重なり合い、状況がさらに悪化しています」と述べました。さらに、「これは、人間開発の基礎的な進展が、アフガニスタン国内のみならず周辺地域の安定にとって極めて重要であることを示しています。特に、極めて脆弱な生態環境に暮らす最も弱い立場の人々にとってはなおさらです」と強調しました。

帰還の規模は前例のないものであり、ニーズの構造を大きく変化させるとともに、新たなリスクを生み出しています。2023年から2025年にかけて約500万人のアフガニスタン人が帰還し、最近の帰還民は特に深刻な脆弱性に直面しています。最低限の生計を維持できない割合は全国平均の74%に対し、帰還民では92%に達しています。また、帰還民が多い州では、正規雇用に就いている人はわずか3%にとどまり、78%が日雇い労働に依存しています。

アフガニスタン経済は2年連続で緩やかな成長を記録したものの、実質GDP成長率は2024年の2.3%から2025年には1.9%へと減速しました。一方、人口増加率は6.5%と経済成長を上回り、1人当たり実質GDPは推計2.1%減少しました。その結果、所得水準は2020年を大きく下回る状態が続いており、この指標においてアフガニスタンは世界でも最も貧しい国の一つとなっています。

また、2025年には貿易赤字が過去最大となる113億米ドルに拡大し、名目GDPの約60%に相当しました。これは輸入の急増と輸出の停滞によるものです。さらに、農業部門は2025年に深刻化した気候ショックの影響を受け、干ばつの発生率はほぼ倍増し、国土の64%に影響が及びました。適切な飲料水へのアクセスも全国で44%に低下し、2024年の59%から大きく悪化しています。

女性と女児の権利に対する制限は、労働力の縮小を招くだけでなく、同国の経済的潜在力を損なっています。2021年以降に発出された約100の規制が2025年時点でも継続して施行されており、女性の就労、教育、移動の自由が制限されています。女子の就学率は42%にとどまり、男子の73%と大きな格差が見られます。

一方で、支援ニーズが増大する中、アフガニスタンへの国際支援は2025年に16.5%減少しました。資金不足により440以上の診療所が閉鎖またはサービス縮小を余儀なくされ、医療を受けることができない人の割合は2024年の16%から2025年には23%へと増加しています。

UNDPアフガニスタン事務所代表のスティーブン・ロドリゲスは以下のように述べました。「アフガニスタン各地のコミュニティが必要としているのは、短期的な支援にとどまりません。前進への道筋です。雇用、基本サービス、地域市場への投資は、家計の回復を後押しし、人々が生活を立て直し、自らの将来を切り拓くための現実的な機会を提供するうえで不可欠です。」

報告書全文はこちらから