日本政府とUNDP、シリアにおける電力安定供給に向けた支援を開始
2026年2月10日
ダマスカス発 − 日本政府と国連開発計画(UNDP)は、シリアの電力供給の安定化を目的とした「紛争の影響を受けた地域における電力供給安定化計画」事業(総額19億5,200万円)を開始しました。本事業は、同国で最も重要な発電施設の一つであるジャンダール発電所の維持管理を通じて、電力供給の安定化を図るものです。
本事業は日本政府の拠出により、UNDPがエネルギー省との連携のもとで実施します。発電の信頼性と効率性を向上させ、最大540メガワット(MW)の電力を送電網に安定的に供給することを目的としています。より安定した電力供給により、約184万人(約36万8,750世帯)が直接的な恩恵を受け、さらにシリア全土で推計約333万人の電力アクセスを間接的に支援することが期待されています。
駐シリア日本国大使館の辻昭弘臨時代理大使は、日本が人間の安全保障の理念に基づき、これまで一貫してシリア国民を支援してきたことを強調しました。「日本は、すべての関係者およびパートナーとの緊密な協力のもと、今後も支援を継続していく決意です。ジャンダール発電所は、1990年代初頭に日本の政府開発援助により建設されたものであり、日本国民にとっても特別な意義を有しています。また、本事業で調達される機材の一部には、高品質な日本製部品が含まれており、日本の技術力を反映するものです」と述べました。
14年に及ぶ紛争は、シリアの電力セクターに深刻な打撃を与えました。インフラの損壊、保守の遅延、燃料不足、必要な部品へのアクセス制限などにより、発電能力は低下し、基礎的サービスの提供にも支障が生じています。安定した電力供給は、病院、上下水道、学校、生計手段の維持・再興、そして経済復興にとって不可欠です。
本事業は24か月間にわたり実施され、ジャンダール発電所の1号機および2号機の保守を中心に行われます。主な活動には、優先的ニーズを確認するための技術評価、純正スペアパーツの調達および設置、設置工事のモニタリング、ならびに技術者・エンジニア向けの研修が含まれます。これらの取り組みにより、突発的な発電停止の削減、効率性の向上、ならびに運転および予防保全に関する能力の強化が図られます。
UNDPシリア事務所のムハンマド・ムダウィ常駐代表代行は、日本政府の貢献に謝意を示し、信頼性の高い電力供給が、シリアの復興と安定に不可欠な国家的優先事項であることを強調しました。「日本は、シリアの電力セクター、特にジャンダール発電所において、UNDPの長年にわたる主要なパートナーです。2014年以降、日本は3つの主要発電所の復旧を通じて、発電能力235MWの追加や約1,000MW相当の損失削減を実現するなど、シリアの電力供給支援に3,500万米ドル以上を拠出してきました。これにより、約550万人の人々にとって電力供給の安定性が大きく向上し、国家全体の発電量の約3分の1を担う主要施設からの電力供給が安定しました。今般の拠出は、こうした実績を基盤とし、緊急の保守ニーズに対応することで、電力供給の安定化と、何百万人もの人々の日常生活の改善に寄与するものです。」と述べました。
ジャンダール発電所からの電力は、国家送電網に直接供給されます。本事業は、特にホムス、ダマスカス、ダマスカス郊外、ハマ、デリゾール各県を中心に、複数の県における電力の安定供給に貢献します。対象となる発電ユニットは、年間約7,500時間稼働し、約4,400ギガワット時(GWh)を発電しています。バルブや燃焼器バスケットの交換を含む今回の保守事業により、電力の供給及び安定性は大幅に改善される見込みです。