UNDPと日本、ウクライナの各地方の戦略計画策定に向けて全国フォーラムを開催

2025年2月13日
A panel discussion at a forum, featuring five speakers on stage with an audience in front.
Photo: Anton Borysiuk / UNDP Ukraine

国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所と日本政府は、ウクライナ地方・国土発展省との連携により「地域レベルの戦略計画:復旧から開発まで」と題された全国フォーラムの開催を支援しました。本フォーラムには、ウクライナ政府関係機関や地方自治体、国際パートナー、専門家、学者を含む250名以上の参加者が集いました。

本フォーラムは、2024年12月から2025年1月にウクライナ全国を網羅した7つの戦略的セッションを総括するものです。これらのセッションでは、国内の様々な地域開発戦略を更新し、2021年~2027年における地域開発国家戦略と統合させることを目的としています。特に、「一時的に占領されている地域」、「前線地域」、「中心部」、「西部地域」というウクライナの4つの中心的な地域区分における地域区分特有の課題への対応に重点が置かれました。

本フォーラムは、ウクライナの地方における復旧と開発のための戦略を策定する上で重要な一歩となりました。イベントでは、一連の戦略的セッションから得られた重要な知見がまとめられ、戦略計画のための新たな地域志向型のアプローチが発表されました。

また、自治体やコミュニティ、地域行政の代表者、および専門家もグループで協力し、さまざまな地域タイプごとの優先課題を特定し、フォーラムの最後に提言を発表しました。

ウクライナ復興省 副大臣 兼 地方・国土発展省 大臣 オレクシー・クレバ氏は、ウクライナの復旧は単に破壊されたインフラを再建することにとどまらず、国内地域が持続可能な開発をするための基礎を築くことだと強調します。「今日策定している戦略的アプローチによって、戦争の影響を克服し、意識的な復旧と成長を遂げることを可能にします。」とクレバ氏は述べます。「私たちが共通して掲げている目標を達成させる上で欠かせないUNDPと日本政府の継続的なご支援に心から感謝しています。」

UNDPウクライナ事務所 常駐副代表 クリストフォロス・ポリティスは、本イベントにて、持続可能な復旧プロセスと開発優先事項の推進は、戦略的な計画を無しには不可能だと指摘しました。

「これは、単に失ったものを再建することだけではありません。より強靭で、包括的な未来志向のウクライナを作るものです。」とポリティス氏は言及しました。「そのためには、計画は包括的で、国家・地域・地方の全てのレベルで実行されなければなりません。地域・地方当局は、このプロセスにおいて重要な役割を果たしますが、効果的に戦略を実行するためには、実践的なツールやデータ、知識、資源を必要とします。これらを無くして長期的な復旧と開発は実現不可能です。そのため、UNDPはウクライナにおける制度強化、包摂的な復興と社会的結束の促進、そして全地域にわたる経済の持続可能性の確保を支援し続けます。

中込正志  駐ウクライナ日本国特命全権大使は、このような困難な時に日本がウクライナ共にあるという揺るぎない約束を強調し、「ウクライナが今直面している困難に対処し、将来世代のために持続可能な発展する上で地域戦略計画が果たす重要な役割を強調します。」と中込大使は述べます。「日本は、この重要なイニシアチブを支援できて光栄であり、ウクライナへの支援を継続するという強い決意を改めて表明し、コミュニティや地域のリーダーと協力して、より強固な未来の構築に取り組んでいます。」

背景

2024年12月から2025年1月にわたって、「復旧、開発、調整のための効果的なメカニズムとしての地域戦略的計画」と題された一連の戦略的セッションがウクライナ地方・国土発展省、UNDPウクライナ事務所、日本政府による資金拠出によって開催されました。これらのセッションの目的は、既存の地域戦略と新しい戦略的提案を見直し、それらと2021年~2027年における地域開発のための国家戦略の整合性を評価し、各地域特有な現状と課題を分析し、地域の生産能力を評価し、体系的な提言を策定することです。

7つのセッションは、ウクライナ国内の7つの市で開催され、全地方を網羅し、800名以上が参加しました。これらの戦略的セッションは、UNDPとウクライナ地方・国土発展省との広範なパートナーシップの一環です。2023年から2024年には、日本政府の拠出を受けたパイロットプロジェクトを通じて、UNDPは10つの地方自治体において戦略的な計画書類の作成、汚職リスクの評価、地方当局の能力強化を支援しました。このイニシアチブの次の段階では、追加で20の自治体に対して、包摂的かつ透明性のある復旧支援に注力していきます。