復興とは、故郷へ戻ることだけではありません。生計を立て直し、未来への希望を取り戻すことでもあります。
エチオピアで帰還民が生計再建に取り組む
2026年8月5日
紛争による避難生活を終えて故郷へ戻った家族にとって、生計を再建することは最も大きな課題の一つです。エチオピア北部のティグライ州コラ・テンビエン郡では、多くの帰還民世帯がこの課題に直面しています。
こうした中、日本政府によるTICADパッケージの支援を受け、国連開発計画(UNDP)が実施する国内避難民(IDPs)の恒久的解決プログラムの一環として、電子バウチャー事業が展開されています。この取り組みを通じて、故郷へ戻った国内避難民の人々が、生計の回復と自立に向けた重要な一歩を踏み出しています。
この取り組みは、各世帯がそれぞれのニーズや将来の目標に応じた生計手段を自ら選択できるようにすることで、紛争の影響を受けたコミュニティの尊厳ある復興を後押ししています。一律の支援を受けるということではなく、それぞれの家族が自らの将来を見据え、どのように生計を再建していくのかを主体的に選択できることが特徴です。
コラ・テンビエン郡ではこれまでに、7つのケベレ(村などの小行政区)で支援対象となっている帰還民215人のうち125人が、1人当たり500米ドル相当(現地通貨建て)の電子バウチャーを活用して生計資産を購入しました。受益者は、養鶏や牛の飼育、バルティナ(伝統的な香辛料や調味料の取引・販売)など、収入創出につながるさまざまなものを選択しています。
ベガシェとメレレ両ケベレにおける残る90人の受益者に対しては、現在、灌漑設備の提供が進められており、農業生産性の向上と世帯収入の強化につながることが期待されています。
また、受益者の63%を女性が占めており、本プロジェクトが包摂的な復興を重視していることを示しています。
本プロジェクトは、国際機関と地域のパートナーとの緊密な連携のもとで実施されています。 UNDPの技術パートナーであるNEC(日本電気株式会社)は、電子バウチャーアプリの利用方法について、事業者や地方行政の担当者、UNDP職員を対象に研修を実施しました。これにより、デジタルシステムの効果的かつ安全な運用が支えられています。
生計資産の提供を進めるため、地方行政を通じて5つの地元事業者が選定されました。事業者には、デジタル取引に必要な機器の提供と研修が行われ、システムの透明性、効率性、利便性の向上につながっています。その結果、必要な支援を受益者へ迅速かつ円滑に届けることが可能となりました。
本事業は、受益者と地域の事業者をつなぐことで地域市場の活性化を促し、サプライチェーンの強化や紛争の影響から回復しつつある地域における経済活動を後押ししています。
UNDPの「復興とレジリエンスのための電子バウチャー・ソリューション・プロジェクト ( E-Voucher Solutions for Recovery and Resilience Project )」は、アファール州、アムハラ州、ティグライ州で、675人の帰還した国内避難民が自ら生計資産を選び、生計を再建できるよう支援しています。