「イナヨジュムイシャ:若者の共創、アフリカの未来を創る」
イベントレポート: 第2回模擬アフリカ連合会議のローンチ・イベント
2025年4月28日
日本で開催される模擬アフリカ連合(模擬AU)会議は、アフリカと日本の学生同士の対話と相互理解を促進することを目的としており、持続可能な開発に関する議論に主体的に参加できる場を提供しています。
第1回模擬AU会議は、2024年8月23日にTICAD閣僚会議のテーマ別イベントとして開催され、アフリカ連合の専門技術委員会(STC)および総会を模した会議が行われました。会議では、「グリーンなアフリカに向けた若者の解決策」というテーマに焦点が当てられました。第1回が成功裡に終了したことを受け、共催団体である国連開発計画(UNDP)、国際協力機構(JICA)、上智大学、そしてアフリカと日本の学生ボランティアからなる実行委員会は、第2回模擬AU会議を立ち上げました。今回の会議では、アフリカ連合総会を模した総会が、横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のテーマ別イベントとして実施される予定です。
第2回模擬AU会議のローンチ・イベントは、2025年3月3日に上智大学で行われました。本イベントでは、第1回模擬AU会議成功の勢いを受けて、第2回会議の主要テーマや議題、新しいビジョンが紹介されました。また、模擬AU会議の影響力を示す場ともなり、第1回参加者にどのような影響を与え、彼らの成長に貢献したのかが強調されました。模擬AU会議は大陸を超えたつながりを築き、若いリーダーたちを育成し、意味のある交流と持続的な影響を生み出していることが改めて示されました。対面での参加者は40名、オンラインではさらに50名が参加しました。
外務省アフリカ部参事官の村上顕樹氏(左)、上智大学の曄道佳明学長(当時)(右)
本イベントは、上智大学の曄道佳明学長(当時)の開会挨拶で幕を開けました。曄道学長は、上智大学がアフリカ研究において卓越した研究実績を有し、その学問的知見を実践的な活動と結びつけることに尽力している点に触れ、その具体的な成果として模擬AU会議の開催を挙げました。曄道学長は、若い参加者たちに対して、アフリカと直接的に関わり、グローバル市民としての意識を育む機会として、このイベントに積極的に参加するよう促しました。
続いて、外務省アフリカ部参事官の村上顕樹氏が、アフリカの若者たちが困難を乗り越える強靭さを持っていることを強調し、模擬AU会議のような取り組みがTICAD9に貢献し、参加者に多国間主義の推進を促していることを述べました。
パネルディスカッションの様子。
「模擬AU会議の概要」をテーマとしたパネルディスカッションは、前UNDP駐日代表の近藤哲生氏をモデレーターに迎えて実施され、以下の登壇者が参加しました。
・一高学仁氏(東京大学学生、第1回模擬AU会議最優秀代表賞受賞者)
・アデウンミ・オルワセウン氏(長崎大学DrPHプログラム公衆衛生学博士課程、第1回模擬AU会議アドバイザー)
・グロリア・カムウェジ氏(北海道大学大学院環境科学院修士課程、第1回模擬AU会議アドバイザー、第2回模擬AU実行委員会広報・アウトリーチ部門責任者)
・細川未智氏(上智大学卒業生、第1回模擬AU会議ラポルトゥール)
第1回模擬AU会議最優秀代表賞受賞者の一高学仁氏
パネルディスカッションの前半では、登壇者たちが第1回模擬AU会議での経験を振り返りました。第1回模擬AU会議最優秀代表賞受賞者の一高氏は、専門家と出会い、知見を得られた機会を貴重に感じたと述べました。第1回模擬AU会議アドバイザーのカムウェジ氏は、この会議を通じて、日本の若者たちがアフリカを「ひとつの国」ではなく、それぞれ異なる課題を抱えながらも、それを乗り越える力と大きな可能性を持つ、多様な国々からなる大陸として認識するきっかけになったと述べました。ルワンダ代表として参加した彼女は、環境問題をテーマに取り組み、調査や政策分析のプロセスに大きな意義を感じたと語りました。
第1回模擬AU会議アドバイザーのグロリア・カムウェジ氏
第1回模擬AU会議アドバイザーのオルワセウン氏は、ナイジェリア代表チームが最優秀代表賞を受賞した理由について、情熱、チームワーク、そして効果的な連携にあると述べました。第1回模擬AU会議ラポルトゥールの細川氏は、ラポルトゥールの役割について、議論を客観的に観察することが重要であり、包摂的な姿勢を保ち、幅広い参加者と関わることが不可欠であったと話しました。
第1回模擬AU会議アドバイザーのアデウンミ・オルワセウン氏
パネルディスカッションの後半では、第2回模擬AU会議への参加を考えている学生に向けたアドバイスや励ましの言葉が述べられました。一高氏は、準備と広い視野を持つことが重要だと強調しました。多様な人々と交流し、事前に情報を集めることが必要であると述べ、模擬AU会議が今後も長期的な影響を与え続けてほしいと期待を寄せました。カムウェジ氏は、模擬AU会議の特異性は若者に力を与え、アフリカと日本の学生をつなげる能力にあると指摘しました。
第1回模擬AU会議ラポルトゥールの細川未智氏
オルワセウン氏は、アフリカの多様性に富んでいることを強調し、ナイジェリアだけでも6つの主要な言語があり、400以上の民族が存在していることを紹介しました。彼は、多様性を受け入れ、対話を促進することが重要であり、模擬AU会議がそのための貴重なプラットフォームを提供していると語りました。細川氏は、次回の会議テーマとして包摂性が重要であり、それが生産的な議論を促進すると述べました。彼女は、次回の参加者に対して、専門家とのつながりを積極的に築き、情報収集を行い、有意義な議論に取り組んでほしいと呼びかけました。
アフナ・エザコンワ国連開発計画総裁補兼アフリカ局長
その後、国連開発計画(UNDP)総裁補兼アフリカ局長のアフナ・エザコンワが、パネルディスカッションについてコメントし、アフリカの課題に取り組む若者たちのリーダーシップに深い感銘を受けたと述べました。さらに、登壇者たちの尽力を称賛し、従来型の外交ではもはや世界の課題解決には十分に対応できないと指摘しました。その上で、平和を促進する新しい形の外交が必要だと提唱しました。また、特に日本においては人口動態の変化により若者の関与が重要であるとし、包摂性の重要性を指摘しました。エザコンワは、日本とアフリカの間での相互関係が今後さらに深まることにも言及し、UNDPとして模擬AU会議およびTICAD9に向けた国際的な協力の支援を約束しました。
第2回模擬AU実行委員会の広報・アウトリーチ部門責任者のグロリア・カムウェジ氏と、学術部門責任者の中島大雅氏が、第2回模擬AU会議の概要を説明している様子。
次に、第2回模擬AU実行委員会の広報・アウトリーチ部門責任者を務めるカムウェジ氏(第1回模擬AU会議アドバイザー)と、学術部門責任者の中島大雅氏(東京大学学生、第1回模擬AU会議議長)から、第2回模擬AU会議の概要説明が行われました。
「イナヨジュムイシャ:若者の共創、アフリカの未来を創る」をテーマとする第2回模擬AU会議では、次の3つの専門技術委員会が設置されます。
- 財務、金融問題、経済計画、統合に関する委員会: アフリカの連帯に向けたグローバル経済における若者の関与
- 若者、文化、スポーツに関する委員会: 政治改革のための若者
- 教育、科学、技術に関する委員会: アフリカの若者のための自立した富とデジタルインフラの構築
続いて、第1回模擬AU実行委員会代表を務めた大野秀征氏(慶應義塾大学学生)が、第1回会議が日本とアフリカの学生間の相互理解を大いに深め、参加者にアフリカの現実を真に理解する貴重な機会を提供したことを振り返りました。
第1回模擬AU実行委員会代表を務めた大野秀征氏(左)から、第2回模擬AU実行委員会へ、模擬AU会議引き渡し証明書が手渡されました。
閉会の挨拶は、国際協力機構(JICA)理事長特別補佐の中村俊之氏によって行われました。中村氏は、問題解決におけるオーナーシップの重要性を強調し、参加者が第1回模擬AU会議で実感したように、それを担うことは決して容易ではないことを指摘しました。アフリカの課題は世界規模の関心事であり、それらに対する革新的な解決策が日本を含め世界全体に利益をもたらす可能性があると述べました。また、中村氏は、日本とアフリカの若者がこうした課題に主体的に取り組み、議論を通じてそれを具体的な解決策へとつなげていくことを奨励しました。そして、この取り組みを通じて、新しい世代、新しい概念、そして新しいパートナーシップが生まれることへの期待を表明しました。
国際協力機構理事長特別補佐の中村俊之氏
第2回模擬AU会議ローンチ・イベントは、第1回模擬AU会議で生まれた勢いを力強く引き継ぎました。本イベントでは、主要テーマや議論すべき重要課題の発表、そして模擬AU会議の新たなビジョンの提示において、極めて重要な役割を果たしました。過去の成功を振り返るだけでなく、第1回模擬AU会議が参加者たちに与えた深い影響を改めて浮き彫りにし、そこで育まれた長く続く関係性や参加者の人生を変えるような体験が強調されました。模擬AU会議は、大陸を超えて若者たちをつなぎ、次世代のリーダーを育成することによって、単なる協働の枠を超えた、若者のエンパワーメントを実現しています。その影響は、今後も変革を促し、将来世代にインスピレーションを与え続けることでしょう。