日本政府とUNDP、ジンバブエの地雷除去と国境地域コミュニティの自立支援を推進する340万米ドルのプロジェクトを開始

2025年9月16日

ジンバブエの国防大臣、オッパ・ムチングリ=カシリ閣下(中央)は、駐ジンバブエ日本国特命全権大使の山中晋一氏(左)およびUNDPジンバブエ副常駐代表のレアレム・ベルハヌ・ディンク氏(右)による、日本政府とUNDPジンバブエとの間の署名式に立ち会いました。

【2025年8月15日 – ハラレ】日本政府と国連開発計画(UNDP)は、ジンバブエにおける対人地雷の除去を加速し、地域社会の安全と生計の向上を図ることを目的とした新たなプロジェクトを開始しました。本プロジェクトには、日本政府より300万米ドル、UNDPより40万米ドル、総額340万米ドルの資金が拠出されます。本事業「地雷除去と農業インフラの改善を通じたコミュニティのレジリエンス強化」は、ジンバブエ東部の国境沿いに位置するルシンガ地区およびムジ地区において実施されます。地雷除去活動に加え、地域住民の安全な生活環境の確保と持続可能な生計手段の構築を支援し、地域の平和と安定に寄与することを目指します。

 

モザンビークとの国境沿いに位置する地域では、ジンバブエの独立闘争に起因する爆発性戦争残存物(Explosive Ordnance: EO)の継続的な脅威により、独立から40年以上が経過した現在も、地域社会は完全な復興と日常生活の正常化を果たせずにいます。この地雷汚染区域は、元の310平方キロメートルの約4%に相当する約12平方キロメートルに及びます。地雷に汚染された土地は、村落、農地、水源のすぐ近くに位置しており、開発を妨げるとともに、人々の生命に恒常的な脅威を及ぼしています。

 

本事業は、ジンバブエ政府が対人地雷禁止条約(APMBC)および国家開発目標の下で掲げる義務の履行を直接的に支援するものです。地雷の除去により、安全に利用可能な土地が農業やその他の経済活動に活用されることで、脆弱な立場にある地域コミュニティの回復力の強化と持続的な繁栄に貢献します。

 

署名式において発言した山中晋一・駐ジンバブエ日本国特命全権大使は、日本政府が安全で平和な社会の実現に向けて引き続き取り組んでいくとの強いコミットメントを表明しました。

 

「日本は、世界各地における平和と人間の安全保障の促進に取り組む、パートナーです。今年、日本は対人地雷禁止条約(オタワ条約)の議長国を務めており、ジンバブエが地雷のない国となるための歩みを支援できることを誇りに思います。本事業は、地雷除去後の土地を農地として再生し、小規模農家支援と促進(SHEP)アプローチを通じて、農家の生計向上を後押しするものです。これは、戦争の遺した致命的な遺物を取り除くだけでなく、地域に希望を取り戻し、持続可能な開発を可能にする取り組みでもあります。この支援を通じて、私たちはジンバブエの人々との友好と連帯を改めて確認します。」

 

本事業は、地雷対策と長期的な地域開発を結びつける包括的なアプローチを採用しています。具体的には、爆発物回避教育、被害者支援、ならびにジンバブエ地雷対策センター(ZIMAC)を含む国内機関の能力強化など、多角的な取り組みが実施されます。さらに、小規模農家支援と促進(SHEP)アプローチをはじめとする多様な生計手段の導入を通じて、地域住民の経済的回復力の強化を図ります。

 

ジンバブエUNDP副常駐代表のレアレム・ベルハヌ・ディンク氏は 本事業は、持続可能な開発目標(SDGs)の中核にある『誰一人取り残さない』という原則と一致している点を強調しました。

 

 

「紛争の遺産は、長年にわたりジンバブエの国境地域における発展の可能性を制限してきました。日本国民の皆さまからの多大なご支援により実現する本プロジェクトは、人間の安全保障という根本的な課題に取り組むことを可能にします。地雷除去に加え、持続可能な開発、気候変動への対応、そして社会的結束の強化を通じて、地域コミュニティが回復し、繁栄するための道筋を築いていきます。

本事業は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献するとともに、ジンバブエが2030年までに上位中所得国となるという国家ビジョンの実現を後押しする、極めて重要な取り組みです。」

 

本事業は、国防省傘下のジンバブエ地雷対策センター(ZIMAC)事務局を通じて実施され、HALO TrustおよびMines Advisory Group(MAG)と連携しながら、地雷除去活動を主導します。また、土地・農業・漁業・水資源・農村開発省が、農業関連の全ての要素を担当し、地雷除去後の土地の再活用や生計支援の取り組みを推進します。