「安全第一」訓練でキーウと周辺地域の復興を促進

UNDPは日本政府の支援を受け、復興チームと現地当局を対象に、がれき撤去に際する爆発物・有害廃棄物処理の訓練を実施

2022年12月4日
“safety first” training in Ukraine
Photo: Serhiy Minenko / UNDP Ukraine

2022年11月24日キーウ発 — 日本と国連開発計画(UNDP)による「緊急爆発物(EO)処理がれき撤去」プロジェクトは今週、キーウ地域の復興努力を加速し、損傷を受けた建物や不安定な構造物からがれきを撤去するという新たな段階に入りました。現地当局は復興と再建、住民の安全な帰還に向けた環境の整備、復興・再建作業への安全なアクセス提供に向けた意欲を高めています。

日本政府からの寛大な資金供与の支援を受けたこのプロジェクトは、包括的なアプローチを採用しており、その手始めとして、現地の復興・がれき撤去チームを対象に、労働安全や爆発物処理、アスベストをはじめとする有害廃棄物管理に関する一連の訓練を実施しています。

キーウ州庁によると、キーウ州の69の市町村のうち46市町村(約200集落)で、建物に回復困難な損傷が生じているため、これを安全に解体し、撤去する必要が生じています。戦火による被害を受けた集落は、キーウ州だけでも200か所を超えています。UNDPの被害評価によると、キーウ州のこれら200か所の集落のうち40か所だけでも、500万トンのがれきが存在すると見られます。この500万トンのがれきは、資材として再生した場合、キーウからベルリンまで道路を敷設できる量に相当します。

がれきを撤去しなければ、再建は始まりませんが、これには地雷や不発弾、アスベスト汚染などのリスクや危険が伴います。そこでUNDPは、こうした危険に対する認識を高めるための訓練を実施しています。すでに110人のがれき撤去作業員が講習を受けました。

講習会の開会式に出席したクリストフォロス・ポリティスUNDPウクライナ常駐副代表は、ウクライナの建物とインフラの復興は重要ではあるものの、一番大事なのは「安全第一」の原則だと述べ、さらにポリティス副代表は「がれきと爆発物に対する危険認識の向上と、危険物を安全に処理する能力の強化はウクライナ支援を目的とする全プロジェクトに共通のテーマとされるべきです。この包括的な取り組みで貴重なパートナーとなっている日本政府に深く感謝します」と付け加えました。

侵攻の当初から特に大きな被害を受けたキーウ近郊ホストメリ村のミハイロ・コーバル助役は、UNDPと日本政府の支援により、村の現状復帰プロセスが一気に加速したとして、感謝の意を表し、「全面侵攻の開始によって、ホストメリの40%近くがさまざまな形で破壊されました。私たちだけの力でがれきを撤去し、村をきれいにすることはほぼ不可能です。これほど大規模な専門的支援をいただけたことに、心から感謝しています」と述べました。

在ウクライナ日本国大使館の金津直人二等書記官は「地雷と不発弾の処理、がれきの撤去という生死に関わる作業に携わっている方々すべてに、深く敬意を表したいと思います。ウクライナ国民の安全と、ウクライナの未来は、現場で働く皆様一人ひとりの肩にかかっています。日本政府はG7各国をはじめとする国際社会と連携しながら、苦境に立たされているウクライナの人々を引き続き支援し、寄り添ってゆきます」と述べました。

 

 

訓練完了後は、まずマカリウとホストメリ、次いでブチャとイルピンでがれき撤去作業がスタートする予定です。

UNDPは「緊急爆発物処理・がれき撤去」プロジェクトの一環として、ウクライナ国家非常事態庁による国内作業員向けの地雷処理機材調達を支援するとともに、がれき撤去担当当局がブチャ、イルピン、ホストメリ(モシュチュン村(Moschun)を含む)、マカリウ(いずれもキーウ州)とその他の戦災地域で爆発性戦争残存物(ERW)を含むがれきを安全に撤去するための支援も行っています。プロジェクトが完了し、地雷とがれきがキーウ州から撤去されれば、UNDPは家を追われた100万人を超える国内避難民の安全な帰還に向けた支援を開始する予定です。


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Yuliia Samus, UNDP Ukraine Head of Communications, Yuliia.Samus@undp.org