ウクライナ、第2回訪日視察を通し法医学分野の知見強化

ウクライナから法医学捜査官が来日し、実践的な知的交流を実施

2023年10月16日
Photo: UNDP Tokyo / Hideyuki Mohri

東京、2023年10月10日-ウクライナ国家警察の法医学能力を強化するための継続的な取り組みとして、国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所と日本政府は、10月2日から6日にかけて、ウクライナ12州および内務省から15名の法医学捜査官を招聘する研修の第2弾を実施しました。

 この研修プログラムは、UNDP駐日代表事務所が、日本の警察庁、警視庁、福島県警と協力し特別に企画したものです。 

2023年7月に行われた第1回の研修の成功に続き、このイニシアティブは、先進的な手法と実践によって法医学捜査官の能力を高めることを目的としています。UNDPウクライナ常駐副代表のクリストフォロス・ポリティス氏は、このようなイニシアティブがウクライナの司法制度における専門家能力を大幅に強化すると強調しました。 

「法の支配と司法へのアクセスは、戦時下において極めて重要です。私たちは、ウクライナ国家警察が新たな課題に効果的に対処し、現在進行中の戦争の影響を受けているすべての人々の司法へのアクセスを確保できるようにすることが、司法制度の強靭性と有効性をさらに向上させると確信しています」と、ポリティス氏は述べました。

 ウクライナ国家警察副本部長・最高捜査部長のマクシム・ツツキリゼ氏は、戦争による新たな課題に対処する国家警察の能力を強化するためには、相手国から学ぶ機会が重要な役割を果たすと強調し、「ウクライナでの戦争が続く中、司法の分野で革新的な解決策を見出すことがますます重要になっています。私たちは、日本の仲間から新たな知識と経験を得られることを光栄に思っています。このような研修や知的交流は、相互に有益なものだと信じています」と話しました。

第2回研修では、チェルニウツィ州、キロヴォフラード州、ポルタヴァ州、フメリニツキー州、ヴォリー二州、オデーサ州、リヴィウ州、ヴィンニツァ州、ザカルパッチャ州、ジトーミル州、ドニプロ州、キーウ州における法医学捜査官が、DNA鑑定の方法や実務経験豊富な日本の法医学の専門家との知識交換を通じ、複雑な法医学捜査に対応するための専門知識を高める機会を提供しました。

日本警察は、2011年の東日本大震災の直後の身元不明者や行方不明者のDNA鑑定の実地経験を紹介しました。 7月初めには、ハルキウ、スーミ、ザポリッジャ、ドネツク、ルハンスク、チェルニヒウ、ミコライウ、ヘルソン、キーウの各州から一行が来日し、日本の担当者から提供された知識と経験をもとに、大規模の検視における複雑な手順、検体収集技術、DNAの効率的な分析方法について学びました。


背景:

本知的交流事業は、UNDPが実施し、日本政府が資金を提供する「戦争による多次元的危機への対応を通じたウクライナにおける人間の安全保障の促進」プロジェクトの一環として開催されました。2023年9月現在、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、ロシアによる本格的な侵攻が始まって以来、ウクライナにおける民間人の犠牲者数は27,149人(うち死者9,614人、負傷者17,535人)にのぼると記録しています。 

メディアお問い合わせ先:

Yuliia Samus - UNDPウクライナ広報担当 (Email: yuliia.samus@undp.org)