日本との連携により、アルメニアにて避難民向けの診療所が3カ所で開設
2025年6月11日
アルメニア・アララト州のタペラカンでの開所式
アルメニア・アララト州のアインタップ、ランチパル、タペラカンにおいて、全面改修・整備された3つの診療所の公式開所式が行われました。
この取り組みは、UNDPが実施する「ナゴルノ・カラバフからの避難民およびホストコミュニティのための基礎インフラ・社会統合支援計画」の一環として実施されました。本プロジェクトは日本政府の資金拠出を受け、国連開発計画(UNDP)がアルメニア共和国領土行政・インフラ省と緊密に連携しながら推進しています。
開所式には、青木豊駐アルメニア日本国特命全権大使、ナティア・ナツヴリシュヴィリUNDPアルメニア常駐代表、アルタク・ジュマヤンアルメニア保健省副大臣、セドラク・テヴォニャンアララト州知事、アショット・ギロヤンアルメニア共和国領土行政・インフラ省 地方自治政策局長、そしてマシスおよびヴェディの各コミュニティ長であるダヴィト・ハンバルズミャン氏、ガリク・サルグシャン氏が参加されました。
本プロジェクトは、ナゴルノ・カラバフ地域からの避難民を受け入れているホストコミュニティにおける保健医療インフラの強化を目的としています。今回開所した診療所は、全面的な改修と整備が行われ、太陽光発電システムを備えるとともに、障がいのある方々にも完全に対応した設計となっています。これにより、安全で包摂的かつ気候変動に強い医療環境の提供が実現されています。
青木豊大使は挨拶の中で、次のように強調しました。「私たちの協力による取り組みは、アララト州のアインタップ、ランチパル、タペラカン各地域の住民の皆さまの福祉向上を目指し、基礎的なサービスへのアクセスを改善することにあります。今回改修された診療所が、地域全体にとって、より良く、より利用しやすい医療を提供する場となることを願っています。」結びにあたり、青木大使は、避難民の方々とホストコミュニティに対し、今後も力強く、理解と連帯の心を持ち続けてほしいと激励の言葉を送りました。
ナティア・ナツヴリシュヴィリUNDPアルメニア常駐代表は、次のように述べました。「今回の取り組みは、現在直面している人道的課題への対応であると同時に、長期的な持続可能な開発への投資でもあります。こうした機会が実現できたのは、日本政府による継続的かつ重要なご支援のおかげであり、心より感謝申し上げます。アインタップ、ランチパル、タペラカンに整備された診療所は、パートナーシップによってより強靭な地域社会を築くことができるという力強い証です。」
アルタク・ジュマヤンアルメニア保健省副大臣は、本取り組みを通じて避難民と受け入れコミュニティの双方に恩恵をもたらしたことに対し、日本政府およびUNDPへの感謝の意を表しました。また、診療所の厳かな開所を迎えたことについて、関係者、医療従事者、そして地域住民に祝意を述べました。「本プロセスは、住民に対する医療サービスがより快適で良好な環境のもとで提供されるようになることから、保健省としても非常に重要視しています。プライマリ・ヘルスケア体制の強化は、政府および保健省の改革アジェンダにおける最優先事項であり、政府プログラムの枠組みのもと、約50か所の農村診療所と8か所の地域ポリクリニックの再整備および新たな医療機材の導入が予定されています」とジュマヤン副大臣は述べました。さらに同氏は、プライマリ・ヘルスケア体制における新たな運営モデルが現在改革の過程にあること、また家庭医や看護師に対して新たな役割が定められており、それに対応する教育プログラムの実施が計画されていることも明らかにしました。
3つの診療所は合わせて、約14,800人以上の住民に医療サービスを提供しており、その中には約700人の難民と約880人の障がいのある方々が含まれます。新たに整備された施設は、医療サービスの質とアクセスの両面を向上させ、地域コミュニティの持続可能な発展に貢献しています。
本プロジェクトの次の段階では、アルメニア各地においてさらに7か所の診療所が改修される予定です。
開所式の締めくくりとして、青木豊大使とナティア・ナツヴリシュヴィリ常駐代表は、両国の連帯と地域社会との絆を象徴する、ランチパル診療所の庭に桜の木を植樹しました。