インド日本商工会 (JCCII)とUNDPが民間連携促進の覚書を締結

2022年11月21日

左:北郷恭子公使(在インド日本国大使館)、中央:野田章子常駐代表(UNDPインド事務所)、右:若森進会長(JCCII)

2022年11月21日ニューデリー発 − 国連開発計画 (UNDP)はインド日本商工会 (JCCII)と民間連携を促進するための覚書に署名しました。今後インドにおける持続可能な開発目標(SDGs)を更に推進するためには民間企業とのパートナーシップが不可欠です。これを促進するため、国連の開発分野の専門機関であるUNDPとインドにおいて470社以上の会員企業を持つJCCIIが提携して取り組んでいくこととなります。

署名式典は11月15日にJCCII役員及び在インド日本国大使館関係者の出席の下、ニューデリーのJCCII事務所で行われました。JCCIIからは若森進会長(丸紅インド会社社長)が、UNDPインド事務所からは野田章子常駐代表が両団体を代表し、在インド日本国大使館の北郷恭子公使立ち合いの下、覚書に署名しました。

署名に際し、JCCIIの若森会長は「私達インドで活動する民間企業にとって、CSR活動は法律上も企業価値向上の観点からも欠かせないものです。JCCII会員企業の中には独自に財団を作って精力的な取組を行っているところもある一方で、具体的にどのような活動に支出したらよいか悩んでいるところもあります。既にUNDPと個別に取組を行っている会員企業もありますが、今回の覚書締結はこうした活動を後押しし、更にはJCCIIとUNDPの協力関係を拡大・強化させていく、双方にとってウィンーウィンとなるものと確信しております。」と述べました。

若森進会長(JCCII)

在インド日本国大使館の北郷公使はインドにおいてCSR活動への支出義務が法律で規定されている一方で、どのようにCSR活動を効果的に行うのかが分からないとの企業側の声があることにも触れ「本提携により、当地に進出している日系企業がインドにおけるSDGs促進やCSR活動への理解を深める機会が創出されると共に、UNDPを通じて、各企業がCSR活動に取組みやすくなることが期待されます。ビジネスの受注や投資を受ける上でもこうした貢献が考慮されつつある昨今、企業の皆様には是非この仕組みを活用して頂ければと思います。この覚書の締結が、官・民・国際機関が連携しての更なるSDGs促進とCSRへのコミットメントの一助になることを期待しています。」との発言がありました。


1 インド政府は2014年度の会社法の改定で、企業のCSR活動を義務化を世界で初めて実施した。CSR活動の支出義務の対象企業は、1) 純資産50億ルピー(約85億円)以上、2) 総売上高100億ルピー(約170億円)以上、3) 純利益5,000万ルピー(約8,500万円)以上という3つの要件のうち、少なくとも1つを充たす企業で上場・非上場は問わない。対象企業は、直近3会計年度の純利益の平均2%以上をCSR活動に支出することが義務付けられている。

北郷公使

北郷恭子公使(在インド日本国大使館)

また、UNDPインド事務所の野田常駐代表からは、「UNDPは企業の”CSRやSDGsに取り組みたい”という意思を実現させるための戦略的パートナーになりたいと思っています。インドにおけるSDGsを誰一人取り残さない形で行う上で、民間企業と国連の連携を企業側にもメリットを感じてもらえる形で今後拡大していきたいと思います」と述べました。

野田章子常駐代表(UNDPインド事務所)

本覚書は、日本政府の支援でUNDPが現在23の国と地域(うちウクライナでの活動は調整中)で実施している気候の約束(Climate Promise)イニシアティブのネットゼロエミッション事業において、特にJCCIIとUNDPが協力することが明記されています。同事業では現在インドにおいて株式会社京三製作所の現地法人であるKyosan India Private LimitedとUNDPがCSR連携を行っており、今後こうした事例を増やしていくことが期待されています。

JCCII役員、大使館、UNDP職員の集合写真

UNDPは11月17日、駐インド日本国大使公邸で行われたJCCIIの月例会である三木会に出席し、同プロジェクトでの日系企業との連携案を約200名の参加者に対して提案しました。講演にはKyosan India Private Limitedの田所勝弘マネージング・ディレクターも加わり「一社ではできない規模のCSR活動にUNDPと共に取り組めたことを嬉しく思います。インドという国を良くするための活動を弊社として今後も行っていきたいと思っており、本事業の次のCSR連携についてもUNDPに案件紹介を依頼しているところです。他の企業の皆さまにもUNDPとの連携をお薦めしたいと思います」とUNDP連携した所感を共有しました。

ともに課題解決やSDGs達成に向けて取り組むため、UNDPはCSR、SDGsの分野でUNDPとの連携に興味のある企業の皆様からのご連絡をお待ちしています。UNDPの民間連携事例については「国連開発計画と民間セクター」もご参照ください。


問い合わせ:
UNDPインド事務所 SDGsコーディネーター 河野雄太 yuta.kono@undp.org