日本、モルドバのエネルギー、食料、地域社会の安全保障強化のために680万米ドルを拠出

2023年3月21日
Photo: UNDP Moldova

日本政府は、モルドバ共和国における人間の安全保障上の新たな課題に対処するため、国連開発計画(UNDP)に6,812,175米ドルを拠出することを発表しました。この支援は、現在、社会経済、食料、エネルギーなど多くの面で相関する課題に直面しているモルドバ共和国において、回復力を強化する活動に活用されます。

モルドバ共和国のドリン・レチャン首相は次のように当事業への期待を述べました。 「この事業により、バイオマス暖房システムの設置など、85,000人が支援の恩恵を受けられると見込んでいます。同時に、当事業を通して農業生産者の能力が強化され、食料安全保障を向上させます。さらには、『農家登録簿』システムが実装されることで、より効率的にリソースを配分することが可能となり、中小規模の農家が成長し、より多くのプロジェクトを実施することができるようになるでしょう。」

「人間の安全保障、すなわち恐怖から解放され、欠乏から解放された生活は、いかなる状況においても、すべての人にとって保証されるべきものです。私たちは、モルドバ人やモルドバに住む人々が最も必要としている時に、人間の安全保障を強化するために協力するという日本政府とUNDPモルドバ事務所とのパートナーシップを発表できることを嬉しく思います。現在のエネルギー、食料、社会経済危機において、この事業では、生活、コミュニティの安全、食料安全保障及びエネルギー安全保障への支援を重点的に行います」と、岡井朝子国連事務次長補 兼 UNDP危機局長は語ります。

「本事業は、ウクライナ難民と避難民を受けいれているモルドバのコミュニティに対する支援として、日本政府が昨年12月に発表した2700万ドルの人道支援の一環として実施されるものです。国連最大の開発援助機関であり、日本政府の信頼できるパートナーであるUNDPからの、モルドバ共和国の安全保障とレジリエンスを強化する取り組みへの協力に感謝申し上げます」と、山田洋一郎在モルドバ日本国特命全権大使は述べました。

日本政府が資金を提供し、UNDPが1年間実施する当事業は、生活を支える安価なエネルギーへのアクセスと効率の良いエネルギー生産が予定されており、エネルギー安全保障の向上に貢献します。具体的には、一般家庭はバイオマス暖房システムの設置支援が受けられ、既存のバイオ燃料生産者は効率的な生産のための補助金を利用することができるようになります。天然ガスの輸入依存度を低減させるため、農業分野の民間企業や経済活動を行う世帯は、エネルギー効率の高い技術を導入することが奨励されます。

また、食料安全保障を強化するため、農業生産者の能力強化も目指します。モルドバ産農産物の完全なトレーサビリティを保証するための農家登録簿の開発により、当局は最終製品が関連する仕様や品質要件に準拠しているかどうかを検証、認証、監視できるようになります。登録簿によるデータは、農業補助金支給の判断材料として活用される予定です。同時に、中小零細企業(MSME)は収穫、生産、保管、加工能力を改善するための支援と助言サービスを受けることができます。

また、社会的結束と平和的共存の原則を実現し、コミュニティの安全を強化するために、警察とコミュニティ関係者の能力を強化することも、このプロジェクトの重要な柱です。社会的結束の強化に向けて、中央および地方当局の意思決定に役立つ情報を提供する社会学的ツールが試験的に導入され、テスト運用が行われる予定です。

警察業務の迅速な展開と、遠隔地を含むコミュニティの安全確保のための通報や危機的状況への迅速な対応を支援するため、目的に合った警察車両や、警察官には公共良序違反を適切に検知し記録するための頑丈なボディカメラを提供します。また、この事業では、治安や交通安全に関する事件を現場で確認・記録するためのスマート警察業務ツールの導入も目指します。

「人間の安全保障に関する新たな課題への多面的対策(Multidimensional response to emerging human security challenges)」と題された当事業においては、1年間の事業を通じて85,000人が支援を受けると見込まれています。