ウクライナ政府機関の代表者、障害者の立場に立ちインクルーシブ政策の改善に取り組む

2023年12月11日
Photo: UNDP Ukraine / Danylo Pavlov

キーウ発 − 12月3日の国際障がい者デーを記念して、国連開発計画(UNDP)ウクライナ事務所は、ウクライナ社会政策省および欧州評議会ウクライナ事務所と共同で、障がい者が直面する日々の課題に焦点を当てるイベントを開催しました。この「Dosvidchuttia (経験)」と題した当イベントでは、アクセシビリティとバリアフリーを実現する社会環境の必要性が強調されました。 

このイベントでは、主に3つの目標が掲げられました。第一に、戦争体験者のニーズ、特に復旧・復興作業における障がい者支援の重要性を強調することです。第二に、障がい者の社会参加を妨げる障壁を取り除くための行動が呼びかけられました。最後に、生存者が遭遇する日常的な課題に対する理解を深め、彼らのためのサービスを向上させることに焦点が当てられました。

ヤコ・シリアーズUNDPウクライナ常駐代表はイベントのオープニングで、UNDPがユニバーサルデザインの原則を具現化する政策と実践を強く提唱し、そうした環境、製品とサービスのアクセシビリティと包摂性を確実にすることを強調し、さらに次のように述べました。「国際障がい者デーを記念し集うにあたり、私たちの最大の目的は、障がい者問題に対する認識を高め、障がい者の尊厳、権利と福祉に対する支援を結集させることです。誰もが、働きやすい職場環境、自立した生活環境、平等な機会、そして地域社会の生活に完全に参加する権利を有しています。強靭で包括的な開発を促進するための私たちの揺るぎないコミットメントは、戦争の結果によって直接影響を受けた障害者および負傷者のエンパワーメントにおいて特に重要です。」

オクサーナ・ゾルノヴィッチ社会政策大臣は、私たちは今日、障がいを持つ人々が日々直面している困難を少しだけ体験することができたと述べました。「数多くの障壁が彼らを社会的プロセスから排除しています。戦争とそれに付随する課題は、障がい者の権利を守ることの必要性を強調しています。現在、障がいを持つ人々はしばしば活気にあふれ、活動的で優秀な社会の一員であり、社会に溶け込もうと努力しています。社会政策省として、私たちが最も重視しているのは、怪我をした人たちへの迅速なリハビリテーションを保障し、社会人として早期かつ完全な復帰を促すことです。」

「Dosvidchuttia」の目玉となったのは、聴覚障がい、視覚障がいや身体障がいなど、さまざまな障がいを持つ人々がしばしば遭遇する障壁を再現するためにデザイン・追求された展示物です。各省庁、ウクライナ議会人権委員会事務局、ウクライナ大統領府、下院議員やジャーナリストなどの代表を含む参加者が招待され、障がい者が日々直面する課題を体験しました。また、参加者から解決策を提案することもできる設定となっていました。

欧州評議会ウクライナ事務所のエルレンド・ファルヒ副所長は、このようなイベントのアイデアとそのプロフェッショナルな運営について主催者に感謝の意を表し、人権に関連するこのイベントが欧州評議会にとってとりわけ重要であると指摘、また「障がい者の権利と差別のない享受の保障は、欧州評議会の重要文書のひとつである欧州社会憲章の第15条に盛り込まれています。欧州の基準に従ってウクライナのバリアフリー環境を整備するために、パートナーを引き続き支援していきます」と述べました。

ウクライナ大統領府のテチアナ・ロマキナ環境バリアフリー担当委員は、空間、サービス、情報、そして公共利用のために私たちが購入する商品の障壁を取り除かなければならないと強調しました。「規格や基準を策定する際には、障がい者の緊急のニーズを考慮することが重要です。そしてもちろん、策定されたルールは、実社会における障壁を取り除くことに貢献しなければならなりません。」

背景:UNDPは、日本政府の資金援助を受け、ウクライナ社会政策省、欧州評議会ウクライナ事務所、NGO「Vidchui」とNGO「Active Rehabilitation Group」とのパートナーシップのもと、「戦争による多次元的な危機への対応を通じたウクライナにおける人間の安全保障の推進」プロジェクトの一環として、このイベントを共催しました。

メディアお問い合わせ先:Yuliia Samus - UNDPウクライナ広報担当 Email: yuliia.samus@undp.org