国連開発計画(UNDP)と日本、女性のエンパワーメントと性的及びジェンダーに基づく暴力(SGBV)撲滅に向け500万ドルの協定に署名

2023年12月14日

ジュバの日本大使館での署名式にて、在南スーダン共和国特命全権大使の堤尚広氏(右)とUNDP駐在代表のサミュエル・ドー(左)

UNDP/Amos Agiro

2023年11月23日ジュバ発 − 国連開発計画(UNDP)と日本政府は、南スーダン共和国の首都ジュバに位置する日本大使館において、供与限度額7.32億円(500万ドル)の無償資金協力のプロジェクト「ジェンダーに基づく暴力への対応のためのコミュニティセンター整備計画」に関する書簡の交換を行いました。このプロジェクトは、性的暴力やジェンダーに基づく暴力(SGBV)から女性を保護し、経済活動および生計活動への参加機会を向上させることを目的としています。これにより、性差による権力の不均衡を解消し、女性が国家建設、平和、社会の結束に十分に参加できるようになることが狙いです。署名式には、ジェンダー・子ども・社会福祉大臣であるアヤ・ベンジャミン氏、在南スーダン共和国特命全権大使の堤尚広氏、JICA南スーダン共和国事務所長の田中博之氏、およびUNDP駐在代表のサミュエル・ドーが出席しました。

UNDPは、国内でのジェンダー不平等の解消し、女性の社会的・経済的エンパワーメントを促進するため、若者と女性の社会的および経済的自立に向けた支援を実施してきました。具体的には、スキル開発、起業家精神と事業開発、雇用の創出と就労支援、社会および政治への参画に焦点を当てています。これにより、これまでに2万6,000人以上の若者(そのうち70%が女性)が職業能力と起業家スキルを獲得し、そのうち63%(16,000人以上)が有益な雇用を得ました。さらに、少なくとも60%が女性が経営する約2,100の中小企業が設立され、銀行機関との協力により事業開発サービスと融資が提供されてきました。これらの企業は南スーダン初かつ唯一のデジタルマーケットプレイス(電子市場)に結びつけられ、現在では3,000以上の企業がこの枠組みを通じてビジネスの連携や貿易促進へのサポートを受けています。

この「ジェンダーに基づく暴力に対応するためのコミュニティセンターの改善」プロジェクトは、女性のエンパワーメントに焦点を当て、社会的・経済的な包括性を深めることで、先述の取り組みを拡大することを目標としています。このプロジェクトでは、商業地区でビジネスを行う女性を特に対象としたコミュニティ及び生計支援センターを構築します。このセンターは、性暴力やジェンダーに基づく暴力(SGBV)のリスクが高い女性がアクセスできる、安全で中立的な公共の場を提供します。また、女性が集まり交流できる場としてだけでなく、ビジネス開発の支援、リソースおよび組織のマネジメントや、リーダーシップ、コンフリクトマネジメントなどのソフトスキルの提供を通じて、女性主導のビジネスの発展をサポートします。

サミュエル・ドー(左)とJICA南スーダン共和国事務所長の田中博之氏(右)

UNDP/Amos Agiro

JICAとの協力により、これらのセンターはSGBVの予防に関する情報や、被害者が報告できる環境、法制度、およびその他の保護サービスへのアクセスに関するリソースを提供します。センター内に設立されたSGBVデスクは、SGBVの被害を報告できる最初のエントリーポイントとして機能し、法的支援サービスとリンクされます。これにより、SGBV被害者が報告や法的手続きなどにアクセスしやすくなります。また、これらのセンターは、脆弱な立場に置かれた女性向けの能力開発および啓発活動の場としても活用されます。

UNDP南スーダン駐在代表のサミュエル・ドーは、プロジェクトへの感謝と日本政府の支援を強調し、プロジェクトの署名式がジェンダーベースの暴力に対する国際的な16日間の活動の中で執り行われることの重要性を強調しました。彼は、「本日の合意は、日本政府がUNDPと協力して南スーダンの開発支援の中で女性の幸福実現を優先し、一貫した堅固なコミットメントを表しています」と述べ、日本が女性のエンパワーメントを推進する役割を強調しました。

JICA南スーダン共和国事務所長の田中博之氏は、プロジェクトへの感謝の意を表明し、南スーダン全土の女性が経済成長、社会的サポート、保護、GBVの予防、およびセキュリティへのアクセスを得ることに対する期待を示しました。田中氏は、これらの介入が南スーダンの女性にとって、必要な時に十分なサポートを受けること、コミュニティセンターで子供たちに安全な場所を提供すること、個々のケースや状況に対応することを含めて利益をもたらすだろうと述べました。また、このプロジェクトの実施に関与するすべての人々に最大限のサポートを提供するよう促し、「人間中心のアプローチを通じて、南スーダンの女性が経済的にも精神的にも安定し、社会的にも発展することに寄与することを期待しています」と述べました。

左から右: ティタス・オスンディナ氏、サミュエル・ドー、堤尚広氏、田中博之氏、ホセ・マンザノ(UNDP)

UNDP/Amos Agiro

このプロジェクトは、SGBVの被害者が自立し、社会に再統合できるよう支援することを目指しています。南スーダンの独立以来、日本は同国の経済と社会の発展のための能力強化を支援しています。在南スーダン共和国特命全権大使の堤尚広氏は、「女性に自己防衛の能力と自身と家族を養うスキルを備えさせることによって、彼女たちがコミュニティや国を導くための不可欠な存在として自立できるように支援するこのプロジェクトは、日本の女性エンパワーメント政策を具現化しています」と述べました。


お問い合わせ先:
アモス・アギロ(UNDP南スーダン事務所、コミュニケーションアナリスト)
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