2021年3月11日
東日本大震災から10年 ― アジア太平洋の津波対策をリードする日本
2021年3月11日
日本政府の支援の一環として行われている津波避難訓練に参加している生徒
「歴史は繰り返す。」「私たちは失敗からしか学ばない。」「経験なしに改善はない。」私たちはこうした使い古された表現を何度、耳にしたことでしょう。しかし、こうした表現を信じてしまうと、人類は手痛い仕打ちを受けることになってしまいます。
つながりが深まる今日の世界では、他者から教訓や好事例を学び、自らの場所で活かすことができます。東日本大震災と巨大津波から10年を経た今、他国が同じ運命に見舞われないよう、日本が精力的に他国の津波対策を支援しているのは素晴らしいことです。
震災の壊滅的により、特に防災と備えの文化の構築という点で、日本の災害管理政策にパラダイムシフトが生じたことは間違いありません。「世界津波の日」は、こうした重要なメッセージを国際舞台で伝える機会となりました。津波をはじめとする自然災害で壊滅的な被害を受けてきたアジア太平洋地域で、日本政府は国連開発計画(UNDP)と連携し、津波に見舞われやすい学校の啓発と対策の改善を図りました。2017年以来、23カ国373校の16万人を超える生徒と教員、学校管理者が津波防災訓練を受けています。
太平洋は世界において災害の特に多い地域となっています。写真はフィジーの学生が津波避難訓練をしているところ。
防災プログラムの重要な要素となるのが、津波からの避難訓練です。日本ではどの生徒も定期的な防災訓練を行っていますが、アジア太平洋のほとんどの学校では、生徒にとっても教職員にとっても、このような訓練はこれまでにない学習体験となっています。これを契機に、より安全な避難経路が新たに確保された学校もあれば、訓練実施に欠かせない物品がすべて整備された学校もあります。避難行動のシミュレーションを行うことにより、すべての学校が避難計画を作成し、それを実際に試し、さらに検証を行うことができました。訓練を受けた教員と生徒はいずれも、津波警報への対応の仕方について、自信がついたと感じています。UNDPは2019年、こうした多様な経験を、訓練の準備や実施に向けた実践的な手順と組み合わせ、アジア太平洋地域学校津波対策ガイド(Regional Guide for Schools to Prepare for Tsunamis)を作成しました。
タイの学生が津波避難避難訓練をしているところ。この活動は日本政府の支援の一環として行われています。
2020年には、アジア太平洋地域でも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により数カ月にわたる休校が続き、学校の津波対策への取り組みに新たな課題が加わりました。中でも重要なのは、防災を多次元でとらえることと、コミュニティ全体を巻き込む必要があるという、2つの点でした。多くの場所で長距離移動が禁止される中、子どもたちは家庭か近所に止まりました。過密になりがちな避難所では、安全な衛生管理とディスタンスをとるための措置を講じる必要が出てきます。コロナ禍における日本の対策に学ぶため、地域ガイドの補足資料として、コロナ禍と津波避難:学校管理者向けガイド(Tsunami Evacuation During COVID-19: A Guide for School Administrators)も作成されました。
災害では死者数を数えますが、防災によってどれだけ多くの命が救われたかは、決して分かりません。東日本大震災から10年の節目にあたり、備えあれば憂いなしという精神に則り、こうした努力を怠らないという決意を新たにしましょう。
アジア太平洋地域学校津波対策プロジェクトは2017年から、日本政府の資金拠出を受け、UNDPがバングラデシュ、カンボジア、フィジー、インド、インドネシア、キリバス、マレーシア、ミクロネシア、ミャンマー、パキスタン、パラオ、パプアニューギニア、フィリピン、サモア、ソロモン諸島、スリランカ、タイ、ツバル、ベトナムの23カ国で実施しています。
#PrepareToWin(備えあれば憂いなし)

