トルコ地震の被災地では大量のがれき除去が必要

〜UNDP、地震からの早期復旧に1億1350万米ドルを要請〜

2023年3月6日

緊急対応の支援のみならず、被災地の人々の日常を取り戻すためにも膨大な作業が必要に。UNDPの初期評価では、約1億1600万トンから2億1000万トンのがれきが今回の地震で発生したと推計。

Photo: Levent Kulu / UNDP Turkiye

2023年2月24日アンカラ発 − 2023年2月6日と20日にトルコ南東部を襲った大地震では、数千棟の建物が倒壊しました。その際に生じたがれきの山を取り除くことが、UNDPが計画している災害対応の最優先分野です。2月16日には国連が支援国から10億米ドルの拠出金を募るために緊急要請を表明しましたが、UNDPからはこの一部として支援活動のために1億1350万米ドルを国際社会に要請しました。がれきの除去作業は計画している活動の大半を占めています。

UNDPルイザ・ヴィントン常駐代表は、「UNDPでは、早期復興に重点を置いています」と語りました。「緊急対応を支援する一方で、被災した地域で人々が日常生活を取り戻すために必要とされてる大規模な取り組みを見据えています。がれきの除去は支援の重要な第一歩ですが、埋もれている人の命や生活、夢に対して敬意を払いつつ作業を進める必要があります」。

UNDPは現在、被災した人々や緊急対応を行う人々の公衆衛生上の脅威を防ぐための支援に力を入れています。最初の措置として、UNDPはハタイ県に、770リットルの大型ゴミ収集箱160個、生石灰5万4000kg、消毒液1万400リットルを送りました。これらの物資は、自治体当局による廃棄物の収集や移動、がれきの除菌、そして飲料水や洗濯に必要な清潔な水の不足を補うための支援です。物資は2023年2月20日と21日に届けられ、今後もさらなる支援が予定されています。

また、UNDPは被災したコミュニティに携帯トイレと、緊急に必要とされている廃棄物回収用品を間もなく届けると同時に、破損した水道設備の一部の修理に早急に取り組む予定です。また、緊急物資の保管場所として使用するためのコンテナが、ハタイ県へ向かっているところです。

これらの緊急対策にとどまらず、UNDPはがれき管理と除去という困難な課題に取り組む政府を支援していく予定です。トルコの環境・都市計画・気候変動省によると、これまでに調査を行った100万棟以上の建造物のうち、50万7000戸の住宅やオフィスを含む15万6000棟が完全に倒壊したか、取り壊しが必要なほど損傷しているといいます。

UNDPの初期の推定によると、今回の災害で発生したがれきは1億1600万トンから2億1000万トンと見られます。参考値としては、1999年のマルマラ地震では、約1300万トンのがれきが発生しました。

ヴィントン氏は、「この難しい課題の規模は、ほとんど理解を超えています」と述べました。「除去しなければならない物質の総量をイメージするために、10km×10kmで囲われた土地が、1mの高さに積まれたがれきで覆われていると想像してみてください。がれきが覆っている土地の面積は100平方キロメートルと推定されていますが、これは59平方キロメートルのマンハッタンよりも大きいのです」。

UNDPは、この被害により150万人が家を失い、それを補うためには50万戸の新しい住宅を建設する必要があると予測しています。食料、水、その他の物資を届けるための道を確保し、通常の社会・経済活動を復旧させるためには、まずがれきを除去しなければなりません。

トルコ政府の災害対応を支援するにあたり、UNDPは、がれきをただ廃棄するのではなく、がれきに含まれる原料をリサイクルするという環境に配慮したがれき管理の方法を促進することを目標としています。同時にUNDPは、がれきの移動と処理を行う地域住民を雇用することで、生計を立て直す機会を提供します。 UNDPは、ハイチ、ネパール、パキスタンなど他の地域での地震、2020年のベイルート港爆発事故、ロシアのウクライナ侵攻による被害に対して支援活動を展開してきた経験を生かします。例えば、ネパールにてUNDPは、管理する被災地のがれきの90%を再利用しました。 がれきの除去は、UNDPが早期の復興段階において連携する政府機関へ対して行う支援分野の一つにすぎません。UNDPは人々の生活基盤の回復と小規模事業の復興を支援し、心理社会的支援を含む主要な福祉サービスを提供する地元当局を支援し、また古代文明の貴重な宝物が数多く存在するこの地域で、損傷し危機的な状態にある文化遺産モニュメントの保護を支援することも目指しています。