UNDPと日本、人道・開発・平和の連携を行動に移すため、サヘルの声を活用

2020年12月2日

農村社会と人口の大半を占める若者を重視しながら、「非統治空間」を対象とする改革的プログラムを、国と地方自治体による中長期的な改革プロセスと組み合わせれば、やがて中央サヘルでパラダイムシフトが生じる可能性もあります。写真:UNHCR / Louise Donovan

ニューヨーク、2020年10月14日 – ブルキナファソ、マリ、ニジェールを代表する政府高官は昨日、サヘル地域の産業指導者、アフリカの慈善基金、若手のイノベーターや若者のリーダーと声を一つにし、中央サヘルでパラダイムシフトを起こすことによって、エンパワーメントへの投資を拡大し、依存の連鎖を断ち切り、現地の自立に向けた能力を高め、暮らしを豊かにすることを求めました。

2020年10月20日の「中央サヘル人道情勢に関する閣僚級円卓会議」に先立ち、国連日本政府代表部と国連開発計画(UNDP)は、マルチステークホルダー型のサイドイベント「サヘルの再活性化:連携を行動に」を開催しました。中央サヘルから参加した有識者が「人道・開発・平和の連携アプローチ」について話し合い、地域の治安と人間開発の情勢が悪化を続ける中で、支援に向けた弾みの一層の強化を図りました。

国連日本政府代表部の木村徹也大使は、この連携に対する日本政府のコミットメントを明らかにする支援メッセージを発しました。「この取り組みは人間の安全保障の原則とも深く共鳴しています。私たちは、中央サヘル地域に対する日本のゆるぎない支援を改めて表明するとともに、アフリカの主導による紛争解決を通じ、この地域を協調的に支援することの重要性を強調します。この点に関し、日本は第7回アフリカ開発会議で『アフリカの平和と安定に向けた新たなアプローチ(NAPSA)』を発表しています。NAPSAは、人づくりと制度構築を核心とするアプローチです」

人道・開発・平和の連携が、影響力の大きい変革の実現に中心的な位置を占めるとの認識に立ち、デンマークのロルフ・ホルンボー駐マリ大使は「具体的な領域で人道、開発、平和の連携を図る介入がなければ、どのような取り組みも根本的原因に対処できず、持続することもできないため、目標も達成されない可能性が高い」と指摘しています。

アフナ・エザコンワUNDP総裁補兼アフリカ局長も、行動を強化する必要性を改めて強調しつつ、「開発の阻害要素を取り除く施策を前倒しで実施し、過去の記憶があっても、それを乗り越えて長く続く頑丈な根と基礎的な実現要素を植え付け、予防、安定化、変革、持続可能性を促進する具体的な行動を取ることにより、援助の提供からその必要の解消へと歩を進めるきっかけとなれるような連携について、最初から考え直す」よう求めました。

人々のエンパワーメント

3か国の代表からは、人々のエンパワーメントと自立の促進に重点を置く開発支援の必要性という、共通のメッセージが発信されました。

ブルキナファソ経済・国土開発省のマーシャル・ウィルフリード・バソレ長官は「サヘルにはパラダイムシフトが必要です。それは困難を乗り越え、希望に価値を置くものでなければなりません。問題と解決策の特定、そして特に予防、紛争管理、社会的連帯の促進をはじめとする対策の実施に、もっとコミュニティを関与させることがカギとなります」と述べています。

マリ代表のモプティ州社会・経済・連帯開発局長、バカリー・ベンガリ氏もこれに同調し、持続的で変革につながる解決策、特に自立への投資を行うことで、人々が自分の暮らしの決定権を握れるようにすることが必要だと強調しました。

ニジェール、ディファ州のイッサ・ラミン知事は「現地での人道的対応の実施が不十分です。住民が表明したニーズに見合う対応を確保し、避難民の帰還を促すためには、安定化と開発への取り組みに重点をシフトさせねばなりません」と述べています。

民間セクターと市民社会

民間セクターやアフリカの慈善団体、イノベーター、若者を代表する参加者たちは、エンパワーメントと開発を拡充し、現地住民に主導権を与えることを求めました。

ADSグループとSOLEKTRAの創業者兼CEOのサンバ・バチリー氏は「私たちは特に農村部で、再生可能なエネルギーと農業生産性改善に向けた水の確保を優先しつつ、持続可能な開発施策に投資しなければなりません」と指摘します。バチリー氏は、ブルキナファソで175か所の村を電化し、1,800か所の村に給水所を設けた実績を基に、サヘルの住民を信頼し、援助からコミュニティのエンパワーメントへと軸足を移すことで、現地に根差す解決策の必要性を強調しました。

トニー・エルメル財団のCEO、イフェイーンワ・ユゴシュクウ氏は「アフリカは、最も有望で強靭、かつ革新性に富む若い人材の宝庫です。最も暴力的で危険な紛争の中でさえ、若者は学び、起業し、解決策を作り出だそうという気概にあふれているのです」と語り、中部サヘルでルネッサンスが起き、中小企業(SME)が2025年までに雇用市場に参入すると見られる1億5,000万人の吸収に大きな役割を担うことになるという期待を表明しました。また、経済成長に投資すれば、紛争が終結し、政治的安定も生まれるのではないかと論じました。

マリのトゥウィンディ財団CEOで、UNDPのAfrica Innovates誌でも若き期待の星として紹介されているティジャニ・トゴラ氏は、デジタル経済がビジネスを加速し、若者によるイノベーションを実現するための入口点になると考えています。トゴラ氏が発明した「自動保健アシスタント(ASSA)」は、コロナ対策に大きな効果を上げました。トゴラ氏は、雇用とビジネスの創出を可能にする環境の整備を求めるとともに、危機の中にチャンスを見出し、強靭な未来に向けた準備を行うよう、すべての人に促しました。

最後に、ニジェールのディファから参加した若者のリーダー、ウスマン・マハマドゥ氏は、現状を冷徹に評価しました。「チャド湖流域で多くの若者がテロ集団に加わる理由には、無知、教育の欠如、または家族を養えないことのどれかが関係しています。色々と分析をするのも良いですが、今はそれよりも、日の目を見ていない多くのプロジェクトや起業のポテンシャルを支援すべき時です」

こうした協議に基づき、UNDPは今後5年間で、現地住民のエンパワーメントを重視しながら、サヘル再生に向けた変革のきっかけとなるシフトを作り出すため、大規模な投資に努めてゆきます。予防、安定化、変革、持続可能性を重点とする新しいプログラムは、数か月後に提示される予定です。