ウクライナ企業、人権の価値観を活動に取り入れることを学ぶ

UNDPウクライナは日本政府の支援を受け、ウクライナの企業を対象とするビジネスと人権に関する一連の研修とコンサルテーションを開始しました。

2023年1月31日
Photo: Oleh Matsko / UNDP in Ukraine

国連開発計画(UNDP)が主催し、日本政府が支援する「ビジネスと人権アカデミー」が開始されました。本アカデミーは、ウクライナ国内外で活動する企業に対して、人権デュー・ディリジェンスに関する研修セッションとガイダンスを無償で提供します。 この1週間で、35名のアカデミー受講生は、国際的なビジネススタンダードや戦争に関わる人権デュー・ディリジェンスを学び、人権デュー・ディリジェンスの手続きを事業活動に組み込む方法を学びます。

在ウクライナ日本国大使館の金津直人二等書記官は、アカデミーの開催にあたり、本イベントの重要性を次のように強調しました。「EUやOECDへの加盟を目指すウクライナにとって、戦後の復興と発展のためには、国際市場で競争力のあるビジネスの創出と発展が不可欠です。国際市場で競争力を有するためには、ビジネスにおいて人権デュー・ディリジェンスを実施することが前提条件となります。本アカデミーの参加者は、まさにウクライナの今後の復興と発展に必要な先進的な取り組みを担うパイオニアです。本アカデミーが皆さんの事業活動に大いに役立つものと確信しています」。

アカデミーの開講に際し、UNDPのウクライナ人権プロジェクト・コーディネーターのスヴィトラナ・コリシュコは、強力で民主的なウクライナの復興と発展のためには、企業による人権の尊重がこれまで以上に優先されなければならないことを強調しました。また、「国連ビジネスと人権に関する指導原則の実施により、戦時中および戦後の復興期におけるビジネスと経済の公正でより持続可能な回復が促進されるでしょう」と述べました。

この研修プログラムは、戦時中にウクライナの企業が直面する人権リスクに関するコンテクストアセスメントの結果に基づくものであり、3つのオンラインセッションから構成されます。これらの研修セッションは、企業が自らの活動やサプライチェーンにおいて、ビジネスと人権に関する基準をより良く理解し、適用することを支援するものです。特に以下を含みます。

  • ビジネスと人権、責任ある企業行動に関する主な基準:国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、適用されるEU基準、経済協力開発機構(OECD)の勧告
  • 責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン、日本政府のビジネスと人権に関する行動計画
  • 人権デュー・ディリジェンス:人権への影響を判断・評価する方法、人権を業務に組み込む方法、導入された措置の追跡と伝達の方法
  • 人権デュー・デリジェンスの強化(hHRDD)の手続きを含む戦争や紛争時の行動戦略:「責任ある撤退」および危機におけるその他の行動のあり方

 


 

概要:

UNDPウクライナは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の実施に特に注意を払いながら、同国の人権規範と価値観を推進しています。2021年、UNDPはウクライナ人権プロジェクトのもと、ベースライン、ギャップ、機会を特定し、権利保有者と義務履行者の現状を十分に理解するために、試験的に「ウクライナにおけるビジネスと人権-国連ビジネスと人権に関する指導原則の実施による持続可能で公平な開発の加速」イニシアティブを開始しました。

2022年、UNDPは日本政府による資金拠出のもと、新たなグローバルプロジェクト「グローバルなサプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンス 公正な復興のための国連の『ビジネスと人権に関する指導原則』の活用」を開始しました。