日本政府による「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」の策定を歓迎

岡井朝子 国連事務次長補・国連開発計画(UNDP)危機局長

2022年9月14日

このたび、日本政府が「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重に関するガイドライン」を策定されたことを歓迎し、国連開発計画(UNDP)を代表して祝意を表します。これは、より公平で持続可能な社会の構築に向けての民間セクターが果たすべき主導的役割について、日本国内の企業、サプライヤー、そしてパートナーに対する力強いメッセージです。

また、本ガイドラインの策定は、2020年10月の「ビジネスと人権に関する行動計画」の採択とともに、日本の国連ビジネスと人権に関する指導原則への貢献を示すとともに、責任あるサプライチェーンに対するグローバルリーダーとしての地位を強固にするものです。

これらの取組みを通じ、日本政府は、持続可能な開発への支援を改めて確約されました。事業活動やバリューチェーンにおける負の影響を未然に防ぎ、またそれに適切に対処することは、2030年アジェンダの目標達成に向け、企業がしうる最大の貢献です。

このガイドラインが、特に紛争等の影響を受ける地域において、強化された人権デュー・ディリジェンスが必要であることを特記していることを歓迎します。そして、そのような地域にあるサプライチェーン上の事業活動の影響評価の際に、人権と紛争に関連し必要な考慮を行おうとする日本政府と産業界によるコミットメントを高く評価します。

このような政策のあり方は、サプライチェーンがグローバルに展開していることを踏まえれば、政策が実施される国を超えて、前向きかつ変革的な変化を促すために極めて重要です。日本政府が今回採択したガイドラインは、今後、地域や世界に広がる何千もの企業やサプライヤーの事業活動に直接的、間接的に影響を与えることになるでしょう。

UNDPは、あらゆる活動における人権擁護は、倫理的に必須であり、また実質的な価値を有するものと確信しています。人権を中心に据えたこのガイドラインは、人々、地球、そしてビジネスのための持続可能な開発を進めるために、重要なロードマップとなるでしょう。

今後、ビジネスリーダーはこの指針に倣うことが求められます。私は、民間企業がこれらの提言を取り入れ、知識の共有、能力開発、ステークホルダーエンゲージメント、事業全体における人権基準の体系的な実施を通じて、内部から変化を推進して下さることを願っています。

UNDPは、日本政府とパートナーシップを組み、まさにそのための支援を提供しています。現在、日本及び日本企業のサプライチェーンが存在する17カ国において、人権デュー・ディリジェンスに関する研修とガイダンスを開始しています。今後数カ月間にわたり、本ガイドラインの内容も含め、集中的に実施されることになります。

 


 

UNDP主催の「国連アジア太平洋地域 責任ある企業・人権フォーラム」の「日本における政策転換」のセッションで、中谷元内閣総理大臣補佐官(国際人権問題担当)より本ガイドラインの内容が紹介される予定です。同セッションは9月22日9時(日本時間11時)から開催されます。本イベントへご参加を希望される方は、本フォーラムのウェブサイトからご登録ください。