TICADに向けて | アフリカでの日本とUNDPの協働〜写真で紹介、現地の活動
ウガンダ:難民と難民受け入れ地域の住民の持続可能な暮らしを目指して
2019年5月14日
みなさんは、ウガンダ共和国が周辺国からの難民を多く受け入れていることをご存じでしょうか。2016年には南スーダンの戦闘の激化により多くの南スーダン人がウガンダに避難しました。ウガンダは今やアフリカ最大規模の難民受け入れ国となっており、その受け入れ難民数は120万人を超えています(UNHCR調べ)。そのような難民の多くは女性と子どもであり、全体の約65%(約80万人)を南スーダン難民が占めます。難民を受け入れているのは北西部から南部の地域まで複数の地域にわたりますが、中でも特にアヂュマニ県、アルア県、モヨ県、ユンベ県といった西ナイル地域に多くの南スーダン難民が住んでいます。
ウガンダ政府、国際機関、NGOなどが協力して難民の大量流入に対応し、難民のウガンダでの生活を支えています。帰国する難民もいますが、ウガンダの難民居住区に長期的に滞在する難民も未だ多くいることから、難民と難民を受け入れている地元住民への持続可能な生計向上支援が必要となっています。このような背景を受けて、国連開発計画(UNDP)は日本政府の資金拠出を得て、2018年4月から2019年3月までの1年間、南スーダン難民と地元住民に対する生計向上支援とウガンダの政府に対する能力強化支援を行いました。
UNDPが実施する本事業(事業名:南スーダン難民危機対応における人道と開発連携の強化)では、事業対象地である西ナイル地域三県(ユンベ県、アルア県、モヨ県)の南スーダン難民と難民受け入れ地域の住民1250人に対し、一時的な雇用機会をつくります。また1250人の活動参加者のうち、起業を志す1000人に対し、持続可能な起業・ビジネス機会の創出を支援します。さらに三県の地方自治体のコミュニティ参画を主導する能力や計画、調整、実施、モニタリング能力の強化を図ることを目的とします。
本事業活動の成果
1. キャッシュ・フォー・ワーク活動を通じた持続可能な生計向上
本事業では、1250人の難民とホストコミュニティと呼ばれる難民受け入れ地域の住民に対し、植林や道路整備などの公共事業で一時的な雇用を創出し、参加者に報酬を提供しました。このような活動はキャッシュ・フォー・ワークと呼ばれます。さらに、参加者にはライフスキルやリーダーシップ、貯蓄などに関する研修を実施しました。その結果、多数の村落貯蓄貸付組合が形成され、事業の参加者はキャッシュ・フォー・ワーク活動で得た収入の一部を組合に貯蓄することで、グループ(または個人)として小規模ビジネスを始めるための元金を増やすことができるようになりました。三県で1250人中1000人以上の参加者が貯蓄を行い、さらに補助金を受け取って小規模ビジネスを始めました。
2.政府の能力強化
本事業ではまた、難民への対応に関連し、地方自治体の計画、調整、実施、モニタリング、および災害・危機管理の能力強化を支援しました。具体的には、災害・危機管理委員を含む約170人の地方自治体職員に対し、首相府と共同で緊急支援の方法や手順、災害・危機管理に関する研修を実施しました。また、ドローンを使用したマッピングと災害リスク削減分析に関する研修を行い、首相府の災害・危機管理部門の職員の能力も向上しました。UNDPはさらに、国際協力機構(JICA)と共同でボトム・アップ型の計画形成・予算決定手段に関する研修を実施し、700人以上の地方政府リーダーの能力が強化されました。