国際女性デー(2024年3月8日)に関する声明

2024年3月8日

開発途上国の債務を再構築することで、何百万人もの女性が貧困から脱却できるようになる一方、ジェンダー平等を達成するためには、年間3600億ドルの世界的な追加投資が不可欠

Photo: UNDP Rwanda

今年の国際女性デーのテーマ、「女性に投資を:進歩を加速しよう 」は、十分かつ整合性のとれた公的資金と民間資金の有無が、人々が十分な食事や職業機会、そして教育にアクセスできるかどうかを最終的に決定するということを私たちに思い起こさせてくれます。 

ジェンダー平等の推進は、人々が貧困から抜け出すための最も強力な手段のひとつですが、世界の富が500兆ドル近くに達する一方、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に不可欠であるジェンダー平等と女性のエンパワーメントを達成するためには、年間3600億ドルの追加予算が必要です。

事実、世界の富の3分の2以上は先進国が保有していると推定されています。つまり、本当の問題は、資金そのものの不足ではなく、お金がどこに、そして誰によって使われ、誰が得をするのか、ということなのです。現行の金融情勢を打破し、女性がしかるべき権利を享受できるようにするためには、以下の4つの主要分野における転換を推進することが不可欠です。

一つ目に、予算編成から執行まで、財政の全サイクルにわたった政府への支援が不可欠です。貧困の撲滅は、十分な財政的ゆとりがあってこそ可能です。そのためには、公正でグローバルな租税体系と、貧しい女性をはじめとする低所得者層の税負担を真に軽減する累進課税制度が必要です。国連開発計画(UNDP)は世界各国の財務省に、税制を通じて資金を調達する方法の再検討から、予算プログラムの立案、実施、モニタリングの方法まで、専門的な支援を提供しています。また、UNDPのエクアノミクス(EQUANOMICS)イニシアチブは、26カ国の財務省および税務当局に対して、財政に関する政策がジェンダー平等に資する形で実施されるよう支援しています。例えば、エクアノミクスのグローバル・ラーニング・ラボは、経済学者や政策立案者が将来の仕事のあり方について再検討するのを支援すると同時に、構造レベルでの転換に向けて舵を切るために必要な知識を身につけることを目的としています。

二つ目に、国際金融体系の改革の一環として、世界各国は開発途上国の債務再編に早急に取り組み、何百万人もの男女が貧困から脱却できるようにしなければなりません。 そして、ジェンダー平等にふさわしい債務体系も必要です。債務危機の影響を受けている数十の開発途上国では、社会支出や公共サービスの削減による打撃を各家庭がしなければならず、そこでは女性の無償労働が目に見えない補助金となって家計を助けています。

三つ目に、効率的で説明責任があり、透明性の高い財務省、中央銀行、税務当局が必要です。そして、ジェンダー平等のための制度改革を進める現行のイニシアチブの多くが断片的で、それが本来持ちうるインパクトを縮小させてしまっているという事実に対応していかなければなりません。事実、公的金融機関に変革を起こすための準備と態勢が整っていなければ、そのような改革を実施することも、維持することも難しくなるでしょう。ジェンダー主流化のための包括的な制度改革や、関連する公的機関のエコシステム全体に働きかける必要があります。そのため、ジェンダー平等に取り組んでいる財務省、税務当局、その他の公的機関を評価する UNDPの「公的機関のためのジェンダー平等シール」のような取り組みは、それらの機関が財政改革におけるジェンダー主流化を推進できるよう支援をしています。

最後に、世界が1945年以来最悪のレベルの武力紛争に直面している中、財源の不足は、過去15年間にわたる「女性・平和・安全保障(WPS)」に関するグローバルなコミットメントの実施においても最も深刻かつ持続的な障壁であり続けています。実は、社会、政治、経済的な危機下では、女性は男性に比べて8倍近くも貧困に陥りやすいのです。このような理由から、UNDPは国連機関の一員として、アフガニスタンにおいて2021年以降、7万5,000の女性が経営するビジネスを支援することで約90万人の雇用を創出し、コートジボワールにおいては紛争後に生活再建を目指す女性たちと協働するなど、世界各国で活動しています。

UNDPはこれからも、UN Womenのような主要なパートナーとともに、女性への投資を継続し、障壁や偏見を打破し、女性がリーダーとして活躍できるよう努めていきます。女性も、そのコミュニティも、そして私たちのグローバル・コミュニティも、もう待っている余裕などありません。