日本との知的交流を通じて、ウクライナの法医学分野の知見強化を実施

日本国政府は、ウクライナ国家警察(NPU)の法医学部門向けの訪日視察を主催し、検視・鑑識分野での連携を図る見込み

2023年7月10日
Photo: UNDP Ukraine / Andriy Krepkykh

2023年7月7日 キーウ – ウクライナ全土で大規模戦争が深刻化する中、国家司法機関は増大する圧力と前例のない困難に直面しており、革新的な解決策が求められています。ウクライナ国家警察(NPU)の複雑な法医学能力に対処するため、国連開発計画(UNDP)と日本政府による、重要な訪日視察が計画されています。知的交流活動の一環として、NPUの法医学部門から選ばれた10人の優れた代表が、2023年7月10日から14日まで、福島県と東京都を訪問する予定です。

訪日視察を通じて、ハルキウ、スーミ、ザポリージャ、ドネツク、ルハーンシク、チェルニーヒウ、ミコライウ、キーウ州から構成されるウクライナ国家警察の代表団は、日本の専門知識に基づく検視・鑑識分野、標本採取技術や効率的なDNA分析方法について習得予定です。

UNDPウクライナ・民主的ガバナンスチームリーダーを務めるオレナ・ウルスは、戦時下における人権と尊厳の保護を実現するために、司法へのアクセスは極めて重要なものになると強調しています。また、「この訪日視察が法医学部門の技術的な熟練度と専門能力を著しく向上させると確信しています」と語りました。また、「さらに、本視察によりウクライナ国家警察は新たな課題に効果的に立ち向かい、戦争の残虐行為によって影響を受けたすべての性別の個人に対して司法のアクセスを提供することができるでしょう」と述べました。

松田邦紀駐ウクライナ特命全権大使は、壮行会で「訪日視察は、日本警察が有する知識と経験を共有し、被害者を効率的に特定し、犯罪捜査における証拠の正確な保存を実現し、被害者とその家族への支援、そして当該活動に関与する関係者のメンタルケアを支援するために行われます」と述べました。「戦争の残虐行為に対して、容認することはできません。司法を維持し、正義を確保するために、法医学捜査官は重要な役割を果たしています。これが、私たちがUNDPおよび日本の警察庁と連携して、当該訪日視察を企画した背景です」とし、「私たちは、当該訪日視察が非常に困難な環境下における人間の安全保障と正義の促進に役立つと信じています」と彼は語りました。

ウクライナ国家警察・副本部長のマクシム・ツツキリッジェ氏は、日本の警察から学ぶことが出来る機会に対して謝意を表明しました。「ウクライナが直面している全面戦争において、当該訪日視察は足元の環境で求められている非常に重要なイニシアティブであるといえるでしょう」、また「私たちにとっては、同僚たちの経験から学ぶことができることについて非常に名誉に感じています。同時に、我々の法医学捜査官が本活動を経て得た経験を共有することを確信しています。」と語りました。


背景:当該知的交流活動は、UNDPが主導し、日本政府が資金提供する「戦争による多次元的な危機への対応を通じたウクライナにおける人間の安全保障の推進」というプロジェクトの一貫として開始されました。2023年5月までの大規模なロシアによる侵攻以来、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の報告によれば、ウクライナでは23,606人の民間人死傷者が確認されており、うち8,791人が死亡し、14,815人が負傷しました。

メディアのお問い合わせ先:UNDPウクライナ事務所 広報担当 ユリア・サムス
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