ウクライナ復興省、地方分権改革のロードマップを発表

2023年11月16日
Photo: Ministry for Restoration

ウクライナ・キーウ発 – 11月7日にウクライナのキーウで開催された地方分権改革に関する会議には、政府代表、最高議会、大統領府、地方自治団体、外交団、国際機関、専門家と市民社会組織の代表など250名が参加し、オンライン参加者は1000名以上にのぼりました。

参加者は、地域政策の問題や復興計画における地方自治団体のニーズ、地方分権改革におけるデジタル化の役割や EU加盟に向けたウクライナの地方分権の将来について議論しました。

ウクライナのデニス・シュミハリ首相は開会にあたり、大規模な戦争による影響を指摘し、地方分権が引き続き重要かつ時宜を得たものであることを強調しつつ、以下のように述べました。「地域社会の能力が復興のスピードと質を左右し、さらなる発展のための成長点を生み出します。私たちは、地域社会が現実的なプロジェクトを立ち上げ、それを実現させ、国際的なパートナーと協力し、彼らが提供するものを活用しながら人的資本を高めることを期待しています。人々にとって魅力的なコミュニティには、未来があるのです」

オレクサンドル・クブラコフ副首相兼地域社会・領土・インフラ開発担当大臣は、ロードマップ発表の意義を強調し、同省とウクライナ双方にとって重要な節目になると述べました。「本日、ウクライナの地方自治改革と地方分権の再編のための最新のロードマップを紹介します。この構想は、私たちの国家が大規模な戦争という難題に取り組んでいる中、極めて重要な局面で生まれたものです。この期間を通じて、私たちの団結した地域社会は驚くべき復興力と有効性を示してきました。紛争が続くなかでも、腐敗防止対策、デジタル化、戦略的計画立案に重点を置き、これらのコミュニティの組織能力を強化することが私たちの目標です」

ヤコ・シリアーズUNDPウクライナ常駐代表は、地方分権改革は同国の戦後復興に不可欠であると話します。「この改革は、地域社会のニーズから生まれ、コミュニティの回復力を反映するものであり、復興した国における責任あるガバナンスと社会進歩の基礎となります。これはトップダウンではなく、ボトムアップ、つまり地域社会のまさに中心から始められるものです。そこではすべての声が重要で、各コミュニティはその将来に対する独自のビジョンを持っているのです。」

松田邦紀駐ウクライナ特命全権大使は、日本の地方分権改革の経験について述べると共に、地方分権に取り組み戦後復興への道を歩むウクライナを日本が引き続き支援することを約束しました。「この改革は時宜を得ているだけでなく、ウクライナの将来にとっても非常に重要なものになります。日本は、数々の自然災害や第二次世界大戦の敗戦後の復興の経験から、さまざまなレベルの政府が協調して取り組むことの意義を理解しています。中央政府と地方自治体の連携を強化することは、ウクライナの効率的かつ持続可能な発展のための強固な基盤を作ることになります。これは行政プロセスの改善を可能にするだけではなく、経済的福祉の基盤である地域レベルでの自立性と強靭性も強化するものです」と松田邦紀駐ウクライナ特命全権大使は述べました。

地方自治改革のロードマップの策定および発表は、複数の主要パートナーからの多大な支 援と資金提供によって実現されました。これには、日本政府、ウクライナのコミュニティ能力開発プログラム「U-LEAD with Europe」、東ヨーロッパ財団、地方自治体の効率性と説明責任の強化を目的としたUSAIDの「GOVERLA」プロジェクト、スイス・ウクライナの「DECIDE」プロジェクトなどが含まれます。

背景:2014年に開始されたウクライナの地方分権イニシアチブは、ヨーロッパ地方自治憲章の原則に沿ったものとなっています。この改革により、統一された地域コミュニティ(UTCs)の設立が全土にわたって可能となりました。現在、ウクライナにはこのような1,439のコミュニティが存在し、約28,000の集落が存在しています。

メディアお問い合わせ先:Yuliia Samus - UNDPウクライナ広報担当 (Email: yuliia.samus@undp.org)