ウクライナの照明と暖房、公共サービスを絶やさないために

日本とUNDP、ウクライナの重要エネルギー・インフラの復旧を支援

2023年2月24日
Photo: Andrii Krepkykh / UNDP Ukraine

2023年2月16日 キーウ – ウクライナでは全土で民生インフラが破壊され、医療やエネルギー・システムをはじめとする重要サービスが大きな混乱をきたしたことで、多くのウクライナ国民が停電の影響を受けています。暖房や照明、水道が全く使えなくなったコミュニティも多く、特に地方の行政機関は大きな圧力にさらされています。

エネルギー・インフラの半壊による課題の克服を支援するため、日本と国連開発計画(UNDP)は、新たに1,000台のポータブル電源を調達し、これをウクライナ全土の各地に供与しています。キーウ州では引渡式が行われ、市町村議会の代表に計38台のポータブル電源が手渡されました。残りの発電機も間もなく、全国各地のコミュニティに供与される予定です。

引渡式であいさつした飯島泰雅 在ウクライナ日本大使館公使は、エネルギー・インフラに対する絶え間ない攻撃によって、ウクライナでは深刻なエネルギー危機が生じ、停電が頻発しているとして、次のように語りました。「ウクライナ全土で大規模な停電が発生している現状で、1,000台のポータブル電源は、市民の日常生活をできる限り正常化することに大きく役立ちます。今年のG7議長国である日本は、他のG7諸国や国際社会とともに、ウクライナの人々に対する支援と援助を続けていきます。UNDPを通じて提供された今回の援助が、ウクライナの復興と人々の生活再建に大きく貢献することを期待しています」

クリストフォロス・ポリティスUNDPウクライナ常駐副代表は、UNDPがウクライナ政府による国内エネルギー・インフラ復旧への地道な取り組みを支援する一方で、照明を灯し続け公共サービスの継続を可能にするため、ポータブル電源をはじめとする代替的なエネルギー源も地方自治体に供与していることに言及したうえで、次のように述べました。「ウクライナ政府との戦略的パートナーシップと、日本政府の寛大な支援により、UNDPは越冬に必要な優先課題への取り組みに対する緊急支援を行っています。また、エネルギー・インフラの復旧と、そのレジリエンスや持続可能性、包摂性の強化に対する援助も行っています」

同じく引渡式に参加したミコラ・ボイコ・キーウ州軍事行政副長官は、特に深刻な戦災に見舞われた地域で、代替となるエネルギー源の確保が急を要しているとして、「緊急事態の下では、市民が手持ちの機器を充電し、必要に応じて使えるようにするために、電源が不可欠となります。日本政府とUNDPをはじめとする国際社会の支援に深く感謝します。また、今回のポータブル電源の供与に感謝するとともに、さらなる協力も期待しています」と語りました。

ヘルソン州軍事行政当局のヴィタリー・ビエブロフ氏は、「この困難な時期に、国際社会からの支援を実感できることが非常に重要であり、私たちはこの連帯感を高く評価するとともに、通信手段の確保に役立つ機材の供与に感謝しています」と語っています。

 


背景

日本政府はウクライナで、UNDP最大のパートナーの一つとなっており、最近も救援・復興支援として9,500万米ドルを供与しています。UNDPはがれき撤去・地雷対策への日本の緊急無償資金援助プロジェクトと、人間の安全保障促進に関する日本の補正予算プロジェクトの実施機関として、戦争で生じた多次元的危機への対策を支援しています。

UNDPは国連システム全体を代表し、世界銀行とも連携しながら、ウクライナのエネルギー・インフラの被災状況に関する包括的評価を主導しています。この評価を受けて、緊急の修復・復旧ニーズの査定が行われるほか、クリーンで安価な再生可能エネルギーを通じ、エネルギー安全保障を強化する機会も生まれることになります。