フォレスト・マイ・フレンド:UNDP、日本政府、ジョージア政府森林庁が森林保護をテーマにした漫画アニメを発表

2022年11月30日

 

森は私たちの友達、守らなければならない存在です。人間は自然と平和で調和のとれた暮らしを実現しなければなりません。

このシンプルで力強いメッセージは、在ジョージア日本国大使館、国連開発計画(UNDP)、及びジョージア政府森林庁が11月25日に発表した漫画アニメに込められているものです。

漫画アニメ「フォレスト・マイ・フレンド」は、日本の漫画スタイルを用いて、子どもから大人までジョージア社会の幅広い層を対象に制作されました。この漫画アニメが描くのは、人と森との間で起きた争いによって引き離されてしまった人間の少女と木の切り株の架空の物語です。ストーリーが進むにつれ、少女と切り株はお互いの違いを乗り越えて、争いで失われた人々と木々の絆を取り戻すための旅に出ます。

「日本では年齢を問わずさまざまな人が漫画を読んだり目にしたりしています。この日本独自の文化が、ジョージアで森林保護、温室効果ガスの排出削減、気候変動対策に役立っていることを嬉しく思います」と、今村朗・駐ジョージア日本国特命全権大使は述べました。

「平和と調和のメッセージがこのようなスタイルで表現されているのは素敵なことだと思います。ここジョージアでの森林保護に関する日本政府の重要な支援は、この素晴らしい漫画アニメを通して多くの人々の元へ届けられています」と、ニック・ベレスフォードUNDPジョージア常駐代表は話しました。

「ジョージア政府は、国や地方レベルで持続可能な森林管理を促進するために重要な改革を実施しています。環境教育はこのような活動の大事な一翼を担っています。それは人々が環境問題に関心を持ち、問題解決に取り組み、環境を改善するために行動を起こすきっかけになります」と、ネイシャ・イオーダニシビリ森林庁副長官は述べました。

漫画アニメ「フォレスト・マイ・フレンド」はUNDPの委託を受け、ジョージアの市民団体「デモクラシー・ラボ」(DemLab)が持続可能な森林管理のための啓発キャンペーンの一環として制作しました。この漫画アニメは、トビリシでの初回上映後、ジョージアの村々を巡回し、UNDP、日本政府、ジョージア政府森林庁による児童生徒や若者を対象にした上映会やディスカッションで使われます。

 

ジョージアの気候の約束(Climate Promise)

ジョージアの豊かな森林は、国土の43%以上を占め、何百万もの人々に生活の糧、安全な水、新鮮な空気を提供するだけでなく、災害防止の役割も果たしています。森林は、排出された温室効果ガスを吸収し、気候変動対策に寄与しています。それにもかかわらず、この貴重な天然資源は、過剰な木材利用、違法伐採、山火事の脅威にさらされています。ジョージアの人口のほぼ4分の3、とりわけ農村部に住んでいる人々は、暖房やその他のニーズを満たすために今も薪に頼った生活をしています。持続可能ではない木材消費は年間240万立方メートルに達しており、その経済的なロスは現地通貨で年間約4億4600万ラリ(約229億円)に上ります。また、山火事は毎年数千ヘクタールの森林を破壊し、被害を与えています。

2020年にジョージアの新しい森林法が採択され、持続可能な森林管理の推進と、違法伐採や山火事のリスク低減を目指した林業改革が始まりました。

2021年、ジョージア政府は国家気候変動戦略を採択し、パリ協定に対して「国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution、略称NDC)」を更新しました。この野心的な気候変動に関する約束によれば、ジョージアは2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年の基準値より無条件で35%削減し、森林の炭素吸収能力を2015年のレベルより10%向上させるとしています。

これらの目標達成を支援するため、日本政府とUNDPはジョージア政府の環境保護・農業省、森林庁、地方自治体当局、地域コミュニティと連携し、自然、人、経済にとって有益な森林管理手法を導入しています。

UNDPは日本政府から92万ドルの資金拠出を受け、森林庁が森林保護に関する拠点施設「ビジネス・サービス・ヤード」を建設、開発、改善し、地域社会に質の高いサービスを提供できるよう支援しています。

ムツヘタ地区に設置される3つのビジネス・サービス・ヤードでは、約4万3000人が、違法伐採された木材ではなく、バイオマスや持続可能な方法で収穫された木材をアクセス可能にしています。これらは暖房やその他の生活ニーズに利用されます。

それら3つの施設に関しては、2022年末までに、新しいビジネス・サービス・ヤードがジガウラ村に設置されるほか、ゼグヴィ村とクヴェモ・リシ村の2つのビジネス・サービス・ヤードには、全地形対応車両と消火装置が導入されます。地元の森林管理者は持続可能な森林管理について訓練を受け、近隣の村々に住む脆弱なコミュニティにはエネルギー効率の高いストーブが供給されます。UNDPとジョージア政府森林庁は、森林保護の重要性を人々に伝える啓発キャンペーンも実施します。

この支援は、120の国と地域が気候変動に関する目標を達成できるよう支援するUNDPの世界的な取り組み「気候の約束(Climate Promise)」の一環として行われるものです。ジョージアは、この先駆的で画期的なイニシアティブの第二フェーズにおける最大の支援国である日本政府が支援している23の国と地域(うちウクライナでの活動は調整中)の一つです。


お問い合わせ先
国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所 registry.jp@undp.org