途上国の気候変動対策に日本から2,360万米ドルの継続支援

2023年5月9日
Photo: UNDP Kenya / Alexander Kirubi

日本とUNDPは、気候変動対策やグリーントランスフォーメーションの推進を通じて、気候変動に対して強靭な持続可能な開発を実現するために協業を続けてきましたが、この度、UNDPは日本から新たな資金提供を受けることとなりました。UNDPは、各国政府が気候変動対策に取り組み、「国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution, 略称NDC)」を達成するための支援を行っていますが、本拠出金はその必要性の高まりに応えるとともに、人間の安全保障に重大な脅威をもたらす今日の複合的危機に対応することを目的としています。

今回の支援で特に優先されるのは、「食料安全保障への気候変動の影響に対する回復力の向上と適応」、「洪水や土砂崩れなどの気候変動が引き起こす事象へのリスク低減」、「最も脆弱なコミュニティにおいて、再生可能エネルギー、持続可能な輸送、エネルギー効率化及び電力へのアクセスを緊急的に推進するためのイノベーション」です。

国連事務次長補で国連開発計画政策&プログラム支援局長のハオリャン・シュウは、以下のように述べました。「世界の気温上昇を1.5℃以内に抑えるという、パリ協定で示された目標は、まだ手の届くところにあります。 しかし、国連事務総長が述べたとおり、気候変動対策には飛躍的な進歩が必要です。UNDPと日本の新たなパートナーシップは、この喫緊の課題への取り組みを可能にし、多くの国々で多面的な危機に対処するのに役立つことでしょう。」

日本からの2,360万米ドルの拠出金は、UNDPの「気候の約束(Climate Promise)」イニシアティブを通じて、アジア太平洋、欧州・中央アジア、アフリカ、アラブ諸国の16カ国(アルメニア、ブータン、ジョージア、インド、インドネシア、ヨルダン、ケニア、キルギス共和国、マラウイ、ナミビア、ネパール、セルビア、南アフリカ、スリランカ、タイ及びベトナム)にて活用されます。 本イニシアティブでは、日本から昨年提供された資金を活用し、エジプト、モルディブ、ボスニア・ヘルツェゴビナなどでは様々なセクターで新しいクリーン技術の導入を推進し、インドネシアなどでは野心的な気候変動政策を策定することが可能となりました。また、ケニアとジョージアでは温室効果ガス排出削減のために森林管理のやり方を改善し、タジキスタンでは地域社会の回復力を強化する早期警報システムを導入することができました。

UNDPの「気候の約束」は、パリ協定の目標達成に向けて各国が自国の目標や約束を実現するための世界最大のイニシアティブです。パートナー国・機関とともに、このイニシアティブは現在、世界の全開発途上国の80%に相当する120か国で、政府と社会の各界の関係者を巻き込みながらNDCを定めるための支援を行っています。現在までに、これらの国のうち106か国が国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)にNDCを提出し、その実施に向けて努力しています。

2021年の第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)において、UNDPは「気候の約束」イニシアティブの新たな支援フェーズ(From Pledge to Impact)を発表し、目標(NDC)を策定するための支援から、目標を具体的な行動に移すための支援へ拡大しました。日本は、世界をリードする「気候の約束」イニシアティブのこの支援フェーズにおける最大の支援国となり、長年の資金提供パートナーであるドイツ、スウェーデン、EU、スペイン、イタリア、そして英国、ベルギー、アイスランド、ポルトガルなどの新しい資金提供パートナーとともに、UNDPはNDCパートナーシップと協力してこの取り組みを加速させてきました。日本政府は、コロナ禍からのより良い復興とグリーントランスフォーメーションを可能にするための構造転換を加速させるというUNDPのミッションに欠かせないパートナーです。