アフリカのブルー・グリーンエコノミーにおけるSDGs投資

UNDPとアフリカ開発銀行共催のTICAD8サイドイベントにおいて議論しました

2022年9月20日

 

先日閉幕した第8回アフリカ開発会議(TICAD 8)では、人々の生活の質を向上させるため、アフリカ大陸のグリーン・エコノミー分野に40億米ドルを投資する「日本のグリーン成長イニシアティブ with アフリカ」と、エネルギッシュな若者の起業を支援する約7千万ドルの「スタートアップ向け投資ファンド」が発表されるなど、盛り上がりが見られました。

こうした重要な民間セクターとのパートナーシップを背景に、UNDPとアフリカ開発銀行(AfDB)はTICAD 8のサイドイベントとしてアフリカ大陸投資家会議を共催しました。 2022年9月6日に開催されたこのバーチャルイベントでは、民間・公共セクターが集まり、約300人の参加者が、アフリカ大陸において包括的成長を促進し持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献できるグリーンおよびブルー経済への投資の機会について話し合いました。

UNDPアラブ諸国地域副局長であるサラ・プールは開会の挨拶で、新型コロナウイルスの流行など予期せぬ外的ショックにより、アフリカにおけるSDGsの年間資金ギャップが3, 530億ドルに拡大していると述べ、アフリカにおける資金ギャップを埋め、結果として持続可能な開発を進めるためには、政府、民間セクター、市民社会、市民と協力してグローバルファイナンスを動員することが重要であると強調しました。また、UNDPのような開発パートナーが、SDGsに沿った実証済みの投資機会に資金の流れを向けるための実現条件の整備をどのように支援できるかを説明しました。「政府やパートナーとともに、UNDPはSDGs投資家マップを開発しました。このマップによって、投資家の意思決定をSDGsに向けて導き、公共と民間、国内と海外の資金フローを幅広く統合し、資本を最も必要とする場所に向けることが可能になりました」と述べました。また、SDGsが12兆ドルの市場機会を生み出す点に触れ、グリーンおよびブルー経済への投資の増加がアフリカの人々の生活向上に果たす役割を強調しました。

アフリカ大陸投資家会議では、ジブチ、モーリシャス、ナイジェリアの投資促進機関が、それぞれのSDGs投資家マップから投資機会を紹介する国別セッションが行われました。モーリシャス経済開発庁(EDB)CEOのケン・プーンサミー氏は、同国の明るい経済見通しを強調し、分散型水処理・供給システムの投資機会や、廃棄物ゼロのマグロ産業に向けたエネルギー・デ・マスカレーヌ(EDM)プロジェクトについて述べました。ナイジェリア投資促進委員会(NIPC)政策提言部長のジョン・オセジ氏は、港湾に関する投資機会について話し、近代的な船舶を支えることができるオンド州からの投資調査プロジェクトを紹介し、検討を促しました。ジブチ国家投資促進庁・投資部長であるラマ・オマール・カミル氏は、特にGhoubbet / Assal、Gali Maab Wein、Badaといった地域における風力エネルギーの可能性について述べ、大規模風力発電の投資機会を強調しました。

国別スポットライトに続いて、日本の民間企業がアフリカ投資をどのように実行できるか、またアフリカのグリーン・ブルー経済への投資を加速させるために公的機関はどのような支援を提供できるかについて、活発なパネル議論が行われました。豊田通商株式会社の和田明氏は、先日開催されたTICAD8を振り返り、日本の投資家はアフリカを新たなフロンティアとして、特に再生可能エネルギー分野への投資に注目していると述べました。「SDGs投資家マップは、アフリカ市場への参入を検討する上で、特に再生可能エネルギーへのインセンティブなど、環境に関する情報が掲載されていれば、また対象国が拡大されれば、さらに有用となろう」と述べました。Bamboo Capital Partnersのフロリアン・ケメリッチ氏は、アフリカ市場のダイナミックな特質を踏まえて、主要な投資ニーズと機会について詳しく説明しました。「私たちは、地方の中小企業やアーリーステージの企業、また金融機関が現地で資金を調達できるよう、融資や出資を通じて、いわゆる「ミッシングミドル」にフォーカスして投資を行っています。私たちは、高い成長と雇用の創出が期待できるとともに、ビジネスの成長に必要な資金が不足しがちな地域や国の社会発展を促進することができると考えています。」

国連資本開発基金(UNCDF)代表のプリーティ・シンハ氏は、開発パートナーがグリーン&ブルーエコノミーにおける民間資本をいかにして触媒として活用できるかの一例を強調しました。「例えばガンビアにおいて、UNCDFはUNDP実施のプロジェクトをベースに、太陽光発電のためのマルチドナー信託基金を通じて900万米ドルの保証に関する財務構成と管理を行い、その結果、1500万米ドルの民間投資が行われました」。パネルのモデレーターであるUNDPアフリカ・サステイナブル・ファイナンス・ハブ所長でUNDP南アフリカ常駐代表のアヨデレ・オドゥソラは、「TICAD 8の文脈で示された官民協力の機は熟している」と指摘しました。日本の民間セクターにとって、アフリカ市場にはこれまで以上に多くの投資機会があり、投資の実現はアフリカ大陸の変革的発展とアフリカ連合(AU)のアジェンダ2063の達成にとって欠かせません」と述べました。

AfDBのエネルギー金融ソリューション・政策・規制担当局長であるワレ・ショニバレ氏は、次のように述べました。「SDGs投資家マップにある民間セクターにおけるビジネス・投資機会は、アフリカ大陸自由貿易地域(AfCFTA)が有効な手段として機能することで、地域統合及びアフリカ経済を将来的に牽引することになるでしょう。例えば、アフリカ経済の脱炭素化と大陸のエネルギー転換を加速するため、AfDBではエネルギー効率の高い技術やビジネスモデルへの民間投資を促進する基金として、アフリカの持続可能エネルギー基金(SEFA)やアフリカ保証基金などのイニシアティブの用意があり、我々のような開発金融機関は政府や民間セクターと協力してシナジーを生み出し、最大のインパクトを与えることができるのです。」

アフリカ大陸投資家会議の記録はこちらをご覧ください。

ジブチ、モーリシャス、ナイジェリア、その他20カ国、400以上のSDGs投資家マップの調査結果は、SDGs投資家プラットフォームをご覧ください。