毎日新聞大阪社会事業団「世界子ども救援基金」ウクライナ難民の子どもの教育継続のため、難民居住センターにパソコン10台を寄贈

2023年10月12日

UNDPは毎日新聞大阪社会事業団の支援で購入したコンピューター10台とカラープリンターを、モルドバ共和国のフンチェシティ県カルピネニ村にある難民居住センター(RAC)に贈与しました。これにより、このRACで暮らすウクライナ 難民の子どもはオンラインで教育を継続することができるようになります。贈与品は、毎日新聞が毎年行う世界子ども救済キャンペーンで集まった募金で購入されました。 

現在、難民居住センターとして使用されているカルピネニ村の元寮制学校の代表であるトゥドール・ワエヌ氏は「既存のコンピューターは20年ほど前に購入された古いもので、大半は使いものになりません。この支援で、戦争によって家や学校から引き離され、私たちのところに一時避難、滞在している子供たちが学習を継続するのに必要なものが揃いました。私たちの大きな課題のひとつの解決に繋がったのです。」と話します。 現在、この難民居住センターには69人の難民が暮らしており、そのうち22人が子どもです。今年度については、そのうち8人が、県庁所在地フンチェシティにあるロシア語の高校に入学し、毎日の送迎が行われています。他には2人がウクライナの教育機関を通じてオンライン学習を続けています。 

「この寄付は、子供たちの教育と福祉への特別な投資であり、私たちのことを考えてくれた人がいたことに感謝します。子たちにとって、コンピューターは、学習、友人とのコミュニケーション、娯楽などの機会を与えてくれる、実質的に「全て」を意味するのです。私の甥は情報技術に興味があり、専門のオンライン講座に入学しましたが、学習を継続するのに必要なコンピューターがなく、途中で断念しました。予習や復習をしたり、課題に取り組むためには、持っていたタブレットでは不十分だったのです。」
ウクライナのミコライフにある学校にオンライン通学する小学3年生イゴールの祖母オルガ・ウァウストさん

オルガ・ウァウストさん

Photo: UNDP Moldova

コンューター10台とプリンターは、同センターに住む子供たちが、オンライン講座を継続するほか、安全かつ便利に、様々な課外活動に活用できるよう寄贈されました。 

また、同様にカルピネニ村にあり、主に高齢者が居住する他の難民センターには、居住者からの要請に応え、衛生用品と清掃用品を提供しました。難民居住センターはフンチェシティ県に3ヶ所あり、そのうちの2つはカルピネニ村で運営されています。

2022年5月から7月にかけて、毎日新聞 の記者チームはUNDPのパートナーであるカルピネニ村の自治体などを訪問。ウクライナ難民と難民を受け入れるモルドバのコミュニティの状況を取材しました。この訪問と取材は、世界子ども救援基金の募金活動に繋がりました。 

ウクライナ戦争以降、避難してくるウクライナ難民のために、モルドバ当局は全国に136の難民居住センターを立ち上げました。当局のデータによると、その後、難民居住センターの数は減少し、2023年7月の時点で2079人の難民(うち37%は子ども)が53カ所の難民居住センターで暮らしています。今後、難民居住センターが必要となくなる際には、寄贈のコンピューターは政府の方針に基づき、活用される予定です。 

多数のウクライナ難民が到着した当初、カルピネニ村の地元団体は、ボランティアを動員し、流入する難民の効果的な誘導や、難民支援に必要な資金の確保、一時滞在センターの設置などを進めました。UNDPやその他のパートナーは、難民居住センターに対し、難民への食事の提供や管理にかかる費用の一部を支援しています。