ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2023 選考について

2023年12月13日

若者によるソーシャルイノベーションと社会起業を支援する国連開発計画(UNDP)とシティ・ファウンデーションのプログラム「Youth Co:Lab(ユース・コーラボ)」は、社会課題に挑戦したい、高校生から34歳までの若者に向けたSDGsビジネスコンテスト「ソーシャル・イノベーション・チャレンジ日本大会2023」を開催しました。(ご参考:応募要項最終ピッチ大会お知らせ)

開催5年目となる今年は、イノベーションを生み出すエコシステムの重要性を再認識し、「若者が切り拓くイノベーション~加速と育成〜」をテーマに、 SDGs達成への道のりとその先を見据える若者の視点にも着目し、最優秀賞や観客賞などに加え、新たに「若者ビジョン賞」も設けました。

今回は国内外から約30件の応募があり、書類審査の一次審査と、ピッチ動画による二次審査を経て、8組の最終選考者を決定しました。 SDGs達成に焦点を当てたアイディアに加え、新しい視点や将来性を感じられる事業モデルを重視するとともに、以下の審査基準を軸として審査を行いました。

i. 持続可能な開発目標(SDGs)への貢献度~社会問題解決へのインパクト
ii. 事業アイディア~イノベーション・革新性~
iii. 事業モデル~実現可能性、持続可能性~
iv. アントレプレナーとしての熱意・ビジョン

審査にあたっては、上記4つの点についての総合的なバランスに加え、どれだけ説得力をもったわかりやすい伝え方ができているか、コミュニケーション力も重視しました。また、アイディア段階のものからすでに実装に入っているものまで、様々な事業ステージの事業が寄せられたため、今後の成長可能性も考慮に入れました。

ご参考まで、今回の応募者の特徴は以下のとおりでした。

  • 年代の割合:20代:41%、30代:34%、10代:24%。
  • 国外案件:29件中4件が国外対象の課題解決案。6件が国内外両方を対象。
  • 社会課題・SDGsの分野:幅広い分野にわたり応募がありましたが、特に多かったのは、以下の5つの目標に貢献するアイディアでした:

- SDG 目標3:すべての人に健康と福祉を
- SDG 目標10:人や国の不平等をなくそう
- SDG 目標11:住み続けられるまちづくりを
- SDG 目標4:質の高い教育をみんなに
- SDG 目標1:貧困をなくそう

2023年11月21日、8組の最終選考者の中から、最終ピッチを経て、以下の6組が各賞を受賞しました。

最優秀賞およびCVC賞 「ケアラーに寄り添い 介護に驚きと希望をもたらす シルバーニア」 (株式会社想ひ人 金子萌氏) 

介護を支える情報と介護をする人を繋ぐ。ケアラーに伴走するwebアプリ、介護相談、体験型店舗と介護情報発信ウェブメディアを含めた、いわばキッザニアのシルバーバージョンのような総合プラットフォームです。

評価点:今後ニーズが高まる領域であることに加え、ケアラー体験を活かして考案した介護に希望をもたらすというアプローチなど、社会課題解決へのインパクトの大きさ。


スケーラビリティ(汎用性)賞「ChatGPTベースの質の高いAI問診システムで医療従事者の不足を補い、世界の医療格差を減少させる」(DelphiMed 田中顕氏)     

我々は高精度のAI問診を誰でも使えるようにすることで、世界中の医療アクセスを向上し、医療格差を減少させることを目指す。開発途上国での医療従事者の圧倒的な不足を、AI技術で解決することを目指しています。

評価点:テクノロジー技術を利用した事業であり、社会課題解決の効率性や、インパクトの可能性を評価。


若者ビジョン賞 「Glabel Japan」(小谷理人氏)

訪日ベジタリアン・ビーガンの方々は日本の魅力的な食文化を楽しみたいのに原材料表示が分からず食品を買えないという課題があります。そこで、日本旅のお供になるようなサービスを提供しています。   

評価点:プロダクトが分かりやすく、顧客(ベジタリアン・ビーガン)やマーケットをよく理解している。他のセクターとの協働している点も評価。



若者ビジョン賞「シロアリによる水素生成事業~シロアリ・微生物が日本を救う~」 (HIM・髙橋英眞氏)   

環境に優しい生産方法で作る水素の値段が高いという鉄鋼業者の課題をシロアリおよび微生物から価格の低い水素を工業生産することで解決する。本事業を通し、日本の林業の活性化・エネルギー自給率の向上に貢献します。

 評価点:着眼点の斬新さとシロアリの専門性の高さに加え、シロアリをとおした社会課題解決への情熱と可能性を評価。 


CVC賞「フィリピン農家の貧困問題を解消する地鶏から揚げ店 」(TAO's NATIVE CHICKEN峠 慶太郎氏) 

私たちはフィリピンの農家の収入向上を実現するため、養鶏事業と地鶏のから揚げ店の運営を行っています。今作っているモデルを、フィリピンで誰もが知っているソーシャルビジネスブランドにすることを目指しています。

評価点:からあげ屋の経営をとおして、フィリピンの単作農家に副業の機会をもたらし、収入の安定向上という確立したビジネスモデル。ここまでに、多くの試行錯誤を重ねた点も評価。


観客賞「海洋ごみMAPを活用した持続的な海洋ごみ回収システムの確立」(特定非営利活動法人クリーンオーシャンアンサンブル 江川裕基氏) 

海洋ごみ問題解決のために、海洋ごみMAPプラットフォームを活用し、持続的な海洋ごみ回収システムを確立します。   

評価点:観客による投票結果