開催報告:第二弾JPOキャリアセミナー (2024)

2024年3月7日
第二弾JPOキャリアセミナー (2024)

左から、小松原茂樹UNDPタンザニア常駐代表、新川和UNDP駐日代表事務所インターン

写真:UNDP

 

UNDP駐日代表事務所は2月22日(木)、第二回JPOキャリアセミナーをオンラインと現地会場を併用したハイブリッド形式で開催しました。  

UNDP駐日代表のハジアリッチ秀子による開会挨拶の後、外務省国際機関人事センターの中野美智子氏よりJPO派遣制度の紹介があり、他の採用方法との違いやJPO制度の実績などに加え、募集要件、選考プロセスや必要書類などJPO応募に関する説明がありました。

続いて、UNDP人事部JPOサービスセンターのJean-Luc Marcelin (Partnership&Talent Outreach Specialist)とChristina Favrbo, HR Associate at UNDPより、以下のJPOポストに関して説明がありました。

  • Policy Analyst - Crisis Prevention, Response and Recovery
  • Programme Analyst - Environment, Climate Change & Resilience
  • Programme Analyst - Strategies, Partnerships and Economic Governance
  • Programme Analyst - Governance and Human Rights
  • Engagement and Communication Analyst

     

その後、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)派遣制度でUNDPに入職した近藤千華UNDPアフリカ局TICAD連携専門官と、経済団体連合会事務局、OECD事務局勤務等を経てUNDPに転職した小松原茂樹UNDPタンザニア常駐代表の2名がパネリストとなり、それぞれのキャリアやアフリカ局TICADユニット、タンザニア事務所のJPOの業務内容等について紹介しました。

 

業務内容について

小松原茂樹:UNDPは戦略計画 (strategic plan)を基に、タンザニアのニーズを反映した国別計画 (country programme)を策定し、Poverty and inequality, governance, resilience, environment, energy, gender equalityなどの分野を中心にタンザニアの発展を支援している。またニューヨークの本部に加えて、アジスアベバ、プレトリア、ダカールに地域センターを置き、地域的な開発課題を支援している。

近藤千華: TICADユニットは、アドボカシー、コミュニケーション、パートナーシップの推進に努めている。開発に関する知識やネットワーク、関係者の調整など、様々な貢献をしている。また、日本とアフリカの間の橋渡し役を務め、国民の理解を深めるという重要な役割も果たしている。

 

キャリアプラン追求のために、JPOで得られた知見の活かし方

小松原茂樹:UNDPタンザニア事務所でのJPOは、地球環境分野を中心に仕事をしてもらうことを想定しているが、環境分野は専門性を高めることが出来るだけでなく、他の開発分野にも拡がりがあり、「環境+α」の視点を持てば、幅広いキャリア形成の可能性がある。若手の採用は専門知識や過去の実績に加えて、明確な志望動機とプロとしての成長性を重視して採用することが多い。

近藤千華:仕事をする組織内で横断的な人脈を作り、様々な情報を得ることで、キャリア選択の幅が広がり、将来につながりやすくなる。

 

JPO採用後に活躍できる人材について

小松原茂樹:国際機関の職員として成長するには、専門知識や言語能力に加えて、コンピテンシーを育てることが不可欠である。コンピテンシーとは、多文化・多言語で不透明性や複雑性が増す環境でも結果を出せる人々に共通する資質のことで、国連に限らず、どのような組織でも結果を出すのに益々不可欠になっている。キャリア形成には、コンピテンシーを深く理解し、日頃の仕事を通じてプロとしての自分を育てることが不可欠だ。

近藤千華:コンピテンシーは重要である。また、日々与えられる課題に対して実直に向き合うこと、与えられた課題以上の働きをすることが、自らの価値を高めることになる。

 

各ポストで求められる能力が異なるが、自身の強みをどのように伝えるのか

小松原茂樹:応募先の機関が何を期待しているのかに加えて、自身と向き合って、自己の価値観、動機、関心分野、得意・不得意等を客観的に理解することが重要である。国連は多様な価値観を持つ人々が集まって共通の解決策を探る場なので、最初から正解は存在しない。自分を深く理解し、虚心坦懐に、先方の関心に応え、プロとしての成長性を感じさせるように話をしてほしい。

近藤千華:組織の考えを十分に理解することが重要である。完璧や正解を求める必要はないが、自分なりの理解を提示することや、そのためのプレゼンテーションが大切である。

次に、登壇者毎に異なる質問がされました。小松原タンザニア常駐代表には、経団連から国連機関へのキャリアチェンジに際して迷いはなかったか、経団連での経験が国連での仕事にどう活かされているのか、について質問がありました。

小松原茂樹:キャリアチェンジに際しては大変悩んだが、急速に変化する世界における企業と社会の関わり、という観点はキャリアを通じて一貫しており、UNDPが関心を持ち始めていた分野でもあったので、思ったほど違和感は感じなかった。個々人の経験に基づいた興味・関心を追求していけば、その延長線上に新たなキャリアが拓けるのではないか。

また、近藤専門官に対しては、JPO合格までの困難や試行錯誤、家庭とキャリアの両立について質問がありました。

近藤千華:目の前の仕事に対して実直に取り組むことや自身の関心の枠組みを広げていくこと、自身の価値観を再認識することが、JPO合格につながるのではないか。

セミナーの最後には質疑応答のセッションがありました。TICADユニットのJPOに関してTICAD9終了後に予想される業務内容や、本部勤務をどうフィールド勤務に繋げるのか、自分の強みや可能性を感じさせる面接でのプレゼンテーションや履歴書の作り方等、様々な質問が寄せられ、登壇者からは、それぞれの視点や経験を踏まえて、志望動機、専門性、コンピテンシー、成長性など具体的な事例を通じて、相手の関心に応えるように語り、伝えることが効果的である。新たな可能性を発見するには、自分自身の興味関心を大切にしつつも、オープンマインドでいることが大切である、などの発言がありました。