包括的なTICADプラットフォームの構築を目指し アフリカ各国の国連代表部大使・常駐代表とのコンサルテーションを実施

2024年1月18日

セッションの冒頭、上川陽子外務大臣によるビデオメッセージの様子

Photo: UNDP Regional Bureau for Africa

アフリカは、経済的ショック、治安の悪化、気候変動など、さまざまな課題に直面しています。しかしこのような状況下においても、アフリカの創造的な人々、特に才能ある若者や意欲的な女性たちにとっての機会があります。

2023年12月12日、アフリカ開発会議(TICAD)を通じ、日本とアフリカの協力の未来を形作るまたとない機会として、日本および国連の関係者、アフリカ各国の国連大使が一堂に会し、ハイレベル・コンサルテーションが開催されました。

TICADの30周年を記念して開催された本会議では、アフリカ各国の国連大使・常駐代表が2024年のTICAD閣僚会合や2025年のTICAD9を見据えて、主要な開発優先課題を共有しました。今日の世界で起きている複合的な危機にもかかわらず、政策の枠を超え、希望に満ちた展望が描かれました。

セッションの冒頭、上川陽子外務大臣はビデオメッセージを通じ、アフリカ連合(AU)、地域経済共同体(RECs)、アフリカ各国と協力しながら、アフリカ主導の解決策を支援する、日本の継続的なコミットメントを強調しました。また、TICADの30年にわたる歴史の中で、アフリカのオーナーシップと国際的なパートナーシップに基づくTICADのユニークなアプローチを強調しました。

石兼公博国連日本政府代表部特命全権大使兼常駐代表は、30周年という重要な年を迎えたことを述べ、TICADのアジェンダを前進させるための必要性を強調しました。また、堀内俊彦外務省アフリカ部長は、TICADが革新的な解決策の共同学習・共同創造のプラットフォームとして進化し続ける必要性を強調しました。TICADの共催者である国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ特別顧問室(UNOSAA)、世界銀行の代表も、この思いに共鳴しました。  

左から右:アヒム・シュタイナー、石兼公博国連日本政府代表部特命全権大使、堀内俊彦外務省アフリカ部長、チョラ・ミランボ ザンビア共和国国連特命全権大使、サレム・マトゥーグ AU国連常駐代表部政務担当顧問

Photo: UNDP Regional Bureau for Africa

UNDPのアヒム・シュタイナー総裁は、本会議がアフリカと国際社会の協力関係を再構築する上で非常に重要な転換期であるとし、アフリカ諸国にとっては極めて意義深いものであると強調しました。シュタイナーはTICADの重要な成果及び結果を強調し、課題に取り組むための持続的な解決策を共同で考案することの重要性を強調しました。

また、UNDPの「気候の約束(Climate Promise)」や「アフリカ・ミニグリッド・プログラム」といった具体的なイニシアティブを取り上げ、これらの取組みがアフリカをグローバルなグリーン経済に統合する実践的な手段であり、持続可能な開発に向けた実行可能な道筋を示していると述べました。

この特別なハイレベル協議を通じ、将来のTICADプロセスを通じて関係者が協力をしていくというコミットメントが明らかになりました。TICADはアフリカ各国が自らの道を切り開き、意見を主張し、パートナーシップが持続可能な発展と進歩を牽引する未来を形作る機会となります。

このイベントのメインセッションでは、ザンビア共和国 国際連合特命全権大使兼常駐代表のチョラ・ミランボ氏がモデレーターを務め、アフリカの15の加盟国の代表によって、アフリカ諸国と開発パートナーが進める構造的変革について発表しました。主要製品や農産物の付加価値向上、エネルギーやコネクティビティのような重要な分野でのインフラ不足の解消、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の潜在力の活用、起業家育成を通じた若者の力を引き出すための投資、教育・訓練におけるジェンダー格差の縮小、気候変動の影響に対処するための適応と緩和の双方にわたる戦略といった点が強調されました。

アフナ・エザコンワ(左)、山中修国連日本政府代表部大使兼次席常駐代表(右)

Photo: UNDP Regional Bureau for Africa

UNDP総裁補兼アフリカ局長のアフナ・エザコンワは、アフリカの若者に内在する膨大な才能とスキルに投資することの必要性を強調しました。また、気候変動資金を呼び込むために必要なインフラや環境を整備し、グリーン経済への移行を促進する必要性を述べました。

最後に、山中修国連日本政府代表部大使兼次席常駐代表が、アフリカ常駐代表からの貴重な意見に感謝の意を表しました。また、TICADプラットフォームにおける基本的な要素として、共創と協力の重要性を強調しました。

本イベントにはTICAD共催者として、アヒム・シュタイナーUNDP総裁、石兼公博国連日本政府代表部特命全権大使兼駐在代表、堀内俊彦外務省アフリカ部長、サレム・マトゥーグ・アフリカ連合国連常駐代表部政務担当顧問、ジャン=ポール・アダムUNOSAA政策・モニタリング・グローバルアドボカシー担当ディレクター、ファーハド・ペイカー世界銀行国連特別代表が参加しました。

アフリカ開発会議(TICAD)は、1993年から日本政府が主導し、アフリカの経済成長、貿易・投資、持続可能な開発、人間の安全保障、平和と安定に関する問題について対話するための首脳レベルの国際会議です。この会議は、日本政府、国連開発計画(UNDP)、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UNOSAA)、世界銀行、アフリカ連合委員会(AUC)によって共同で開催されます。TICAD閣僚会合は2024年に東京で開催され、TICAD9は2025年に横浜で開催される予定です。

アヒム・シュタイナー(左)、石兼公博国連日本政府代表部特命全権大使兼駐在代表(右)

Photo: UNDP Regional Bureau for Africa