ケニットくんとの出会い

インドで津波への備えを進める小学生

2023年12月26日
Kenit delivering a speech

インド南東部のアンドラ・プラデシュ州の学校でUNDPが日本政府の支援を受けて実施した津波避難訓練で話すケニットくん

Photo:UNDP

僕はB.ケニット、インド南東部のアンドラ・プラデシュ州ヴィシャーカパトナムに住む小学3年生です。 僕の学校では4年前に、津波の避難訓練が行われました。これはUNDPが日本政府の支援で、アジアと太平洋の国々の学校で津波への備えの強化を目的に実施している「アジア太平洋地域学校津波対策プロジェクト(津波プロジェクト)」の一環で行われたものです。そのときに初めて、僕は津波について知りました。  

広大な海岸線に近い僕の町も津波による被害を受ける可能性を知ったのは、この訓練のときでした。サイクロンが近づくと、海では高い波がうねりだすことは知っていました。陸地に打ち寄せる黒い波は、毎週日曜日に両親と訪れる海岸とはまったく違って見えるのです。 僕は、自宅や学校に大きな津波が押し寄せる光景を想像しました。サイクロンよりも大きな波が、僕の町全体を飲み込んでいく......。 

津波についてもっと知りたいと思い、2018年にインドネシアのパル市を襲った津波被害など、YouTubeで映像を探すようになりました。両親からは、2004年のスマトラ沖地震によるインド洋大津波が発生したときの恐ろしさを聞きました。そして、津波は遠い国の話ではなく、僕も僕の家族や友人も、そして僕が暮らすこの町も直面している危険なのだと知りました。  

何もしなければ、これからも津波の恐怖に怯え続けることになる。 僕は、両親や学校の友達、近所の人など僕の大切な人たちを守るために立ち上がりました。
B.ケニット、小学3年生

まず、同じように津波プロジェクトで避難訓練を受けた他の生徒と連絡を取り合いました。僕たちは一緒に、地域の人たちに津波について話し情報を共有しました。次に、10月13日の「国際防災の日」や11月5日の「世界津波の日」などの啓発プログラムに積極的に参加することにしました。環境に優しいディワリ祭りの推進や、ビーチの清掃活動など災害リスクについて知識を深めるための重要なキャンペーンにも参加しています。やがて、僕の熱意に触発されたのか、地域の住民も自分たちが津波にどう備えるべきか、関心を持つようになりました! 

現在は、津波警報についての知識や避難計画の立て方、災害時の心構えなどについて、地域や政府関係者に向けての啓発活動を行っています。また、貧困層の生徒が通う学校と、障害を持つ生徒が通う学校にも働きかけました。これらの学校の生徒たちに、早期警報、避難、捜索、救助などの知識を伝えるトレーニングを行なっています。僕は、自分の住む地域で最も弱い立場にある人々の備えを強化することが、いかに重要であるかを強く感じています。真に災害に強い社会とは、障害や性別に関係なく、誰もが災害リスクを軽減する機会にアクセスできる社会です。僕は、自分の住む地域で誰一人として取り残されることがないようにしたいのです。 

僕は、津波や地震などの災害に対する意識を高めるためのプログラムを企画し、より多くの学校に広めていきたいと思っています。危険があることを知ったら、それに対する行動を素早く起こさなければなりませんし、誰も災害への備えから取り残されることがあってはなりません。家族や友達、コミュニティを守ることができるのは、僕たち自身なのですから。 

UNDPが日本政府の支援で実施している津波プロジェクトについてはこちらをご覧ください。