ナミビアにおける生活基盤と食料へのアクセス回復

日本政府の支援のもと、「よりよい復興」プログラムを通じて危機と疾患による打撃から回復するための食料システムの強化(2021年3月〜2022年6月)

2023年8月17日

オーギュスト・カンコンディさん(右)と畑の作物

UNDP Namibia

カンコンディさんは、より良い生活を求めてオカハオの村からウィントフックに移住しましたが、6 年が経過しても依然として職がありませんでした。カンコンディさんと4人の子どもたちは、都市化に伴ってナミビアの都市に形成された数多くの非公式集落の1つである、ゴレアンガブ地区で暮らしています。  

COVID-19 が猛威を振るった際、パンデミックにより雇用の機会がさらに減ったため、カンコンディさんの生計はさらに脅かされました。  

オククナ農園は、「よりよい復興都市農業プロジェクト」を通じて、ホマス州ウィントフック市ゴレアンガブ地区に設立されました。今回の資金拠出を通じて、オーギュスト・カンコンディさんらオククナ農園の数人の受益者は、同プログラムの能力構築イニシアチブの一環として、園芸と堆肥製造に関する研修を受講しました。

本プロジェクトの対象者は、女性や若者、障がい者など、都市部の貧困層や最も脆弱な立場に置かれた人々です。食料のほか、園芸、養鶏、養豚などの収入創出の機会へのアクセスを確保することを通じて、彼らの生活と尊厳の回復を図ります。

「COVID-19のパンデミックが発生して以来、飢餓が周囲の人々に与える影響を目の当たりにしたので、そのうちの1人に声をかけ、裏庭で古タイヤを使って野菜を栽培する方法を教えました。私は、これが自分のコミュニティにおける飢餓問題の解決に役立つ、私なりのささやかな方法だと信じています。」

カンコンディさんが園芸と堆肥製造の研修で学んだことをゴレアンガブ地区の女性41人に伝えた結果、同地区にいくつかの都市菜園が生まれました。

カンコンディさんは現在、家族に栄養のある食事を出すとともに、育てた食料の一部を売って収入を得ることができています。「よりよい復興都市農業プロジェクト」でのカンコンディさんの経験が連鎖的影響を及ぼしたのです。

<プロジェクトについて>

このプロジェクトは、卸売業者たちの生活基盤確保のために、COVID-19への対応として食品市場における安全なマーケットと衛生施設を支援しました。同時に、地元の食料供給のためのサプライチェーンの強化を通じて都市部の市場セクターの再構築を図り、持続的で集約された商品供給を目標としました。

このプロジェクトを通じて、更に政策構築や、食料供給システムの管理・制限・監視を行う組織のキャパシティを強化する活動も行われました。

<主要な成果>

  • 78ヶ所の構造物を提供

     →48名分の食品販売者向けの屋台

     →19ヶ所の洗浄施設と11ヶ所の手洗い設備

  • 4ヶ所の都市菜園の整備

     →直接の受益者258人の食料安全保障を改善

  • 機関の能力改善のための電子バウチャー情報システム
  • 141人の農業従事者への小規模農業投入補助金で支援

 

<主要パートナーとしての日本とUNDP>

本プロジェクトを通して、UNDPと農水・土地改革省は、日本電気株式会社と提携し、同社の技術を利用した電子バウチャー情報管理システムを設計・導入しました。

日本の継続的な支援によって、UNDPと日本によって支援されているプロジェクトはSDGsの2030年達成を目指すアジェンダの実現にアフリカ大陸の様々な地域で貢献をしており、革新的な方法によって複雑な危機状況において市民たちをエンパワメントしています。

アフリカ開発会議(TICAD)は1993年に始まり、アフリカ開発における意見交換やパートナーシップのための主要なフォーラムとしての役割を果たし続けています。30年以上にわたって、アフリカと日本の双方で開催された計8回のサミットと、複数回の大臣級会議を重ねてきました。

実施プロジェクトは、経済・社会・平和の3分野に分類されます。日本とUNDPは協力者として、革新的なソリューションの考案やコミュニティへの支援を通じて、持続的かつ包括的で、全ての人々に安全と幸福が保障される未来を目指して活動していきます。